レッドリストうな丼の未来
20140613
いよいようなぎが食えなくなる!?昨日から新聞やTVで大きく扱われています。ニホンウナギがIUCNのレッドリストに掲載されることになりました。
(毎日新聞 6/12)----------------------
政府機関や科学者らで作る「国際自然保護連合」(IUCN、本部・スイス)は12日、絶滅の恐れがある生き物を掲載する最新のレッドリストを公表し、日本人の食生活になじみが深いニホンウナギを絶滅危惧種に指定した。漁獲禁止などの法的拘束力はないが、今後、野生生物の国際取引を規制するワシントン条約の保護対象となる可能性がある。
IUCNはウナギ類8種を新たに評価。ニホンウナギを「個体数は30年間で少なくとも50%以上減った」として絶滅危惧種のうち2番目にリスクの高い「絶滅危惧1B類」に分類した。
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昨年夏のシンポジウム「うな丼の未来」で、IUCNレッドリスト掲載への見通しはすでに報告されています。実は日本の環境省による国内基準では、ニホンウナギは既に平成24年「国内レッドリスト入り」しているのです。今回のニュースを、どう受け止めたらよいのでしょうか。IUCNレッドリスト掲載によってただちにウナギが食べられなくなることはありませんが、このリストは野生動植物保護のためのワシントン条約対象種を決めるときの、重要な資料になります。
ワシントン条約の対象になれば、ウナギの成魚、幼魚(シラス)、加工品(蒲焼など)の国際取引が制限されます。実はこれに違反しても罰則がありませんが、条約批准国にはそれぞれメンツがありますから、それぞれの国内法によって業者などに条約順守を義務付けることになる…ことが期待されているそうです。(世界中から非難されるのは誰でも嫌だから)
ヨーロッパウナギはすでに絶滅危惧種と認定されていて、ワシントン条約の対象にもなっています。(減った主原因を一言で言えば、日本人が食べつくしたからですが)2009年からヨーロッパウナギの貿易は規制されていますが、それは全面禁輸という意味ではありません。輸出国政府の証明書があれば輸出可能で、日本にもそれなりの量が入ってきています。闇で取引されていたシラス等の輸出がきちんと表に出るという点では、クリアな取引ができることは歓迎できます。しかし、価格が相当上がることは間違いないでしょうね。
レッドリスト掲載は「そのせいでウナギが食べられなくなる」のではなく、「これからも長きにわたってウナギを消費していくための、やむをえない措置」です。私たちの子供のために、安いウナギを乱獲暴食することを慎まなければならないのだ、と思います。
何年か前、秋田のハタハタが乱獲で獲れなくなりました。3年間の禁漁という厳しい措置を取り、みんなで食べるのを我慢したおかげで、漁獲が回復してきています。ウナギでこれをするには、おそらく3年間ではとても足りないでしょうが、どうしても必要な試練だと思うのですよ。養鰻業者さんや伝統的な技で蒲焼を丁寧に提供している鰻屋さんのことを思うと、胸が痛みますけれど。
梅雨入り日々雑記
20140610
カルミナ・ブラーナ公演、ほぼ満員のお客様をお迎えし、無事終了しました。もちろん細かいところではいろいろありましたが、会場は大いに盛り上がった…と思います。カーテンコールではオケ副指揮者の私も呼ばれ、ステージ前でご挨拶(お辞儀)させていただきました。こんなことは初めてです。
初めて聴かれる方にもわかりやすい曲でしたし、オケと合唱の迫力、そしてダンサーの舞踊を伴った演出も良かったのでは(演奏中よそ見をしてはいけません)。伊那市出身のプロダンサー下島功佐さん、今回初めて存在を知りましたが、さすがでした。あれだけ飛んだり跳ねたりして、ステージに埃ひとつ立ちません。
充実感に満たされたコンサートのあとは、お酒もおいしいですね!
