次郎と二郎日々雑記
20140428
ネットで評判になった記事がありました。国賓オバマ大統領と安倍首相が「二郎」で仲良く肩を並べて食事をし、大いに打ち解けた、と。何のこと?と訝しく思う方は、どうぞリンク先の記事をお読みください。傑作です。笑っちゃいました。
申すまでもなく彼らが会食したのは、日本を代表する高級寿司店「次郎」であって「二郎」ではありません。
次郎はミシュラン日本版で三ツ星に輝いているお店ですが、当代きっての寿司職人小野二郎氏の技が賞賛される一方で、まことに高額かつタカビーな店だとして悪口も相当いわれております。曰く、カウンターに座ると食べ手のペースなどお構いなしに矢継ぎ早に寿司を出してきて、握りたてを早く食べろと急かし、長居なぞとんでもないと追い出される。酒を注文すると露骨に嫌な顔をされる。店の滞留時間20分でお勘定は3万円。時間当たりの支払額は世界最高であるだとか。
私は行ったことがないし本当のところはどうだか知りませんが、まさか大統領にはそんなペースで寿司を出してはいないでしょう。安倍首相がオバマに酒を注いでいる写真もありますしね。
20貫出された寿司をオバマは14貫しか食べずに残したという話もありますが、時差のあるフライトを何時間もしてきて食欲がないのは仕方がないと見るのか、ほとんど雑談なし、食事そっちのけでビジネスライクにTPPの話をしていた結果なのか。まあ両方なのでしょう。オバマはあまり食に関心のありそうな人には見えません。(見た目で判断)
さて「二郎」です。こちらは天下に名のとどろくラーメン屋。最近の大ブームは驚きです。私の頃は三田本店しかなかったと思いますが、今では暖簾分けで40店近くを数え、傍系や、二郎インスパイアと呼ばれる触発された店も含めてラーメン界一大勢力になっています。30年前当時からあの店の人気はすごく、毎日学校に行くとき前を通りましたが、とにかくいつでも大行列。行列のない二郎はついぞ見たことがなかったな。
4年間で一度だけ、それでもと思い友達と並んで食べてみました。ブタ肉まみれ油ギトギトのデカ盛ラーメンで、口に合わないことはなかったものの、何でそんなに熱狂を集めるのかよくわかりませんでした。ご主人はラーメンの仕上げに白い粉をふりかけますが(今は知らない)あのヘロインが中毒患者を作るんだとか冗談を言ったりしました。当時の学生新聞がご主人に粉の正体を直撃取材し、あれは味の素だそうだ、とありました。
こちらのジローも行列に加え、注文するのに呪文が必要だったり、独特の店の雰囲気に呑まれたり、値段は安くともハードルの高い店ですね。50歳を過ぎた私にとっては、一口ふた口ならおいしいかもしれませんが、このラーメンを平らげるのは自爆的行為と言わざるを得ないでしょう。でももう一度くらい、食べてみたい気もします。
関連リンク: かんべえの不規則発言 (次郎の記事は4月23日)
甘くてしょっぱい食べもの
20140421
大きな缶に入ったポップコーンを頂戴しました。いま話題の行列人気店「ギャレット」のもの。テレビで見たことがありますが、食するのは初めてです。
缶の中には、キャラメルをかけてカリカリした甘いものとチーズ味のサクフワしたものが、たっぷりと混在しています。両方とも大変はっきりした味で、キャラメルはあくまでも甘く、チーズは濃厚そのもの。実に食べ応えがあり、後を引きます。カロリーも相当ありそう。
これらを混ぜて袋に入れてあるということは、同時に食べて御覧なさいという意味でしょうね…と思って、2個を一緒に口に入れてみると、予想通りの相性を見せます。甘いのとしょっぱいのが絶妙に合うのですね。お互いの味がプラスされるだけでなく、一個ずつを別々に食べたのとは違う別の味わいが生まれる感じです。
甘さと塩辛さの強引とも思える組み合わせが、新たな美味を作り出すことは時たまあります。すぐ思い浮かぶのは、チーズとお酒の組み合わせ。
チーズとワインというのは巷で定番の組み合わせですが、実はどちらかの味が(多くの場合はチーズが)勝ってしまって、なかなか合わせにくいものだと言われます。しばしば口の中がチーズの味で埋め尽くされ、デリケートなワインの味がわからなくなってしまいます。
