なぜ4人ものひとが日々雑記
20230528
中野市の31歳男性が女性2人を刺殺し、駆けつけた警官2人を猟銃で射殺、立てこもるという大事件。長野県下でこのような大量殺人はほとんど記憶がなく(松本サリン事件以来か?)県内のみならず日本中を震撼させています。
動機が云々されていますが「悪口を言われたと思ったから」というのはあまりにも短絡的ですし、そんなことで殺害された女性たちも堪ったものではありますまい。パトカーの警官を問答無用でいきなり撃った非道も、常人には想像しがたいものです。
撃たれた警官のお一人は県警音楽隊で打楽器を演奏していました。私はこの方を直接知りませんが、ドラムを叩く姿をローカルニュースか何かの映像で目にした覚えがあります。同じ打楽器人として大きな哀悼を感じています。
被害者やそのご家族ご友人の無念はもちろんですが、犯人の家族も気の毒です。父親は市議会議長を務めていたのですから、地域で相応の信頼を集めていたはず。ただちに辞表を出し受理されたのは無理からぬことですが、経営していた農園やジェラートショップを含めて、先行きはどうなるのでしょう。
それにしてもメディアでの「専門家」による人格分析、イヤになりますね。ロクに事情も分かっていないうちから、よくもまあしたり顔で偉そうなことを言うものだ。そしてこれも定番の「卒業文集」。あんなものが何の参考になるのかと思います。勘弁してください。
今回印象的だったのは、犯人が飼っていた白い犬です。立てこもっていた時点の中継画像でも目につきました。未明の投降直前、撫でられた犬が大きく尻尾を振っていた様子は、犯人が飼い犬をとても大事に可愛がっていたことを窺わせました。
犯人をかばうつもりでは全くなく誤解しないでほしいですが、二度と会うことはないであろう犬に別れを告げたのですかねえ。立て続けに4人の命を奪った冷酷さとのギャップに戸惑います。
G7、広島から世界へ日々雑記
20230523
先週末に行われたG7広島サミット。想像していたものを遥かに超えて、歴史に1ページを記す大きな存在感を残していきました。
今まさに悲惨で理不尽な戦いが行われているさなか、被爆地広島に世界の首脳が集まった意義は計り知れません。第二次大戦で戦った国の指導者たちが、そして現在の核保有国も保有していない国も、ともに並んで原爆慰霊碑に花束をささげたのです。本当に象徴的な場面でした。
原爆資料館を訪れた彼らが何を見、何を思ったか。内容は非公開でしたが、被爆者の小倉桂子さん(亡夫は元資料館館長)が自らの体験を英語で語るのを、首脳たちは真剣に耳を傾けていたといいます。資料館を出てきた彼らの表情からもうかがい知ることができます。
僅か40分と言う人は言えばよい。しかし首脳たち、彼らの配偶者たち、G7以外の招待国の人たちが、凄惨な被害の遺品遺構を見てくれたことには、大きな意味があったと私は思います。多くの展示物を短い時間内で見てもらうための事前の工夫もされていたと聞きます。
核軍縮に焦点を当てたG7初めての共同文書となった広島ビジョン。不十分だ無意味だなどという人たちもいますが、現実の世界を見れば一回の会議ですべてを解決し全員を満足させることなど、出来るはずがありません。まずは意識の共有。スタートラインに着くことさえこれほど困難だったのです。100点でなくたって、一歩でも半歩でも前進できればいいではないですか。
そして日程後半の耳目をさらったのはゼレンスキー大統領のリアル参加でした。サプライズでしたが、水面下では以前から決まっていたのですね。インドやブラジルなど親ロシアの国々もいる中でウクライナ支援に向けて主要国の合意を取り付け、大国ロシアの横暴をはねのける八面六臂の奮闘ぶりでした。
ゼレンスキーは原爆の被害と今ウクライナが受けている被害を重ね合わせたことでしょう。両者に軽重はないと思います。現在進行形の惨禍に立ち向かっていく中で、G7はもはや以前ほどの影響力を持ち合わせていないのかもしれませんが、心を合わせ世界に発信していく意思統合の場となりました。
岸田首相、こんな時に地元の広島でサミットを主催でき、成功に持ち込んだことは大きく評価されるべきだと思います。関係すべての皆様、お疲れ様でした。
これは読めない日々雑記
20230517
最近ネットに流れてきた写真。カップに書かれた字は何を意味しているのかと話題になっています。「らロひレ ロチ てロチチモモ」??