さて当地も含め、あちこちですでに梅雨入りしています。この週末は各地で大雨だったようで(週末テレビを全然観なかったのでよくわからないのですが)首都圏の中央道もストップし、出演者の中には前日のリハーサルに間に合わなかった人もいました。
そこへいくと伊那周辺は、雨こそ毎日ありましたが幸い大した降りではなく、何だか別世界のことみたいでした。昨日夕方に落雷があり、大雨が2時間ほどかな、あったくらいです。今日もあちこちで大雨に警戒とTVでは言ってますが、さてどうでしょう。
木々も恵みの雨を受けて青々として元気そうですが、これって梅雨入りではなく、普通なら7月に入って梅雨明け近くの天気ですよ。今年は冷夏だ冷夏だと今から言われているようですが、冷夏って気温のことだけでなく雨の日が多いということでしょう。梅雨で記録的な雨、夏になっても毎日雨ってことになっても、困りますね。
酒場放浪記読んだり見たり
20140605
BS-TBSの「吉田類の酒場放浪記」をここ2年ほど観ております。首都圏を中心にした居酒屋紹介の番組ですが、最近2回は長野ロケ編を放送しています。
今や同局の看板に成長したこの番組、もう10年になるそうですが、一本15分の番組で居酒屋一軒を紹介し、その4本立てが放送一回分。一本は新作で、あとは旧作の再放送です。
内容はまったくワンパターン。吉田類氏がある街を訪れ、駅前からスタートして酒場以外のスポットを一か所紹介し、そのあと本題である酒場を訪問、お店の人たちや居合わせた「ご常連」たちと会話しながらおいしい酒肴を楽しみます。帰り際に「もう一、二軒行ってみたいと思います。では」と言い残し、俳句を一句詠んでフラフラと去ってゆく。
ワンパターンと書きましたが、よく見ていると吉田氏が本当に楽しんでいる店とそれほどでもない店、何となくわかります。もちろん紹介番組ですから、どの店も褒めてはいますけれど。気持ちよく酔っ払っているときは、それこそ真っ赤な顔で呂律が少々怪しいくらいになっていますが、そんなときはやっぱりお気に召したのでしょうね。
取り上げられる店は「地元民に長らく愛されている」というのがコンセプトなのでしょう。若いお客は少なく、年配の常連客に支えられているような店ばかりです。私は個人的に肴の選択肢が多い店が好きですが「この店いいな!行ってみたい!」と思う店も時々ありますね。残念なことに、そもそも私のふだんの行動範囲から離れた店が大部分で、お店のメモは取っても実際に行くことは、あまりなさそう。こうした店はだいたい、ターミナルや繁華街でなく私鉄沿線の住宅地などにあるでしょうから、仕方がありません。
楽しい番組なのですが、吉田氏に一つだけお願い。どんなときにも必ず左手で「手皿」を使うの、格好悪いのでぜひやめていただきたいな。カウンターに正対せずカメラを向いて食べなきゃいけないために、仕方なしにやっているのかもしれませんが、どうも気になってしまいます。(私もたまにやってしまうけど)
関連リンク: 吉田類の酒場放浪記
打楽器冥利音楽ばなし
20140529
カルミナ・ブラーナのオーケストラパートには大きな特徴があります。さまざまな打楽器を実に豊富に使い、リズムの強調と多彩な音色効果を打ち出していることです。
私たちがふだん演奏するオーケストラ曲の打楽器を挙げてみます。ティンパニ2~4台(演奏者一人だけ)という曲がまあ基本です。それに加えて大太鼓、シンバル、トライアングルあたりが加わるのはよくある編成。「第九」やハンガリー舞曲などがそうですね。
曲によってはさらに小太鼓、タンブリン、銅鑼など。それ以上増えれば、かなり大き目の編成と言っていいでしょう。マーラーの交響曲とか。ただ、楽器の種類は多くとも、一人当たりの音符の数は実は結構少ないものです。ティンパニ以外の楽器は一曲に数小節、あるいは数発だけ、ということもしばしばあります。
それがカルミナ・ブラーナでは…今回の演奏に当たり私たちが用意したもの、列挙してみましょうか。