塩気の強いチーズに合わせやすいのは、甘いお酒です。強い塩味に強い甘味をぶつけ、コントラストを楽しみます。先ほどの話のように、両者にもともと存在しなかった第三の味が生まれる楽しさもあります。甘いお酒というと貴腐ワイン、ポルト、マデイラなど、他にもあるでしょう。お酒でなければ、濃いコーヒーに多めに砂糖を入れたものもいい、とあるレストランで勧められました。これも取り合わせの妙だと思いました。
ポルトは昔で言う「ポートワイン」ですが、赤●でなくポルトガル産の本物のポルト、こういう時に実にいいです。貴腐ワインをやたら開けるわけにはいきませんが、年代物は別として一般的なポルトならそう高価なものではなく、戸棚に1本置いておくのもいいと思います。抜栓してもわりと長もちしますし。
甘味と塩味のミックスで私が苦手なのは「ハッピーターン」。この甘じょっぱさだけは、昔からどうか好きになれないな。でも好きな人、大勢いるんですよね。
自分だったら日々雑記
20140418
韓国の客船沈没事故。大惨事です。悪天候などで救助も難航しているようで、船内にいるはずの人たちはどうなっているかと思うと心が痛みます。
この事故、原因もまだ特定できていませんが、誤った避難誘導が被害を大きくしたのは間違いないようですね。事故発生から船が沈没するまで少なくとも2時間。その間多くの乗客は「客室でそのまま動かずに救助を待つように」との指示に従ったわけですが、徐々に傾斜が大きくなり、動こうにも動けないような状況になってしまったと。
今回のケースでは、何をおいても即座に救命胴衣をつけ甲板に出ることが生存確率を高めたでしょう。いよいよとなれば海に飛び込めばいい。水温が低く、長時間水に浸かっていることで低体温→凍死の可能性だってありますが、船中に取り残されるよりはよっぽどマシです。タイタニックみたいに北大西洋のど真ん中にいたわけではありませんから、そのうちどこかの船が助けに来てくれます。
自分だったらこのときどうしただろう。あるいは何ができただろう、と考えます。外からああだこうだ言うのは簡単です。船内は事故でパニクっている。船は傾き始める。神様ではないから、全体の状況などまったくわからない。そんな中、乗組員の「動くな」との指示に背き、それに従っている大部分の船客の行動にも背き、自分の考えで動けただろうか、と。
東日本大震災の津波で、多くの児童が犠牲となった石巻市大川小学校を思います。大津波警報を受け、学校の裏山に上っていれば助かったのに指示がなく、津波が来るのを校庭で50分間ただ待ち続けた悲劇です。小学生に独自の判断を求めることはできません、先生の指示がすべてです。小学生でなく、自分だったらどうでしょうか。
普段考えれば何でもないことであっても、こうした場に立たされたら冷静な判断は難しい。だからこそ、船でも飛行機でも、常に万一のシミュレーションだけはしておかねばならないのでしょうね。少なくとも、パニック時に集団についていくことが正解とは全く限らない、ことだけは頭の隅に入れておいた方がいいだろうと思います。
20年ほど前、敦賀からウラジオストックへ一昼夜かけて大型客船で渡航したことがあります。チャーター船で数百人が同乗したのですが、下働きスタッフだった私たちは「窓のない6人部屋」をあてがわれ、それがまた結構なシケの海で船は大揺れ、生きた心地がしませんでした。(正確には、船酔いでベッドから一歩も出られなかった)あのときもし何かあったら、果して脱出できたかどうか。閉所に弱い私です。
ようやく桜日々雑記
20140415
ようやく伊那も桜が満開となりました。名所、高遠城址公園の桜も昨日は五分咲き、明日あたり満開宣言となりそうです。3月に寒い日が続き、桜はまだかなまだかなと思っていましたが、4月の暖かさで一気に花開きました。
先週末は駒ヶ根でも県外ナンバーの車、バス、バイクが多く、この時期ならではの賑やかさです。観光バスのお弁当用に食材をお届けしていますが、半月前までは予約があまりかんばしくないなんて話も聞いていたものの、ここ数日でだいぶ盛り返しているみたいです。ありがたい!
