増税前夜しごと
20140330
消費税が5%から8%になるまで、あと僅かとなりました。皆さま、もうまとめ買いはお済ませになりましたか。
たかだか3%といえども、一日たったら高くなるとわかっているのですから、どうせ明日に買う予定のものだったら今日のうちに、と考えるのはごく自然の成り行きです。
当社には会社として買いだめをする節税メリットはありませんが、お客様にとっては状況によって節税になるため、ささやかではあっても3月中の商品購入をおすすめしてきました。家庭用スーパーでは少なからずまとめ買いの需要があったようにお聞きしますが、業務用の分野ではそれほどでもないですね。
この4月の増税が決まってから、お得意様みなさんが商品価格(メニュー価格)の改訂について悩まれたことと思います。もし増税後もこのまま価格を据え置けば、ただでさえ仕入原材料の価格が円安などによって上がっている中、売上高3%分の純利益が飛んでしまい、いくらお客さんが入っても経営上致命的な損になってしまいます。
しかし一方で、価格を上げて果たして、消費者がついてきてくれるかどうか?ここが思案のしどころだったわけですね。価格を上げても量や品質の向上でカバーできるような工夫をするとか、商品によって上げるもの、据え置くものをメリハリをつけるとか、いろいろ方法はあるでしょうが、どれが正解だったかは、蓋を開けなければわかりません。
4月になれば多かれ少なかれ、消費行動に影響が出ることは避けられないでしょう。食料品の場合は他の商品に比べれば影響は少ないかもしれませんが、それでも何週間か、ともすれば2~3箇月かは、我慢することになりますね。
システム修正のため、かけずとも良い出費もかかります。税率が10%になるときも同じことが行われるのでは、かないませんな。軽減税率なんて話もありますし。
恐怖の乾杯 飲みもの、お酒
20140323
前記事とは乾杯つながりですが、こちらは何とお気の毒なことでしょう。。
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(日刊スポーツ)NHK番組の制作を請け負う制作会社のスタッフだった男性(当時31)が、中国でのロケ中に取材先とアルコール度数の高い白酒(パイチュウ)の一気飲みを繰り返した後に死亡したのは労災だとして、東京地裁は19日、遺族補償の給付を認める判決を言い渡した。
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中国式の乾杯(カンペイ)については、よく話題になります。私も僅かながら現地での経験があります。特徴は、相手を指名して1対1で行なうこと、そして文字通り杯を乾すことです。
日本の乾杯はテーブルを囲む皆で一斉に「かんぱーい!」ですが、中国式では「○○サン、ワタシト乾杯シマショウ」と相手にアプローチします。宴の開始時だけでなく、開宴中いつでも行われます。お互いに杯を交わし、入っている酒を飲み乾し、カラになった杯の底を相手に向けて乾杯した証拠を見せます。
度数60度を超すような白酒でこれを繰り返しますから、お酒に弱い人はもちろん、そこそこ強い人であっても大変です。一応逃げ道はあり「随意」と言えば、あなたは乾杯してください、私は飲み乾しませんよ、ということでOKになります。でも自分だけ飲まないのは、何だか居心地が悪いですよね。つきあいが悪いと思われないよう、無理して飲んでしまうことになります。亡くなった方も、きっとそうだったのでしょう。
写真は以前中国に行ったとき、乾杯に使われていた白酒です。左奥にこのときのグラスがありますが、ずいぶん小さいですよね。普段使われるものは一回り大きいようで、中国式に慣れない私たち向けに特別小さいものを用意してくれたらしいですが、それでも十数回と杯を重ねるうちに頭はクラクラしてきます。加えて、白酒は強いばかりでなく味も香りも強烈で、普通の日本人がおいしいと感じるようなものとは思えませんし。
このときは仕事の関係者の会でしたが、会議が終わって宴会になると「乾杯要員」として酒のとびきり強いオオカミ男たちが何人も現われ、羊のような私たちの乾杯相手をしてくれました。そりゃあ、かなうわけないわ。
中国で仕事をする日本人には(いや中国人にも)白酒の乾杯で体を壊す人も少なくないと聞きます。まったく洒落になりません。皆様、お酒はゆっくりおいしく飲んでこそ、ですよ…
関連リンク: ロケで白酒一気飲みし死亡、労災死認定
信州ワインの実力 飲みもの、お酒
20140320
読者の皆様、国産ワインを飲む機会はどのくらいありますか。私が日頃ワインを飲むとき、輸入品と国産品の比率は30:1くらいではないかと思います。いえ別に、舶来品信仰があるとか国産を毛嫌いしているとかそういうわけではないですが、何となくこんな感じ。
我が国には意欲的なワイン生産者が、今ではあちこちに大勢いらっしゃることは承知していますし、本場に引けを取らない優れたワインができていることも知っています。ただ(私がよく頂く)低価格帯のものでは、正直言ってまだまだ輸入品に軍配を上げざるを得ないなとも思います。これは人件費などさまざまなコストを考えると、まあどうしようもないことです。歴史の差だともいえるでしょうか。
そんな中、先日うまい地元のワインを飲む機会がありました。塩尻にある「Kidoワイナリー」の「プライベートリザーブ・メルロー」。この小さなワイナリーの評判はもちろん以前から聞いています。別の製品を飲んだこともありますが、このワインはまた、格別でした。豊かで複雑な香り、コク、申し分なし。
信州という全国有数のワイン産地にいながらこれほどのものを飲む機会がこれまでなく、やっぱりいいものを飲んでみなきゃなあ、と改めて思いました。ちなみにこのワイン、やたら高価なものではありませんが生産量がとても少なくて、入手が難しいものです。ラッキーでした!