・ティンパニ5台 ・大太鼓 ・小太鼓2台 ・合わせシンバル2対 ・吊りシンバル2枚 ・アンティークシンバル(おちょこ位の小さな肉厚のシンバルで、甲高く澄んだ音がします)2個 ・トライアングル2本 ・タンブリン2個 ・銅鑼 ・鈴 ・カスタネット ・ラチェット(機械式のガラガラ)・テューブラーベル(のど自慢の鐘)・カンパーネ(音程を持たない鐘)・A(ラ)のハンドベル ・グロッケンシュピール(鉄琴)3台 ・シロフォン(木琴)
もちろん伊那フィルはこんなたくさんの楽器は持っていません。伊那文化会館のティンパニに加えてご近所の中学、高校、一般吹奏楽団、それに個人持ちのお品を拝借します。タイのアンティークシンバルとインドの鈴は私が以前から持っているもので、とてもいい音だと我ながら思っています。「音程を持たない鐘」は親しい管工事屋さんに頼んで作ってもらいました(写真下、大太鼓の手前にぶら下がっています)。グロッケンシュピールはどこにでもある楽器ですが、3台同時に鳴らす曲などまずないでしょう。
これらを6人で演奏します。驚くことに6人ともがほとんど出ずっぱりです。ほぼ全曲を通して打楽器がドンジャカチンパカと鳴り渡る、これが珍しい。25曲の中で打楽器が完全にお休みの曲はわずか2曲だけ、中には弦楽器も管楽器もお休みで、ピアノと打楽器だけが声楽の伴奏を務める曲もあります。
そういうわけで、打楽器奏者としてこんなにやりがいのある楽しい曲は滅多にありません。伊那フィルには打楽器奏者はふだん2人しかいませんので、今回は各地の打楽器仲間に応援を頼んでいます。いずれも百戦錬磨の腕利き揃い。ステージにズラリと並んだ打楽器と多彩なリズム・音色をぜひお楽しみいただきたいと思います。
カルミナ・ブラーナ音楽ばなし
20140528
来月初めのコンサート、宣伝も兼ねて。。
「手づくりの音楽会」と称し、地元の公募合唱団と伊那フィルの合同企画が多くはこの時期に、ほぼ隔年で行われております。10回目を迎える今回の曲目は、カール・オルフ作曲の大作「カルミナ・ブラーナ」です。先日会場練習が行われ、地方紙にも記事がやや大きく載りました。大編成の管弦楽、2台のピアノ、合唱、児童合唱、3人の独唱者、そして舞踊を伴う大曲です。(普通は舞踊なしの演奏が多い)
この曲は、どなたにとっても、聴いて大変面白い曲だと思います。歌詞は中世ヨーロッパの修道院に伝わる、無名の修行僧たちの落書きみたいなものです。厳しい戒律に縛られた生活とうらはらに、春を愛し、酒におぼれ、男女の性愛をもあけっぴろげに賛美した歌詞がこれでもか、と綴られます。はっきり申してかなり下品なところもある詩なのですが、そこには人生の喜びを歌うエネルギーがむんむんと詰まっています。そして最初と最後には輪廻としてめぐる無慈悲な運命が登場し、世の厳しさをどんと思い知らせます。
近代ドイツの作曲家オルフがこの詩に曲をつけました。作曲年代は第二次大戦直前で比較的新しいのですが、書法は極めてシンプルで、原始的で、血が湧き起こるような激しいリズムが特徴です。内容は25の小曲からなり、冒頭の曲「おお、運命の女神よ」はTVCMなどでいやというほど用いられていますから、お聴きになれば「ああ、これか」と思われるでしょう。
私はずっと以前からこの曲のファンで、世の中にCDというものが登場し、30年ほど前、人生初めて購入したCDはムーティ指揮のこの曲でした。夢だった全曲演奏を地元でできることが今でも何だか信じられないような気がしています(吹奏楽アレンジなど、抜粋ではしばしば取り上げられますが)。初めての合唱合わせ練習で冒頭の音が轟然と響き渡ったとき、鳥肌が立ちましたな。
準備は着々と進んでおります。本番は6月8日(日)午後2時開演、伊那文化会館にて。あわせてベートーヴェンの交響曲第2番も演奏します。ぜひ多くの方にご来場いただきたいです。
カルミナ・ブラーナに使われるたくさんの、たくさんの打楽器については、次回で…
関連リンク: 第10回記念 手作りの演奏会 facebook
Zopf (松戸、パン)お店紹介
20140525
皆様お久しぶりです。5月はいろいろと忙しくバタバタしておりまして、しばらく更新できずにおりました。その間ご訪問下さった方、申し訳ありません!