毎日好天にも恵まれていますので、今週末までしっかり桜が楽しめることでしょう。ぜひ多くの方に来訪いただきたいですね。
こんなニュース。
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(読売新聞)安倍首相主催の「桜を見る会」が12日午前、東京都新宿区の新宿御苑で開かれ、ソチ冬季五輪・パラリンピックの代表選手や政財界関係者、芸能人など約1万4000人が出席した。
昨年の会ではすでに散っていた八重桜だが、今年は満開。首相は満開の桜を景気に絡め、「給料の上がりし春は八重桜」との句を披露し、自らの経済政策「アベノミクス」の実績に自信をのぞかせた。
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首相、ご満悦の様子ですが、足元をもっと見た方が良くはないですか。
さらばXP日々雑記
20140410
昨日をもってWindowsXPのサポート期間が終了し、更新プログラムが配信されなくなりました。今後XPを使い続けることは、ウイルスやハッキングなど大きなリスクを背負うことになります。お手持ちのパソコンを不本意ながら買い換えざるを得なかった方も多いのでは。
当社も数台のパソコンを更新することになり、いささか手痛い出費となりました。個人的にも家で使っているノートを買い替えました。多くの人が感じておられるでしょうが、XPで何が悪いの、何の不便も感じることなく使ってるのに、と思いますよねえ。
役所などパソコンを何百台も使っている事業所では一気に更新することができず、XPパソコンをスタンドアローンでそのまま使うケースもあるとニュースで言っておりました。さもありなん。
アップグレードがマイクロソフト社の飯のタネであることはよく分かりますが、それまでの資産をハードごと根こそぎ使えなくしてしまうって、何とももったいない話です。地デジテレビ導入のときも思いました。どんなに素晴らしい新型車が発売されたって、性能の劣ることを承知で10年選手のポンコツ車に乗る自由くらいはあるでしょう。まあ車検に少々余計な費用がかかるにしても。せめてパソコン本体くらいは継続して使えないものですかね。
当社で使う新しいOSはWindows7になりました。XPと比べてそれほどの違和感なく使えています。コマーシャルで見るWindows8は、いかにも新しいですが、慣れるには結構時間がかかりそう。だいたいオフィスでタブレットなんか使ってないし。
今現在多くの人が使っている機能から、飛び抜けたものを求める人だってそれはいるでしょうが、一気にジャンプするのではなくゆっくりと前進したい人の方が、きっと多いだろうと思いますよ。パソコンは遊びではなく仕事で、もうなくてはならない存在になっているのですから、過去との継続性をもう少し優先したバージョンアップにしてほしいと思いませんか。
鯨食あれこれ (2)食べもの
20140408
子供のころ学校給食で、鯨の竜田揚げとか角煮とかを食べた思い出を語る人は大勢いますが、私は給食で鯨を食べた記憶がありません。実際にはメニューにあったのかもしれませんが、全然印象に残っていない。どうだったのだろう。
私の覚えている鯨といえば、家の食事で時たま登場した真っ赤な鯨ベーコンです。ジャガイモと一緒に炒めたりしてありました。今では薄っぺらいパックに入って「こんなにするの?」と思うくらい高価なものですが、当時はもちろん安かったのでしょう。子供心には独特の風味があまり好ましくはなく、のちに豚のそれを食べ、見た目は似たようなベーコンでこんなに味が違うものか、と不思議に思ったものでした。
父が贔屓にしていた「樽一」という新宿の居酒屋のことを、以前書きました。このお店は三陸の魚介のほか鯨料理でも有名で、今回の調査捕鯨のニュースで新聞記事にコメントが載っていたりします。学生時代に何度も連れられて行きましたが、鯨を食べたことがありませんでした。私は興味がなかったわけではないのですが、父があんまり好きじゃなかったのかな。
この店で初めて鯨を食べたのは、ずっと後になってからです。駒ヶ根の仲間10人くらいで奥の座敷を借りて宴会をし、珍しい鯨の部位をいろいろと出してもらい、面白くおいしくいただきました。赤身の刺身、皮、ウネス(ベーコンに使う脂のところ)、舌、何だかよくわからないピンク色の内臓など、それぞれ特徴のある食感や味が楽しく、幹事の私は大いに面目を施しました。当時の店長で昔からずっとお世話になっていたAさんには、大変よくしていただいた。
それから1年ほどして、再び樽一の鯨で宴会をすることになりました。前回同様、楽しく飲み食いしていると、Aさんが困ったような顔をして部屋に来て言うには「いまスペイン国営テレビの取材が来ていて、お客さんが鯨を楽しんでいる場面を撮影したいと言ってるんですが…どうしましょう」
ほほう、賢くて可愛い鯨ちゃんを食べる東洋の野蛮人の顔を見ようってんだな。面白い、受けて立ちましょう、取材OKよ!
