あわや立往生日々雑記
20230211
昨日の雪には驚きました。数年ぶりとはいえ積雪は25㌢ほどで、途方もない大雪が降ったわけではないのですが、さまざまな交通障害が引き起こされ、少なからぬ人たちが何時間も動けなくなりました。
朝から絶え間なく降る雪。午前中に中央道が通行止めとなり(これはまあ、仕方ない)午後には伊那谷の大動脈たる国道153号線が実質ストップしました。153が同時多発的に動かないという事態は珍しく、坂を上がれなくなったり路肩に落っこちたり交差点で接触したり、いったい何か所で事故があったのやらと思います。
当社の営業車も相次いでこの渋滞にはまり、遠方に営業や配達に行った車はもちろん、伊那市から駒ヶ根の本社まで数時間もかかった人もおりました。普段なら30分足らずの道ですよ。数日前から雪の予報は出ていて承知はしていましたが、朝の時点ではこれほどの交通マヒが起こるとは予想できず、社員には苦労をかけてしまいまいした。
妻も帰宅途中にこの中に巻き込まれ3時間近くも動けなくなりました。会社に集まっていた情報とアドバイスのおかげで迂回路を通り何とか帰ってこれました。
幸い夕方からはみぞれ混じりの雨となりました。昼間の調子で夜まで雪が降り続いたら冗談でなく(今はやりの)立往生になっていたかもしれません。ぞっとします。夜間それほど気温が下がらず、朝から暖かく陽光が差していますので今日は交通はスムーズです。会社の駐車場に降った雪も除雪を頼んで綺麗に片付きました。やっぱり雪は嫌ですねえ。
バベットの晩餐会(1)読んだり見たり
20230209
「食」を扱った映画は数多く、私も好んで観ています。お取引先のS商事の方々と食事しているとき、好きな映画の話題になり、これまで観た中で大好きな一本としてこの映画をご紹介しました。いずれ本欄で書こうと前から思っていたのですが、ちょうどいい機会、取り上げてみましょう。
1987年製作のデンマーク映画です。時代はさらにその100年ほど前。貧しい寒村に暮らす老神父と、美しい二人の娘。若い将校や情熱的なオペラ歌手など何人もの男性が娘と交際しようとしますが、厳格な神父は娘を男性から遠ざけ、娘たちは信仰に人生を捧げるべく独身を貫きます。
月日は流れ、姉妹のもとにバベットというフランスの女性が革命で追われ流れ着きます。バベットには身寄りも財産も無く、無給でいいからこの教会で働かせてほしいと懇願し、姉妹は彼女を受け入れます。やりくり上手なバベットのおかげで、教会には少しずつ金銭的余裕が生まれ、それまで工夫もなく粗末だった食事も改善されてゆきます。
姉妹も老境に入って、教会に集まる村の信者たちもだんだん偏屈になり、毎週の集会でも口論が絶えない有様でした。姉妹はまた昔のような仲良い集まりにしたいと思い、老神父の生誕百年を記念したささやかなお祭りを計画します。
そんな時。バベットが故国とのよすがに買い続けていた宝くじが1万フランの大当たりをしました(今のお金でどのくらいになるのでしょうか。500万円くらいか?)。このお金でバベットがフランスに帰国してしまうだろうと落胆していた姉妹に、彼女は提案します。「百年祭の御馳走を、どうか私に作らせて下さい。費用は私が払います」
姉妹は今まで頼み事をしたことのないバベットの願いを聞き入れます。バベットは食材買い出しのため、休暇をもらいパリに出かけます。意気揚々と帰ってきたバベットが手配した食材を見て皆は仰天。村では見たことも聞いたこともない、生きた海亀やウズラ、大きな氷柱、高級ワイン。とんでもないものを食べさせられるのではと村人は震え上がります。…
これ以上書くとネタバレになりますので(既になっているか?)ここには書きませんが、結末まで詳しく知りたい方はリンク先のサイトをご覧ください。次回記事で、私の思うこの映画の魅力を書きましょう。
関連リンク: シネマルシェ(映画感想レビュー&考察サイト)
気球に乗ってどこまでも日々雑記
20230208
米国に漂流(侵入)した中国の気球。米機がミサイルで撃墜したことで波紋を呼んでいます。