少し前のことになりますが、以前から気になっていた業界の名店を訪れる機会がありました。街のパン屋さんの超繁盛店としてその名も天下にとどろく「Zopf(ツオップ)」さんです。いつも西から東京入りする私にとって、松戸市に行く機会(ついで)は全くありません。わざわざ行ってみましたぞ。
住宅街にあるお店の前には入店を待つ人たちの行列が。それもそのはず、驚くほど小さなお店です。構えはちっちゃな喫茶店みたいな感じ。そして店内は、コンビニなどよりはるかに狭く、エレベーター並みとまでは言いませんが、そのせいぜい3倍くらいか。(エレベーターにもいろいろあります)もちろん工場には広いスペースが取られています。
エレベーターは冗談ですが、じっさい客が10人も入れば身動きできなくなるような狭さで、一度に8人までと入場制限がなされています(行列はそのため)。15分ほど待って中に入ると、その狭いスペースに山のようなパン、パン、パン…。一品一品の数は多くはないですが、種類がすごい。数えていませんが、250種ほどあるんだとか。食パン、ハード、デニッシュ、おかずパンに甘いパン、ベーグル、サンドイッチ。
店内でパンを選んでいますと、ひっきりなしに「○○焼きあがりました!」「△▽焼きたてです!」と新アイテムが補充されていきます。もう本当に選びようがありません。たちまち一杯になるトレイは、レジですかさず預かって番号札をくれます。お客はみんな2、3千円くらい買っていくのでしょうね。選べる楽しみが、すごい。
私もトレイ一杯買い物をし、名品との評判高い「玉子サンド(dancyuにも載っていました)」を自分のお昼用に、あとは家へのお土産にしました。一応いろんなジャンルのものを少しずつ購入しましたが、食べてみるとどれも普通に、確実においしい、という感じ。目を見張るようなおいしさとか、奇をてらったりしたような極端な味のものはなく、しみじみしたおいしさだと思いました。
ちょっと行きにくい場所なのが残念です。こうした全国屈指のお店が近所にあるのは、なかなか羨ましいことですね。パン屋さんは、ハレのお店でなく日常のお店ですから。できることならば、ぜひとも通って全種類を「食破」してみたいもんだ。
関連リンク: 「パンラボ」より
空豆の季節食べもの
20140514
こんな大好物の記事を、これまで書いていなかったことに気がつきました。ご近所の方からたくさん頂戴したり、スーパーで大きな袋に入ったのを見つけて購入したり、今週は空豆をたくさん食べられてプチ幸せです。
季節ものですから、今を逃すと食べられないと思うと恐怖心を覚えて、店頭で見るたびについつい籠に入れてしまいます。当地では、東京のスーパーなどで見かけるより少し値段が高めのような…気のせいでしょうか。
大して工夫をしながら食べているわけではありません。莢に包まれた実をほじくり出し、塩ゆでして食べるだけです。飽きません。
莢ごとこんがり焼いて食べる、というのも以前はよく試しました。ふんわりした莢の中で実が蒸し焼き状態になり、ゆでるより味はいいと思います。ただ、熱々の莢から実を取り出すのが大変で、最近はあまりやりません。銀杏とかもそうですが、調理前に手をかけるのは苦にならないのですが、いざテーブルに座ってからあれこれ身をほじったりするのは面倒臭いのです。蟹もそうか。
天ぷらにしてもとってもおいしいですね。中華料理で空豆炒めがありますが、家庭で作るのはちょっともったいないと思ってしまいます。冷凍のムキ空豆なんかを使えばいいのでしょうが(在庫有ります)。その他に、家庭での空豆料理、何かないでしょうかね。おすすめがありましたらぜひご教授下さい!