全国有数の産地と書きましたが、国産ワインといえば山梨が真っ先に頭に浮かぶでしょう。しかし長野県は近年めきめきと生産量を増やし、質量ともに山梨を猛追しています。以前高野豊さんの講演で、対山梨戦略をあの手この手で行なっているんだと聞きました。
純県産ワイン、すなわちその県で収穫されたブドウを使ってその県で生産されたワインの統計というのは、ちょっと調べてみましたが見つかりません。農水省の平成22年のデータによると、醸造用に用いられた各県の葡萄の量では、長野2465㌧、山梨2497㌧とほぼ拮抗しています。長野で醸造用に多く使われている品種はコンコード、メルロー、ナイアガラ、シャルドネなど。山梨では甲州、マスカットベーリーA、カベルネソーヴィニヨンなどだそうです。
お隣の宮田村でもヤマソービニヨンという品種で地ワインが作られており、昨年産のものは私も試しましたが、品質もだんだん向上してきているようです。宮田村議会では先日「みやだワインで乾杯条例」が可決されたというニュースがありました。いっそうの消費拡大を目指した、いい取組みだと思います。ワインが特別なお酒から日常のお酒ラインナップに加わることが楽しみです。
紹興酒 大飲み比べ!お店紹介
20140313
ずらり並んだ紹興酒のグラス。これだけ揃うと凄い、壮観です。先月、銀座に最近オープンした中国酒酒場「黒猫夜」に行く機会があり、おいしく珍しい料理の数々と中国のお酒を楽しんできました。
赤坂見附にあるこの店の本店には、だいぶ前に訪れたことがあり、ブログにもちょっとだけ書きました(2010.5.31)。銀座店は初めて。店内は薄暗く、ちょっと怪しい雰囲気が。
他所ではまずお目にかからないような中国酒の豊富な品揃えを誇るお店です。お酒メニューの中に、「紹興酒18種利き酒セット」5,400円というのを発見。お店の人に聞いてみると、メニューに載せてそんなに経っていないこともあるが、まだ誰も注文した人がいないとか。一人では飲みきれないでしょうが、3人だったので、よしそれなら我々が第1号だ、と注文したのがこの写真です。
テーブルの端から端まで長々と列をつくる紹興酒たち!おおむね産地順に並んでいるそうです。
紹興酒は紹興酒、そんなに味が違うものかと思うでしょう?それが、ずいぶん違うんです。甘味の強いもの、酸味の強いもの、ドライなもの、濃いもの、薄いもの、スモーキーなもの、フルーティなもの、生姜っぽいもの、…。
次から次へと片っ端から飲み比べ、30分後には全グラスがカラになりました。やっぱり紹興酒っておいしいな。ワインでも日本酒でも、比べる楽しみというのはありますね。一種類だけ出されたのでは感じにくい味のバラエティが、よくわかります。(18種の中には、私にはこれはちょっと、というものもありましたが)
他に白酒(パイチュウ、高粱などから作ったスピリッツで度数が高い)の飲み比べも試みました。これはさすがに独特の風味があり、ちょっと飲みにくいですね。面白いのは、皆さん居酒屋でウーロンハイって飲むでしょう?この店でウーロンハイを注文すると、淹れたてのウーロン茶が茶葉入りのポットで登場し、氷と焼酎(日本のものである由)がついて出てきます。びっくりしますが、これも楽しい。ちゃんとお茶の香りがあります。
料理も大変おいしく、ぜひまた行ってみたいお店です。(ランチのメニューは1種類だけのようで、行くならやっぱり夜ですね)
関連リンク: 食べログ 黒猫夜銀座店
卒業日々雑記
20140305
長男の高校卒業式に出席。。
高校の3年間というのは本当に早いですね。ついこの間、入学式があったと思ったら。部活を本気で楽しみ、クラスの仲間と勉強を競い合い、彼女がいたのかどうかは知りませんが、たぶん彼なりに充実した高校生活だったのでしょう。進路がまだ結果待ちということで、卒業の喜びも手放しとはいかないようです。
私の高校生の頃、この学校の女子の人数は男子の三分の一以下でしたが、ここ数年でついに逆転し(男子は何をやっとると?)卒業式は袴をはいた女子生徒のファッションショー状態。地元のCATVでは各高校の卒業式を放送し、時にはそれは派手な卒業生の姿に驚くこともありますが、本校の女子たち、皆さん品よくかわいく、よかったですね。何でも卒業衣装は一年前くらいに予約しないと間に合わないんだとか。
私もPTA会長として来賓祝辞のお役目がありましたので、いささか緊張して式に臨みました。副会長、会長と2年にわたってPTA役員をさせてもらいましたが、これが最後のお仕事です(本当は引き継ぎなど、まだちょっとだけありますけど)。
保育園、小学校、高校と保護者会長やPTA会長をつとめ、小学校と高校では郡内各校の長(回り番)までちょうど当たる年回りで、まあよくやりました。役を引き受ける前は面倒でも、いざやってみると負担より役得の方が明らかに多く、役をやらせていただいて良かったなあと改めて思います。一緒にやった楽しく有能な役員さんに本当に恵まれましたし、在任中大きな事件事故など幸いにして何もなかったということもあるでしょう。
長いことたくさんの人たちにお世話になりました。これで私もひとつ卒業です。
追記:卒業記念品として学年一同で「軽トラにつける除雪用の板(アタッチメント)」を寄贈しました。ブルドーザーの前についてるブレードのちいちゃなやつですが、今日の雪でさっそく出番があったかな?
俺が19に見えますか (2)日々雑記
20140227
梅沢氏のケース。彼の「キレた」振舞いへの反感が多く、その原因となった店のルールを客はどう感じるか、という視点からのコメントが少なかったのを残念に思います。
お店には二十歳未満の客に酒や煙草を売ってはならない定めがあります。客を見極めて売る売らないを判断するのはあくまで店の役目で、客に自己申告を要求する(事実上強制している)のは別に法の規定ではなく、店(チェーン本部)が勝手に決めた店内ルールにすぎません。
どうして私はあのとき、あんなに不快感を持ったのでしょうか。いま考えてみると、こうした応対は、目の前にいる人から、自分が「人」ではなく「モノ」として見られているような気がするのですよね。
客がレジに立てば店員は「いらっしゃいませー」だの「ありがとうございまーす」だの、マニュアル通りながら挨拶のことばを口にします。しかし、客を見て判断することを放棄し一律に「ボタンを押せ」というのは、相手がどんな人なのか、男なのか女なのか大人なのか子供なのか、あるいは犬か猿であっても、そんなことには私は全く関心がありませんよ、と表明しているのと同じだと感じるのです。
人と人との関係性を自ら断ち切っている中で、うわべだけの挨拶や感謝の言葉を掛けられても、白々しさしか感じません。会計時には、29だの49だのと書かれた赤や青のボタンを店員自ら押しているのに!