中国にしては珍しく、自国の気球だと認めましたが、何しに飛んでいたかは民間のものだからとわけのわからない釈明です。民間だったら所有者たる会社が何か言うものでしょう。撃墜されたのが過剰対応だといって怒っていますが、自分たちだって2019年に国籍不明の気球を撃ち落していたのがバレてしまいました。
いったい何を調べていたのかは落下した破片などの回収解析で明らかになると思います。気象を調べていた気球がのんきに浮遊していた、とは考えにくいですなあ。
一発40万㌦と言われる高価なミサイルを使わずとも、機関銃で100発ほど連射すればいいのにと私のような素人は思いますが、撃墜時の気球の高度は60000フィート(18000㍍)以上だったそうで、戦闘機がそこまでの高空に上がっていくのは困難らしいですね。
写真で見ただけでは気球の大きさがイメージしにくく、デパート新装開店のアドバルーンを連想してしまいそうですが、直径60㍍重さ1トン、下に取り付けられていた装置はバス3台分だといいますから巨大なものです。機銃弾では穴は開けられても気球自体を破壊することは難しいようです。
2020年6月に宮城県で気球のような謎の飛行物体が目撃され、話題になりました。本欄でも取り上げていますが、結局のところ正体不明で終わりました。今にしてみればこれも、中国から飛んできたと考えるのが自然でしょう。正体不明のまま放免?してしまったとは、それこそのんきなことでした。怪しいと思っていた関係者だって当然いたでしょうに。
気球の中身に何かを(放射性物質とか⁉)仕込んでいる可能性だってなくはありませんからね、やたらの場所で打ち落とすわけにはいかないし、そもそも自衛隊法ではこのような代物を撃墜することはできないんだそうじゃないですか。ああ日本の周囲、スキだらけですね。
本記事のタイトルと中身はあまりマッチしていないですね。気球に乗ったことは何かのイベントで一度だけあります。ほんの15分くらいでした。こんなものに乗って優雅な空中飛行をしてみたいなあ。いまはドローンから撮影した空からの映像を当たり前に見られるようになりましたが、気球からの視点ってそんな感じですね。
謎の日本人サトシ(2)日々雑記
20230205
2020年になってようやく事態は動きました。進化したAI顔認識アプリによって写真が解析・検索され、サトシに酷似した人が仲間と野外でビールを飲んでいる写真が見つかりました。ホクロや顔の特徴が一致しているというのです。
さらに調べると、あるマラソン大会に出場したときの写真も出てきました。その大会記録を調べ、ゼッケンナンバーから名前がサトシであることや勤務先も判明し、彼がその会社の社長であることまでがわかりました。ローラさんが喜び勇んでサトシにメールしてみると、返事が。(意訳、一部略)
…そうです、私が貴女の探しているサトシですよ。私はこのカードゲームのことをすっかり忘れており、誰かがまだ私を探しているとは夢にも思いませんでした。14、5年前、アメリカ人の親友が私の写真をゲームに使いたいと言いました。私は面白いと思い、最近行った旅行の写真を提供しました。
しかしその後、ゲームのことや、それが何なのかについては、あまり耳にしませんでした。カード自体も見たことがありません。私は次第にこのことの記憶をなくしていき、1年後にはすっかり忘れていました。私の名前は日本ではとても一般的です。 数十万人の名前から14年かかりましたがやっと見つかりました!! それは本当に素晴らしいです! …
ローラさんの喜ぶまいことか。番組で彼女とサトシはスカイプで対面し、お互いを祝福しプレゼントを交換しました。
さて、サトシの正体は誰だったのでしょう?
なんと、なんと、なんとですよ、彼は「長野県駒ヶ根市の会社社長」だったのです。(番組で社名もフルネームも出ましたがここでは控えます)しかも!サトシさんは我が家からわずか徒歩1分の場所に昔も今も住んでいるのです。もちろんお互いによく知っています。世界中から14年間「指名手配」を受けていた人物が、ご近所さんだったとは!!