ところで、私は空豆を食べるときに豆の皮をむきます。むかずにそのまま食べる方もいらっしゃるようですが、中身の柔らかさと皮の固さ(固いったってそんなに大したことはないですが)があまり合わないような気がします。
で、中身を食べた後で大量の皮が残りますが、これをどうにかして美味しく食えないかなと思うのですよ。貧乏性ですかね。空豆の皮はそりゃ、それだけを食べて特別美味しいものではないですが、何か方法はないかといつも首をひねります。炒めるとか素揚げにするとかきんぴらにするとか?でも皮が発生するのは食事が終わった後ですし、それからでは妻はそんなもの作ってくれませんしね。
千切りキャベツ食べもの
20140507
皆様、ゴールデンウィークはいかがでしたか?後半は5日こそ雨でしたが、おおむね天気に恵まれたと言っていいでしょう。それなりに人も動いたのかな。私は遠出もせず、ごろごろTVを見たり、会社に出てまとまった仕事をしたり、夜になると酒を飲んだり、まったく普段のままの連休でした。
さて少し前のことになりますが、4月には会社で新年度進発式というのをやっております。会議の後で取り扱いの食材を使って宴会をいたします。毎回いろいろとおいしいものが出てきますが、今年もっともおいしかったのは、何と千切りキャベツ!
当社でも以前からフレッシュのカット野菜を少しずつ扱っています。先月はちょっとしたチラシを作ってキャンペーンをしたりして、使ってみようというお客様も徐々に増えています。そんなこともあり、社内でカット野菜を実際に食べてみようよ、ということでした。
それがですね、当社の千切りキャベツ、おいしいんですよ。ちょうど春キャベツのおいしい時期でもありましたが、きめ細かくふわりとしており、甘く、へへえ!と思うようなものでした。実際、お酒のつまみになるくらいの感じ。
そこで我が家でも試そうと、千切りキャベツ1キロ注文し(午前中のご注文で、翌日お届けできます)家族で食べてみました。そのままで、また冷蔵庫にあるドレッシングを総動員してウマイウマイと山ほど食べましたぞ。私はトンカツ屋さんみたいに中濃ソースで食べたのが一番おいしかったなあ。
そうは言っても、3人家族に1キロはたっぷりです。2日間はそのまま各種調味料で食べ、3日目4日目には自家製フレンチドレッシングとクミンシード(これがポイント!)でマリネして食べました。これ、おいしいです。一度お試しください。
実に食べでがありましたね。でも全然飽きなかったので、翌週、追加でもう1キロ、注文してしまいました。
次郎と二郎日々雑記
20140428
ネットで評判になった記事がありました。国賓オバマ大統領と安倍首相が「二郎」で仲良く肩を並べて食事をし、大いに打ち解けた、と。何のこと?と訝しく思う方は、どうぞリンク先の記事をお読みください。傑作です。笑っちゃいました。
申すまでもなく彼らが会食したのは、日本を代表する高級寿司店「次郎」であって「二郎」ではありません。
次郎はミシュラン日本版で三ツ星に輝いているお店ですが、当代きっての寿司職人小野二郎氏の技が賞賛される一方で、まことに高額かつタカビーな店だとして悪口も相当いわれております。曰く、カウンターに座ると食べ手のペースなどお構いなしに矢継ぎ早に寿司を出してきて、握りたてを早く食べろと急かし、長居なぞとんでもないと追い出される。酒を注文すると露骨に嫌な顔をされる。店の滞留時間20分でお勘定は3万円。時間当たりの支払額は世界最高であるだとか。
私は行ったことがないし本当のところはどうだか知りませんが、まさか大統領にはそんなペースで寿司を出してはいないでしょう。安倍首相がオバマに酒を注いでいる写真もありますしね。