勘違いされては困りますが、私だってコンビニで「心のこもった接客」など求めてはいませんよ。あれば嬉しいとは思いますけどね。最低限、れっきとした大人をオトナ扱いしてもらいたいと思うだけです。私たちは自販機でモノを買っているのではないのですから。
店が決めたルールに従わないものは他の店に行け、だなんて、若い人たちがこんなものを金科玉条と持ち上げるのが不思議です。もちろんそうさせてもらっています。あの日以来、このコンビニチェーンでアルコール飲料は一度も買っていません。二度と買うつもりもありません。
今回こうして、行き過ぎた形骸的な儀式のバカバカしさに気が付き、考え直す企業が出てきたことは幸いなことだと思います。すべてのコンビニが客に年齢確認ボタンを押させているわけではないのだったら、不快な気持ちにならずに済む店を私は選びます。
俺が19に見えますか (1)日々雑記
20140226
だいぶ前に書こうとしたのですが、アップせずにお蔵入りしていた話題です。最近動きがあり、天声人語でも取り上げられるに至って、改めて書いてみたいと思います。
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(朝日新聞)「あなたは、20歳以上ですか?」。酒やたばこを買う際、スーパーやコンビニのレジで求められる「タッチパネルの年齢確認」を、イオングループが3月までに取りやめる。一律に操作を求める手法が中高年層に不評なためだ。ただ、未成年の飲酒や喫煙を防ぐには有効との意見もあり、小売業界全体に広がるかはわからない。
イオングループは2012年5月以降、コンビニ「ミニストップ」と総合スーパー「イオン」でタッチパネルを順次導入した。しかし、中高年の客などから「明らかな成人にも操作を求めるのは不快だ」といった苦情が続出。このため、未成年の可能性があるとレジ係が判断した場合に限り身分証の提示を求める従来の手法に戻すことにした。
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大手コンビニ各社がタッチパネルによる年齢確認を始めた時は、いろいろと話題になりました。中でも梅沢富美男氏が店で年齢確認を要求され、俺が19歳に見えるのか、と店の人とやりあった事件?とか。梅沢氏がこの経験をTVで怒りを込めてトークしたところ、大きな反響があったといいます。
この怒りに同感する人たちのメッセージが殺到したのかと思いきや、全く逆なのですね。ネット上のコメントを見ると、圧倒的多数が「ボタンくらい押したっていいじゃないか」「こんなことでキレるなんて狭量すぎ、年寄りの我儘」「店が決めたルールに従わないものは他の店に行け」などと、梅沢氏を非難するコメントでした。
白状します。私も、以前まったく同じ経験をしていました。近くのコンビニでビールを買い、店員さんに年齢確認ボタンを押すことを求められました。私は一瞬固まり、次いでむらむらと怒りがこみあげ、思わず「見りゃわかるだろうよ!」と言ってしまいました。
店員さんはちょっと驚いたようですが、格別うろたえる様子もなくこちらを見ています。私は混乱し釈然としないまま画面を押しビールを買いましたが、店を出て家に帰っても怒りの気持ちが収まりませんでした。
言うまでもなく私が気に障ったのは店のシステムであり、ただマニュアルに従っただけの店員さん相手に言葉を荒げたのは、ちょっと大人気なかったと反省しています。しかしこうした自分の体験がありましたので、梅沢氏には大きく共感しました。氏を非難する意見があることはもちろん想像できますが、それがこんなに多数を占めたとは、いささか腑に落ちませんでした。