何か月も前に地元の仲間うちで「サトシを探せ」の話題が出て(その場に本人は不在)どういう設定なのか今一つピンとこなかったのですが、番組を見てよーくわかりました。最近お会いする機会は少ないですが、サトシさんはイケメンの好青年で、これから駒ヶ根の工業界を背負って立つ一人です。
友達の友達の友達… このように知り合いを手繰っていくと、6回で世界中のすべての人にたどり着くことが可能だとする「六次の隔たり」説があるそうです。本来ゲームの開発者はこのような経過でサトシが見つかることを期待していたのかもしれませんが、結局はAI画像解析というあまり面白くない方法で発見されることになりました。
この方法は重大なプライバシーの暴露にもつながりかねず、ゲームに使うことには開発者も慎重にならざるをえないでしょう。番組では、Find Satoshi はこうした人探しの最後の幸福な事例になるかもしれないと言っていました。そうですね、いいような、悪いような。
謎の日本人サトシ(1)日々雑記
20230202
サトシを探せ(Find Satoshi)。14年間にわたって世界各国の人が探し続けた謎の日本人、サトシとは誰か。一年前に放送されたドキュメンタリーが先日再放送されました。平日昼間の放送でご覧になった方は少ないと思います。以前この番組について知人から一連の話を聞いていたので、録画して楽しみに観ました。
2004年に英国で「Perplex City」という代替現実ゲームが開発されました。さまざまなクイズやパズルが記された256種類のカードを次々と解明していくと、それが現実に世界のどこかに置かれている「The Cube」というアイテムの場所を示すヒントになっている。宝探しのゲームです。
世界中の何十万人が挑戦し、256枚のカードは次々に解決していきました。出題から2年ほどで256枚全部が解決しないうちにCubeは発見されてしまい、Perplex Cityは終了しました。しかし最後の1枚だけは未解決のまま残りました。
写真がそのカードです。東洋人らしい男性がひとり。「私を見つけなさい」とあります。名前が「サトシ」であることだけがヒントとして示されます。この男性を探しコンタクトすると、彼が合言葉を教えてくれるというのです。
ゲームプレイヤーたちは懸命にサトシを見つけようとしますが、これだけのヒントで見つけ出すことは困難でした。このゲームにのめりこんだローラ・ホールさんはfindsatoshi.comというサイトを作ってファンたちの情報交換の場としました。ゲーム自体は終わっても、サトシを探すチャレンジはそれからもずっと続いていました。
サトシという名は明らかに日本人の名前で写真の男性も日本人に見えますが(そもそも「私を見つけなさい」と日本語で書いてある)日本ではPerplex Cityは殆ど普及しておらず、なかなか解決に至らなかったと思われます。背景になっている景色は仏アルザスのカイゼルスベルクという村だと早くから突き止められましたが、この村で聞き取りしてもサトシを知っている人はいませんでした。
ローラさんはサトシについて広く情報提供を呼びかけましたが、正解にたどり着くことはできず、謎は謎のまま残されていきました。
(解明は次の記事で)
関連リンク: Find Satoshiのサイト
獄中から遠隔操作日々雑記
20230131
物騒な事件が続いています。オレオレ詐欺の形態が進化?して暴力まで振るうようになったとは、暗澹たる気持ちになります。
広域にわたって似通った手口の強盗犯罪が頻発し、組織的に行われているという疑い。首謀者はフィリピンの監獄(入管収容施設)にいるというから、驚きではありませんか。いったいかの国の監獄事情、どうなっているのか。
本来収容者たちはエアコンもない大部屋で雑魚寝をしているのが、看守だかに賄賂を渡せば空調のきいた個室を使うこともでき、当然持ち込めないはずのスマホも黙認のもと自由に使えるのだそうな。食事だって特別食をサービスされ、ホテル並みの不自由ない生活をしていたのでしょう。時代劇に出てくる「牢名主」みたいですね。発展途上国にはよくありそうな話です。
そこまではまあ、お国の事情としましょう。許せないのは小金に目がくらんだ馬鹿者どもを遠隔で操縦し、日本での重大犯罪をさせた首謀者たちです。写真を見ればまあ4人とも、悪党ヅラしてますわ。
