鯨食あれこれ (1)食べもの
20140404
ご存知の通り、国際司法裁判所の裁定により、日本の南氷洋での調査捕鯨ができなくなりました。。
言うまでもなく、たいへん不愉快なニュースではあります。今さら書くまでもありませんが、そもそも捕鯨・鯨食への批判は西欧人が自らの感情・文化習俗を押し付けているだけのこと。資源としても南氷洋ミンククジラは減っているわけではなく、科学的に意味があるとは思えません。鯨油を採るために長年にわたって鯨を乱獲し一部の種を絶滅(寸前)に追いやったのは、我々ではなく西欧人たちです。
鯨は頭がよく可愛いから食べるなんてとんでもない、と正直なことをおっしゃいますが、頭が悪く不細工な動物なら食べて良いのか、まことに差別的、手前勝手な理屈でお話になりません。反捕鯨は、海外の愛護団体にとっては絶好のカネづるとなっています。(実は今回の裁定で打撃を受けたのは、今後寄付金・資金調達に困るシーシェパードだ、とも言われていますが…)
裁判についての日本政府の見通しが激甘だったことも批判されねばならないでしょう。何を根拠にしていたのか「楽勝」予想だったのが、このような完敗に終わったことで安倍首相も激怒したそうですが。こんなことでは、竹島や尖閣問題を国際司法裁判所に提訴しても、返り討ちにあってしまうのではと心配になってしまいますな。
しかし、調査捕鯨というあいまいな行為が多くの矛盾をはらんだものだったことは、調べてみるとわかります。年間850頭の鯨を捕獲している現状は、いったい調査なのか商業捕鯨なのかと問われても説得力のある答えは返せません。そもそも商業捕鯨を禁じられた日本がいつか捕鯨を再開するために、資源調査の名目で鯨を捕ってきたのです。調査のためにこれだけの頭数を殺すのは、大義名分としては成り立ちにくい。
もし調査の結果、資源は十分だと判明したとして、今の日本には南氷洋捕鯨を商業的に行おうという民間企業がもうありません。鯨を積極的に食べる人が年々いなくなり、価格も高くなって、消費量がどんどん減っているのです。捕鯨船も老朽化しており、大金をかけて船の更新をすることも難しいようです。本音では、水産庁は南氷洋捕鯨から撤退する口実を探していたなんてことも言われています。(勝川俊雄氏のホームページを参考にしました。下記リンク先をご覧ください)
今回禁止されたのは、すべての捕鯨ではなくて「南氷洋での調査捕鯨」です。北の海や日本沿岸での捕鯨があれこれ言われているわけではありません。大義なく、担い手なく、将来のない調査捕鯨にこだわらず、無理のない、消費に見合った形で捕鯨を続けていくことはできます。
私も鯨をしょっちゅう食べるわけではありません。ときどきは食べてみたくなりますけど。そんな人たちの希望を満たすくらいには、捕鯨も続いてほしいと思います。
関連リンク: 我々日本人が、捕鯨について議論すべき事