忘れない 氷上の名花日々雑記
20140223
ソチ五輪。浅田真央選手の二度の演技に、心を大きく揺さぶられた2日間でした。
トリノ(年齢制限で出場できなかった)の頃からずっと彼女の演技を見てきました。TVの画面の中で、彼女はいつも輝き、ある時は少女らしく、ある時は大人の表現を見せながら美しく舞い、跳んでいました。その彼女が、この大舞台でこれほどまでにボロボロのスケートをするとは、まったく信じられなかった。すべてがうまくいきませんでした。
佐藤コーチも声を掛けられないようなこわばった表情でリンクを降り、インタビューで魂の抜けたような受け応えをする彼女を見て、私も茫然となりました。もちろんメダルは絶望、日本選手の中でも最低点、出場30人中の16位に沈んでしまうとは…
その浅田真央が翌日になって、これほどの素晴らしい演技を見せてくれることを、誰が予想したでしょうか?いったいこの一日の間に、彼女に何が起きたのだろうか。
トリプルアクセルを含む6種類8回のジャンプをすべて跳ぶ、女子では誰にもできない難度の高いプログラム。それを完璧に演じきり、自己最高点をたたき出しました。滑走順がこれほど早くなかったら、もっと高い得点が出ただろうと想像します。
3Aに代表されるように、アスリートとしていつも高難度の技に挑んできた彼女でした。安全な技を完璧に演じることで好成績を挙げてきたライバルとの違いは明らかでした。浅田真央の絶えず高みを目指すストイックな姿勢にはいつも感銘を受けてきましたが、一方である種の痛々しさを感じさせるものもあったと思います。少女の頃の、怖いもの知らずで伸び伸びした演技は、戻ってきませんでした。
バンクーバー後、名伯楽佐藤コーチの門を叩き、スケーティングの基礎から叩きなおしたと聞きます。滑りの改造中は大会での成績も振るわず(といっても入賞レベルから落ちるようなことはありませんでしたが)ファンはやきもきしましたが、終始ぶれることなくソチに照準を合わせて実力を積み重ねてきました。
そして迎えたこの二日間の演技でした。フリー終了後のあの表情は、すべてを終えた安堵か、ショートで力を尽くせなかった悔恨か、思っていた演技をやりつくした達成感か。本当のところは本人にしかわかりません。私たちにできるのはただ、苦しみを越えて彼女がなしとげた素晴らしい演技を忘れずにいることでしょう。
お疲れさま、真央ちゃん。今はゆっくり休んでほしい。
雪。雪。ゆき…日々雑記
20140217
予想を上回る大雪に振り回された週末でした。今なお影響は続いています。
このあたりでは金曜日の朝から降り始め、翌土曜日の午前中まで強く降り続けました。積雪は、場所にもよりますが我が家の周辺では70センチくらいになりましたか。土曜日は朝から一日中雪かきでした。裏口など屋根のあるのに、吹き溜まりになって扉が開かなくなるほど降りました。こんなことは初めてです。
電車もずっと停まったまま、高速もまだ開通していません。高校生の次男は雪のため帰宅ができなくなり、金曜土曜と学校近くの友達の家に泊めていただきました。ありがたかった。昨日になってようやく迎えに行くことができました。
山梨県内は観測史上最大の1メートルを越える積雪だそうで、もともとそう雪の降らない地域だけに大変なことになっているようです。ここから東京への道が開くのはいつになるでしょうか。明日私は東京で仕事の会議があり、また長男は受験です。さあ、どうする?