日本国内ではなく、タイのカフェで撮られた写真だそうです。ふぁんでーという人がtwitterに投稿しました。
(ヒント、英語です)
平仮名カタカナとアルファベットで、文字の形が似ているものを対応させています。「□」はOなのですね。「ら」→S、「ひ」→U、「チ」→F というわけ。投稿者によれば「タイでよく見るフォント」だそうです。正解は「SOUL OF COFFEE」。
これは日本人だからこそ読めないですよね。日本の文字と思ってしまったとたんに負けです。文字を形だけで判断できる外国人にとっては、むしろわかりやすい(ひと目でわかるかどうかは知りませんが)のだと思います。
お暇な方は、下にある細かい字も解読してみては。
キュルノンチュエお店紹介
20230516
高山のソーセージのお店。市中心部から8㌔余りの郊外にある、緑の中の一軒家です。
私は本格ソーセージが大好きで、これまで幾つものお店を訪ねては買い求め、それぞれ特徴ある味わいを楽しんでいます。
キュルノンチュエの売り物はたくさんありますが、中でも他にない珍しいものは、ハードな乾燥ソーセージ。サラミみたいにスライスしていただくやつですね。
お店に足を踏み入れると、白カビにびっしり覆われたソーセージが天井から何百本もぶら下がっているのにびっくりします。他の部屋で製造熟成させたものを最後に二週間ほどこうして(仕上げ乾燥させて?)いるそうです。まことに壮観。
イチ押しだという「ソオスィソン・セック “フルール・ブランシュ” 」を購入しました。フランス語でソーシソンはソーセージ、セックは「乾いた」、フルール・ブランシュは「白い花」、転じて白カビのことです。
帰って早速スライスしていただいてみると…上品な肉の味わいと適度なスパイス、程よい固さ、噛めば噛むほどじんわり効いてくる脂の香りが素晴らしく、もっと買ってくれば(何種類もありました)と反省。いやあこんなソーセージ、初めてです。
普通の柔らかいソーセージも買ってきましたが、これが普通じゃない、皮の歯ごたえがすごく、食べたことのない食感とうまさです。これほどのお店だったのだなと改めて思いました。
通販もあるようですが、やっぱりもう一度お店に行ってみたいですね。トランブルーとセットで近いうちに。
関連リンク: 公式ホームページ
トラン・ブルーお店紹介
20230508
高山にはパンとソーセージを製造販売するそれぞれ全国的に有名な店があり、行ってみたいとずっと前から思っていました。今回その両方を訪れることができました。
パンの店は「トラン・ブルー」。高山駅から徒歩10分ほどの住宅地にあります。この超人気店、事前に調べたところ、休日など店に入ることも簡単ではないのです。開店は9時半ですが、スムーズに入店するにはまず朝6時から店頭に置かれる整理券をゲットしなくてはなりません。(土日祝と繁忙期のみ)
私は6時半頃お店に向い、整理券№は19番目でした。開店時間に合わせて再度赴くと、整理券組といえども結構な行列ができており、お店に入れたのは1時間後。券なしだったら2時間以上は待つことになったでしょう(私なら諦めて帰ったと思いますが)。
さてお店です。パンの種類は案外少なく、30種類くらいでしょうか。総菜パンやサンドイッチは見当たりません。クロワッサンが有名なお店ですが、その焼き上がりは12時と13時半ということで、朝の時間には残念ながら店頭に並んでおらず。
写真のパンたちは購入したものの一部です。中で断然美味しかったのは「スイートロールマウンテン」という小さなパン(左の皿の奥2つ)。サクサクとふうわりの中間の食感で、甘みがほどよく似たような味のパンをすぐに思い出せません。お店の大人気商品だとPOPに書いてありました。