女性ディレクター、カメラマン、日本人通訳の3人の取材クルーが狭い部屋に入ってきました(もちろん礼儀正しい人たちでした)。同席の料理店経営者I君と私とで、鯨のおいしさをカメラに向かって滔々と語ってやりましたとも。はてさて、どんな番組になったのやら。そして今は引退したAさん、どうしているかな。
鯨食あれこれ (1)食べもの
20140404
ご存知の通り、国際司法裁判所の裁定により、日本の南氷洋での調査捕鯨ができなくなりました。。
言うまでもなく、たいへん不愉快なニュースではあります。今さら書くまでもありませんが、そもそも捕鯨・鯨食への批判は西欧人が自らの感情・文化習俗を押し付けているだけのこと。資源としても南氷洋ミンククジラは減っているわけではなく、科学的に意味があるとは思えません。鯨油を採るために長年にわたって鯨を乱獲し一部の種を絶滅(寸前)に追いやったのは、我々ではなく西欧人たちです。
鯨は頭がよく可愛いから食べるなんてとんでもない、と正直なことをおっしゃいますが、頭が悪く不細工な動物なら食べて良いのか、まことに差別的、手前勝手な理屈でお話になりません。反捕鯨は、海外の愛護団体にとっては絶好のカネづるとなっています。(実は今回の裁定で打撃を受けたのは、今後寄付金・資金調達に困るシーシェパードだ、とも言われていますが…)
裁判についての日本政府の見通しが激甘だったことも批判されねばならないでしょう。何を根拠にしていたのか「楽勝」予想だったのが、このような完敗に終わったことで安倍首相も激怒したそうですが。こんなことでは、竹島や尖閣問題を国際司法裁判所に提訴しても、返り討ちにあってしまうのではと心配になってしまいますな。
しかし、調査捕鯨というあいまいな行為が多くの矛盾をはらんだものだったことは、調べてみるとわかります。年間850頭の鯨を捕獲している現状は、いったい調査なのか商業捕鯨なのかと問われても説得力のある答えは返せません。そもそも商業捕鯨を禁じられた日本がいつか捕鯨を再開するために、資源調査の名目で鯨を捕ってきたのです。調査のためにこれだけの頭数を殺すのは、大義名分としては成り立ちにくい。
もし調査の結果、資源は十分だと判明したとして、今の日本には南氷洋捕鯨を商業的に行おうという民間企業がもうありません。鯨を積極的に食べる人が年々いなくなり、価格も高くなって、消費量がどんどん減っているのです。捕鯨船も老朽化しており、大金をかけて船の更新をすることも難しいようです。本音では、水産庁は南氷洋捕鯨から撤退する口実を探していたなんてことも言われています。(勝川俊雄氏のホームページを参考にしました。下記リンク先をご覧ください)
今回禁止されたのは、すべての捕鯨ではなくて「南氷洋での調査捕鯨」です。北の海や日本沿岸での捕鯨があれこれ言われているわけではありません。大義なく、担い手なく、将来のない調査捕鯨にこだわらず、無理のない、消費に見合った形で捕鯨を続けていくことはできます。
私も鯨をしょっちゅう食べるわけではありません。ときどきは食べてみたくなりますけど。そんな人たちの希望を満たすくらいには、捕鯨も続いてほしいと思います。
関連リンク: 我々日本人が、捕鯨について議論すべき事