地域によっては配達などご迷惑をおかけする場面もあるかと思います。申し訳ございません。今週後半にはさらに雪が降るなんて言っていますが、想像したくありません。
偽装交響曲音楽ばなし
20140212
語られることは語られつくした感がある、偽ベートーベン事件。水に落ちた犬を、もう日本中がすごい勢いで叩きまくっておりますな。私も格好のブログネタだと思いましたが、出張ということもありすぐに記事を書けませんでした。それでもせっかくの音楽ばなしですから、少しふれてみたいと思います。
代表作?とされる「交響曲第1番HIROSHIMA」は、ほんの一部を聴いたことがあるだけです。以前東京のCDショップに寄ったとき、店内でさわりの部分を繰り返し繰り返しかけていました。マーラーの交響曲第3番の終楽章にとてもよく似ていて、マーラーにこんな曲があったかな?というのがそのときの感想。同じことを多くの人が指摘していますね。
あまり何度も続けてかかるので、いったい何だろうこの曲は、と怪訝に思いました。改めて見てみると店内にはあの長髪黒眼鏡のポスターが貼られこの曲のCDが山積みされ、クラシック売り場では珍しい大掛かりなプロモーションでした。耳ざわりの良い曲でしたが、CDを買ってまで聴こうとは思いませんでした。
まんまと騙されて佐村河内氏をスターにしてしまった例のNHKスペシャルは、たまたまテレビをつけたらやっていて、終わりのほうだけ観ました。「名曲探偵アマデウス」で解りやすい楽曲分析をしていた野本由紀夫氏が、スコアを見ながら「一音符たりとも無駄な音がない」と激賞していました。こんな褒められ方をするような曲なのかと違和感を感じたのは、後だしジャンケンではなくて、本当です。
ゴーストライターだった新垣隆氏は、私はこれまで知らない人でしたが、現代音楽の世界では作曲家・ピアニスト・指導者として著名な人だそうです。彼の本来の仕事である前衛的な作風と「佐村河内テイスト」とは全く異なるもので、芸術的な内なる欲求とは全然別のところで作曲の職人技を駆使し、誰にもわかりやすい「名曲」を書いたということになります。(聴いていないので、私にはこの曲そのものへの評価はできませんが)
曲本来の魅力で勝負するのではなく、「聴覚障害者の被爆二世が独学でこんな素晴らしい曲を書いた!現代のベートーベンだ!」という物語が売られ、十万枚を超える大ヒットになりました。ベートーヴェンは、耳が聞こえないのに作曲したから凄いのではなくて、作った曲そのものが彼以前にも以後にも全くないような独創的で素晴らしいものだったから、凄いのです。彼が聾者でなかったとしても、音楽史の頂点に輝く存在であることは間違いありません。
第二の物語はクラシック界のみならず日本中の人々を呆れさせるスキャンダルになりました。こうなってしまっては、この曲が演奏されることは二度とないでしょうね。CDも廃盤間違いなし。異常に持ち上げられた曲が、今度は強烈なバッシングを受け奈落へ落とされるこの状況を見ると、曲に罪はないのに、とも思います。そのうちブックオフの100円コーナーででも見かけたら、買って聴いてみましょうか。
いや待てよ、それより伊那フィルの定期公演で演奏すれば、きっと結構な話題になるな。だいぶ編成がでかい曲らしいから、手がけるのは大変かもしれませんけど。