もう一つ、「ハニートースト」(左皿の手前左)も素晴らしかった。名前と見た目はよく焼いたフレンチトーストみたいですが、カヌレを連想させる味と食感、ずっしりと重く表面はパリパリしていて、実に食べ応えがありました。
一度で全部を味わえるはずもありません。宿題になったクロワッサンも含め、何回か訪問しなくては。私たちは店が混む休日でないと行けませんから、もっと簡単に買えるといいですが。
関連リンク: トラン・ブルーのサイト
飛騨あたり探訪日々雑記
20230506
ゴールデンウィークで息子たちも帰ってきましたので、一泊二日でお出掛け。そう遠くには行けません。今回は隣県でありながらこれまで通過したことしかなかった五箇山、高山、郡上八幡などを、限られた時間でちょいちょいと巡ってきました。
五箇山は富山県(南砺市)ですし、郡上八幡もどうも「飛騨」ではないようなので、飛騨「あたり」。最初は白川郷に行ってみようと思っていたのですが、高速を降りる時点で出口がかなり渋滞しており、駐車場探しのことも考えて同じ合掌造りの集落で知られる五箇山に変更。正解だったかと思います。
白川郷ほどの規模ではないものの、五箇山には相原、菅沼という二つの集落(世界遺産)のほか、国の重文指定の村上家などいくつかの合掌造り建造物があります。今回は時間の都合で相原を訪問、十数軒の古民家が点在する昔ながらの集落をめぐりました。雰囲気はそれなりに伝わったかな…という感じでしょうか。皇室の方々が何度も訪問されているようですね。
高山に戻り、夕方になって繁華街に繰り出しましたが大変な人、人、人。街にあるほとんどの飲食店に行列ができています。GWさなかのこと故でしょうが、これだけの観光客が来て夜の街を出歩くとはまったく羨ましい限りです。
街には「飛騨牛」の看板を掲げた店だらけで、飛騨に本当にこれほどの牛がおるのか、と首をひねりたくなります。「飛騨牛銘柄推進協議会」のホームページを見るとなるほど、多くの牧場があるようです。過去には偽装事件もあったようで、ブランドを守るため専門機関が目を光らせているのでしょう。スミマセンあまりに多くの看板に圧倒されちゃって、失礼しました。
繁華街を一歩出て、街の中心を流れる宮川を渡るとぐっと静かになり、有名な「古い町並」もほとんどひと気がなく真っ暗です。昼間はきっと、大勢の観光客がいたのでしょうね。欲がないようにも見えますが、昼の街と夜の街の役割交代なのでしょう。
翌日昼間に訪れた城下町、郡上八幡の街並みは結構な賑わいでした。郡上八幡城は耐震補強工事がされていて、ほんの数日前に見学OKになったばかりなのです。山のてっぺんまで歩くのはこのトシにはしんどかったですが、景観はなかなか見事でした。
飲食については、別記事で。
山開き(なめたらイカン)日々雑記
20230503
先月28日に中央アルプスの開山式が行われ、千畳敷に行ってきました。雲ひとつない快晴で気温もそう寒くなく、登山シーズンの幕開けにふさわしい好天でした。新設されたホテル千畳敷ウッドデッキのお披露目が行われ、地元のアルプホルン合奏も山開きに花を添えてくれました。
久しぶりの行動制限なしのゴールデンウィークとなりました。私たちの商売にとっても大いに期待ができ、本当に楽しみです。
さて開山式神事、玉串奉奠の最中。近くにいらした警察関係者の方々がひそひそと言葉を交わし「救助」とか「遭難」みたいな単語がチラチラ聞こえてきます。何かあったのかなと訝しく思っていました。
夜になってローカル番組で、開山式の報道とともにこんなニュースが。