これまで特殊詐欺については、末端の「受け子」「掛け子」は捕まっても、首謀者たちまでなかなか捜査の手が及ばずにきました。組織の全容を掴んで根絶やしにすることができず、特殊詐欺はやりたい放題も同然でした。下っ端たちは捕まっても微罪(たぶん)ですから、気軽な気持ちで手を染める連中も後を絶たなかったわけです。
しかし今回の事件は罪のレベルが違います。姿の見えないボスから命じられたと言っても、強盗殺人の実行犯となれば、とんでもない重罪です。最高刑は死刑もありえるはず。カネのために90歳のおばあさんを拘束し殴り殺すなどという奴は厳罰を食らって当然、自分のやっていることの重大さをわからない馬鹿がこれ以上出てこないよう、きっちり落とし前をつけていただきたい。
関連リンク: ルフィ収容施設は「金がモノを言う世界」(読売新聞)
バクラヴァ食べもの
20230124
バクラヴァはトルコのお菓子です。昨年11月、銀座の松屋デパートにトルコの高級菓子専門店が出店するという話を聞いて、興味深々でした。年末に帰省した息子が土産に買ってきたので家族でいただいてみました。
お店の名は「ナーディル・ギュル」。イスタンブールで180年前に開店した老舗です。日本初となる常設ショップの開店を伝える記事(Hanako)によれば、
―「バクラヴァ」とは、オスマン帝国時代から愛されるトルコの伝統菓子。何十層にも薄く重ねたパイ生地にナッツ類を挟んで焼き上げ、バターやシロップをかけて仕上げる甘い焼き菓子で、中東や地中海地域でも広く親しまれています― とのこと。
息子は以前トルコに旅した際、この店ではないが食べたことがあるそうで、「ものすごく甘い」と言っておりました。当家では菓子は甘いのが当たり前(砂糖もきっとたくさん使うだろうし)ですので臆することはありません。
何種類かあって、写真の左側のものがたぶん本来の形なのでしょう。右側のはもっと大きいものを輪切りにしたのかな。外側のパイ部分はややしっとり、中身の部分はぎっしり押し固められていて重いです。甘さは結構ありますね、ただ前評判ほどの凄い甘さではないような気がします。少しずつ齧って食べると、なかなかのぜいたく感を覚えます。スナックという感じではなく、食べ応えはしっかり。
パッケージに記された原材料名を見てみると「砂糖、バター、ピスタチオ、小麦粉、小麦でん粉、卵、塩」とあって、砂糖が真っ先に来る(つまり一番量が多い)のですからそれは甘い筈です。
珍しいものでとても美味しかったですが、聞いてみると結構なお値段です。ブランド代も相当含まれているのでしょうね。
週刊朝日休刊へ日々雑記
20230119
新聞の片隅に、週刊朝日が5月をもって休刊するとありました。雑誌業界で「休刊」は実質廃刊を意味します。それほどの驚きではありませんが、ずっと続いてきた雑誌離れの中、ついにここまで来たか…と思います。
日本雑誌協会によると、2022夏の発行部数は74173部。全盛期の十分の一だそうです。今はどの週刊誌も苦戦していて、既に廃刊になっているものも少なくないわけですが、創刊100年を数える老舗雑誌の朝日も仲間入りしてしまいました。
父が購読していた時期があり(「街道をゆく」が目当てだったのかな)私も子供の頃からパラパラ読んでいて、愛着のある連載もたくさんありました。
古くはデキゴトロジー、開高健「もっと遠く!」「もっと広く!」神足&西原「恨ミシュラン」、山藤章二「ブラックアングル」、ナンシー関「小耳にはさもう」、内館牧子「暖簾にひじ鉄」。今も続いているらしい「似顔絵塾」、東海林さだお「あれも食いたいこれも食いたい」、ドン小西「ファッションチェック」などなど。小説では海堂尊「極北クレイマー」東野圭吾「さまよう刃」が思い出深い。
「紀信の表紙写真館」もありましたなあ。女子大生シリーズで芸能界デビューした人、宮崎美子をはじめ高田万由子、膳場貴子、大塚寧々、小島奈津子など、大勢いますね。小野員裕「魂のラーメン」は写真がとても美味しそうで、掲載店を探して何軒も食べに行ったりしました。
結構長きにわたって読みましたが、あるとき大変腹立たしく見識を疑うような記事が載ったことから、翌週からプッツリと買うのを止めました。それまで毎号必ず買っていたのに、貴方凄いねと妻が驚いていました。どんな記事だったのか、今ではもう覚えていません。何だったんだっけ?