20貫出された寿司をオバマは14貫しか食べずに残したという話もありますが、時差のあるフライトを何時間もしてきて食欲がないのは仕方がないと見るのか、ほとんど雑談なし、食事そっちのけでビジネスライクにTPPの話をしていた結果なのか。まあ両方なのでしょう。オバマはあまり食に関心のありそうな人には見えません。(見た目で判断)
さて「二郎」です。こちらは天下に名のとどろくラーメン屋。最近の大ブームは驚きです。私の頃は三田本店しかなかったと思いますが、今では暖簾分けで40店近くを数え、傍系や、二郎インスパイアと呼ばれる触発された店も含めてラーメン界一大勢力になっています。30年前当時からあの店の人気はすごく、毎日学校に行くとき前を通りましたが、とにかくいつでも大行列。行列のない二郎はついぞ見たことがなかったな。
4年間で一度だけ、それでもと思い友達と並んで食べてみました。ブタ肉まみれ油ギトギトのデカ盛ラーメンで、口に合わないことはなかったものの、何でそんなに熱狂を集めるのかよくわかりませんでした。ご主人はラーメンの仕上げに白い粉をふりかけますが(今は知らない)あのヘロインが中毒患者を作るんだとか冗談を言ったりしました。当時の学生新聞がご主人に粉の正体を直撃取材し、あれは味の素だそうだ、とありました。
こちらのジローも行列に加え、注文するのに呪文が必要だったり、独特の店の雰囲気に呑まれたり、値段は安くともハードルの高い店ですね。50歳を過ぎた私にとっては、一口ふた口ならおいしいかもしれませんが、このラーメンを平らげるのは自爆的行為と言わざるを得ないでしょう。でももう一度くらい、食べてみたい気もします。
関連リンク: かんべえの不規則発言 (次郎の記事は4月23日)
甘くてしょっぱい食べもの
20140421
大きな缶に入ったポップコーンを頂戴しました。いま話題の行列人気店「ギャレット」のもの。テレビで見たことがありますが、食するのは初めてです。
缶の中には、キャラメルをかけてカリカリした甘いものとチーズ味のサクフワしたものが、たっぷりと混在しています。両方とも大変はっきりした味で、キャラメルはあくまでも甘く、チーズは濃厚そのもの。実に食べ応えがあり、後を引きます。カロリーも相当ありそう。
これらを混ぜて袋に入れてあるということは、同時に食べて御覧なさいという意味でしょうね…と思って、2個を一緒に口に入れてみると、予想通りの相性を見せます。甘いのとしょっぱいのが絶妙に合うのですね。お互いの味がプラスされるだけでなく、一個ずつを別々に食べたのとは違う別の味わいが生まれる感じです。
甘さと塩辛さの強引とも思える組み合わせが、新たな美味を作り出すことは時たまあります。すぐ思い浮かぶのは、チーズとお酒の組み合わせ。
チーズとワインというのは巷で定番の組み合わせですが、実はどちらかの味が(多くの場合はチーズが)勝ってしまって、なかなか合わせにくいものだと言われます。しばしば口の中がチーズの味で埋め尽くされ、デリケートなワインの味がわからなくなってしまいます。
塩気の強いチーズに合わせやすいのは、甘いお酒です。強い塩味に強い甘味をぶつけ、コントラストを楽しみます。先ほどの話のように、両者にもともと存在しなかった第三の味が生まれる楽しさもあります。甘いお酒というと貴腐ワイン、ポルト、マデイラなど、他にもあるでしょう。お酒でなければ、濃いコーヒーに多めに砂糖を入れたものもいい、とあるレストランで勧められました。これも取り合わせの妙だと思いました。
ポルトは昔で言う「ポートワイン」ですが、赤●でなくポルトガル産の本物のポルト、こういう時に実にいいです。貴腐ワインをやたら開けるわけにはいきませんが、年代物は別として一般的なポルトならそう高価なものではなく、戸棚に1本置いておくのもいいと思います。抜栓してもわりと長もちしますし。
甘味と塩味のミックスで私が苦手なのは「ハッピーターン」。この甘じょっぱさだけは、昔からどうか好きになれないな。でも好きな人、大勢いるんですよね。