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(長野放送)28日午前10時過ぎ、長野県の中央アルプス千畳敷上部の乗越浄土(のっこしじょうど 標高2850メートル)付近で、男性4人が110番で救助を求めました。パトロール中の警察署員と遭対協の救助隊員が午後12時半過ぎに行動不能になっていた4人を救助しました。いずれもケガは無いということです。
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28日10時過ぎといえば、まさに開山式が行われていた時間帯です。あのときのひそひそ話はこれだったのね…。私たちの位置からも乗越浄土(稜線)は目に入ります。あそこに遭難者がおったのか。
この日は何人かの登山者やスキーヤーが山頂方面へ向かっているのが見られました。千畳敷周辺は夏場なら運動靴でも散策できますが、春といえども雪に覆われたこの時期は、きちんとした装備がなければとても無理。雪山を舐めてはいけません。
県警山岳遭難救助隊のtwitterに彼らの履いていた靴の写真が出ています。駄目だこりゃ。山頂を望んだら気軽に行けそうに見えて、ついつい気が大きくなったのですかね。登ることは登ったけれど、降りることができずにSOSでした。怪我がなくて良かったね。
安全で楽しい登山シーズンになることを願います。
重要文化財の秘密読んだり見たり
20230501
話題になっている国立近代美術館の「重要文化財の秘密」展を観てきました。明治以降の重要文化財(絵画、彫刻、工芸)全68点のうち51点を集めたという豪華な展覧会で、知っている名作のホンモノにいくつも接し、大変興味深く楽しい展覧会でした。
重要文化財とは? また国宝とどう違うのでしょう?
文化財保護法という法律があり、有形文化財(建造物、絵画、工芸品、古文書、歴史資料など)というカテゴリにおいて重要なものを「重要文化財」中でも特に価値の高いものを「国宝」としているのだそうです。
絵画部門では現在、国宝として165点、重要文化財として1878点が指定されていて、文化庁の「国指定文化財等データベース」に一覧があります。これを見ると、国宝はすべて江戸時代以前のもので、明治以降の作品はまだ一点も国宝指定されていません。長い歴史の評価が定まったものだけが国宝になっていることがわかります。
今でこそ傑作の呼び声高い作品も、発表された当時はそれまでにない新しい表現を打ち立てた問題作でもありました。どのような評価の変遷を経てそれらが重文指定されたのかという、美術史の秘密に迫るというのがタイトルの趣旨だそうです。
印象に残った作品いくつか。当節は写真撮影OKの太っ腹な展覧会も出てきて何となく嬉しい。今回もそうでした(全作品許可ではないが)。
○高橋由一「鮭」 塩鮭の匂いまでしてきそうなリアルさ。鮭の皮、吊るした荒縄の描写がすごい。
○小林古径「髪」 私が子供の頃の郵便切手に採用され、日本切手史上初のセミヌードだと言われました。美しい肌と髪、乳房の描写、裸の女性と着衣の女性の対比が魅力的です。(この絵は撮影不可だったので、画像はネットの拾い物)
○岸田劉生「麗子微笑」 知らぬ人のいない傑作。まじまじと見つめると、現実にはありえない寸法の麗子がまるで生きているようです。この微笑みはモナリザに匹敵するか?
○岸田劉生「道路と土手と塀」 この画はこれまで知りませんでした。ごつごつした赤土の道、石垣塀、電信柱の影。日頃風景画に心を動かされることの少ない私にも、大変な存在感だと思いました。
5月14日まで、東京国立近代美術館にて。期間中に作品の入れ替えがあるようなので、行かれる方はご確認を。
関連リンク: 重要文化財の秘密(公式)