ライバル誌を見渡すと、文春は良くも悪くも抜群の取材力で一人気を吐いていて、新潮はかなり水を空けられているようです。ポストと現代は老人向けの誌面にはっきり舵を切っているのが、新聞広告の見出しを見てもよくわかります。サンデー毎日は、高校別大学合格者以外に買う人いるのかな(朝日もですが)という感じ。
週刊誌がオワコンになってしまったのには寂しさも感じます。ネットでは代わりにならない部分もやっぱりあったとは思いますから。でも、仕方がないですね。
火事、火事、火事…日々雑記
20230117
街なかの住宅密集地で大きな火事があり、凄まじい燃えようが衝撃的でした。。
火災発生の知らせを聞いて駆けつけてみると、一軒の家からすごい勢いで火が噴き出しています。消防車はいるのですがホースから水が出ていない。近くに水利がないのでしょうか。何分かしてようやく水が出始めた頃には、もう手が付けられない様子です。
驚いたことには道を挟んですぐ向かいに、日頃から大変お世話になっている方のご自宅があるのです。その方向に強い風が吹きつけていて、延焼するのではないかといっときは本当に心配しました。そのお宅は結局延焼はまぬがれましたが、1時間以上黒煙にさらされて家財など大変なことなのではと案じます。
火事は4時間近くたってようやく鎮火しました。4棟が全焼する大きな被害でした。怪我人がなかったことが不幸中の幸いでした。
駒ヶ根では最近火災が頻発しており、年が明けてからこれで4度目です。こんなこと記憶にありません。毎日天気が良く空気は非常に乾燥していて、火事の起こりやすい状況だと人々の口にはのぼっていましたが…先週末にしょぼしょぼ雨は降ったものの、あまり効果はなかったようです。一度火が付くとどうしようもない。
間近で見て、火事はおっかないと改めて思います。気を付けなければ!
ジュリエットあれこれ日々雑記
20230116
ジュリエットの話を書いたついでに、小ネタをいくつか出しておきましょうか。ロミオ(イタリアではロメオ)とジュリエットのお話は、ゼフィレッリの映画以外にも様々な分野で名作を生んでおります。
映画の話からいきますか。1936年以来7回ほど映画化されているそうで、最近では96年ロミオ役ディカプリオで作られています。つい先日BSで放映され、やけにタイムリーだと思いましたが、ゼフィレッリ監督のものではなかったのですね。昨年リメイク版が公開された「ウェスト・サイド物語」がNYを舞台に翻案した話なのはご存知の通り。
「恋に落ちたシェイクスピア(98)」はアカデミー作品賞を受賞し私も大好きな映画で、ロミオとジュリエット初演に至るまでの裏話的なストーリーです。当時の英国では女性が芝居の舞台に立つことが風紀上の問題だとして禁じられていました。芝居大好きな女性(グウィネス・パルトロー、とてもいいです)彼女は売れっ子劇作家若きシェイクスピアの大ファン。二人は恋仲となりますが、一方で冒険心から男だと偽って変装し、舞台に立つようになります。抜群の演技力で「ロミオ役」を演じることになったのですが…この映画を観た人が周囲に少なく、語り合えないのが残念。
音楽作品にもたくさんありますよ。もっとも有名なのは以前ソフトバンクのCMに使われて誰もが耳にしているプロコフィエフ作曲のバレエでしょう。素晴らしい曲だと思います。中でも「タイボルトの死」は凄まじくドラマティックな曲で、一度演奏してみたいと熱望しますが、編成は大きいし技術的にも伊那フィルには難しいですなあ。
チャイコフスキーの幻想序曲「ロミオとジュリエット」はしばしば演奏され、自分でもやったことがあります。ベルリオーズの同名曲は聴く機会がまだありません。オペラではベッリーニの「カプレーティとモンテッキ」は昔スカラ座の来日公演で観たほか、ソプラノのアリア「ああ、いくたびか」は伊那市出身の歌手、白鳥千絵さん独唱の伴奏オケを振りました(14.1.13)。
物語の舞台となるヴェローナは北部イタリアでミラノとヴェネツィアのほぼ中間に位置します。「ジュリエットの家」なる観光名所がありますが、本物のジュリエットが住んでいたわけではないようです。夏には野外劇場で世界的なオペラ祭が催され、私も「アイーダ」を観る機会がありました。
ヴェローナ駅に到着してホテルを探したのですが全然空部屋がなく、大きな荷物を持って2時間近くウロウロした末に諦めてヴィセンツァという隣町まで電車で戻ってようやく宿を取り、またヴェローナまで戻るという始末でした。夜9時に始まったオペラが終わって駅で電車を待ち、宿に着いたのは午前2時半頃だったかな。そんなこんなでヴェローナの街は正直、ほとんど記憶にありません。当時はワインの知識もほとんどなかったので、名産のヴァルポリッチェラもソアーヴェも飲まずに来てしまいました。