「おいしいことなど徒然と」

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萩尾望都読んだり見たり

20210227



少女漫画というもの。かつては妹や従姉妹たちが読んでいたものを手に取ってみたりして、いくつかの作品には馴染みがあります。


「サインはV」や「アタック№1」などスポーツものに始まり「ベルサイユのばら」、竹宮恵子の「空がすき!」、「ガラスの仮面」(本当に完結するのでしょうか)、などなど。中でも三原順の「はみ出しっ子」は実に読み応えのある傑作だと思い、時々読み返します。「のだめカンタービレ」も、少女漫画か。


NHK教育TV「100分de名著」で、スペシャル再放送として萩尾望都の作品を一挙に特集しました。萩尾望都はご存知の通り、竹宮恵子、大島弓子と並んで少女漫画における御三家、「花の24年組」と称される巨匠です。小谷真理、ヤマザキマリ、夢枕獏ら気鋭の皆さんがそれぞれ推薦本を持ち寄り、熱く語るのを見て無性に読んでみたくなりました。いいオヤジがと笑うなかれ。


短編SFの名作「11人いる!」だけはだいぶ前に読んでいます。皆様もご存知でしょう。宇宙を舞台にした密室サスペンス/サバイバルもので、次々に起こる危機をテンポよくさばいています。


今回小谷真理氏オススメの「トーマの心臓」を会社の女子社員に借り読んでみました。これは…読みでがありますね。


設定はBL(ボーイズラブ)の体裁で、ドイツのギムナジウム(寄宿学校)を舞台に、自殺した美少年トーマの残した謎をめぐり、屈折した過去を持つ何人もの少年たちの愛、葛藤と再生を描いております。めちゃめちゃ中身が濃く一読ではわかりにくい。最初に読んだ「週刊少女コミック」の読者は混乱したでしょうなあ。連載初回の読者アンケートは最下位で打ち切りの話もあったとか。


ヤマザキマリ氏推薦の「半神」は、短編集に収録されていて簡単に入手できました。体の一部がつながった双子の少女たち。知能の優れた姉ユージーは自分の栄養を妹に吸い取られ、骸骨のよう。妹ユーシーは知的障害があり自分のことは何もできず言葉もわからないが、天使のような美貌を持つ。一体であるが故に生活のほとんどを妹の世話に費やさなければならないユージー。妹に向ける愛憎は、やがて二人を切り離す手術によって…という話。うなります。これは二人の物語でなく、一人の二面性を描いたものか。


コミックという形で表現される文学作品。番組ではキリスト教的世界観にふれる人がいましたが、なるほどと思います。少女漫画独特の表現、背景に脈絡なく花が咲き乱れるとかは、私はそんなに気になりません。BLには共感しにくいですけど。「イグアナの娘」を次に読んでみたいなと思います。

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ダウンタウン物語読んだり見たり

20200801

梅雨が明けました。7月、実によく降ったものです。久しぶりに日光をたくさん浴びて、遅い夏を体感したい!(本当は汗かきで暑さに弱いのですが)


さて映画監督/脚本家のアラン・パーカー氏が76歳で亡くなったそうです。作品リストを見ると多作な人ではありません。私はデビュー作「ダウンタウン物語」と「ミッドナイト・エクスプレス」しか観ていませんが、どちらも心に残る傑作です。


後者は学生時代、映画が終わって客席が明るくなり、立ち上がって周囲を見渡すと、そこら中の人がみんな目を真っ赤にして茫然としていたのを思い出します。残酷で衝撃的な内容と美しい映像とのコントラストが凄かった。


「ダウンタウン物語」は観た人は少ないと思いますが、ワン・アイデアを凝りに凝って生かした映画で、愛すべき佳品とでもいいましょうか。コメディ、ミュージカル。どこがワンアイデアかというと、この映画には子供しか登場しない。正確には、大人の役をすべて子供が演じているのです。ギャングのボス、殺し屋、ボスの情婦、バーテンダー、運転手、みんな子供。


舞台は禁酒法時代のNY、2つのギャング団の抗争に巻き込まれた主人公が、間をうまく泳ぎながらピンチを切り抜けてゆく話です。ギャング同士の血で血を洗う殺し合いなのに、映画では一滴の流血もありません。すべて「パイ投げ」。パイが当たったら死んだことになる、映画の中のお約束。猛烈な勢いでパイ(漆喰)を発射する当時の新兵器「機関銃」の争奪が抗争のキイになります。


ギャング映画、当然のように「自動車」が登場しますが、子供の役者が運転しますからエンジンでなく「ペダルを足でこいで」走ります。自動車のデザインが素晴らしい。このカーチェイス、抱腹絶倒です。


当時14歳のジョディ・フォスターがボスの情婦役を演じたことで妖艶だと話題になりました。登場人物の中では一人だけ大人びていて、浮いています。私はジョディ、好きですが、この映画ではイマイチかな。主人公の恋人で売れない歌手を演じた女の子(フロリー・ダガー)は地味に可愛くてなかなかイイですが、本作以外には映画出演していないようです。


ちょっと間抜けな太っちょのボスとかダンサーを目指すがオーディションに恵まれない酒場の掃除係とか、随所でいい味を出しています。子供だけが出演しているという突飛な設定にもかかわらず、全体の雰囲気がまさに時代そのままで「ゴッドファーザー」を観ているようです。最後には映画史上最大級のパイ投げ(銃撃戦)も楽しめます。追悼特集で、どこかBSで放送してくれませんかね。

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エール読んだり見たり

20200613



作曲家、古関裕而をモデルにした朝ドラ「エール」。再放送中の「はね駒」と共に、録画して毎日観ています。始まった頃はやや退屈でしたが、主人公が上京、結婚してから話がずいぶん面白くなりました。


大手のコロンブスレコードと契約したものの、ヒット作を出せず腐っていた主人公古山裕一。早稲田大学応援団から応援歌を依頼され、苦心の末に名曲「紺碧の空」を作曲したエピソード。学生時代にさんざん聞かされた歌ですからよく知っています。当時まったく無名だった若者によく頼んだものです。私ゃまあ「若き血」の方がずっと名曲だと思いますけどね。


翌週は東京音楽学校で声楽を学ぶ妻、音(おと)がオペラ「椿姫」の主役オーディションに挑む話。市井の男女の機微を知ろうと、カフェーでアルバイトをする音。


先輩の女給は、裕一の親友、鉄男の元交際相手だった。娘を鉄男と結婚させたいと考えた勤務先の社長が、手切れ金を渡し無理やり別れさせたのだった。…このいきさつは、椿姫のストーリーの引用になっています。ふんふん、凝ってますね。


起死回生、「船頭可愛や」が大ヒットしてようやく息を吹き返した裕一。私の子供の頃、家に何枚かのSPレコードがあったのですが、音丸だか市丸だかの歌うこの曲もあったような気がします。「天竜下れば」は市丸の方だったかな。むかし祖父が購入したものだと思います。


登場人物の命名が実に安易にモデルをもじっていて、笑えます。古関裕而→古山裕一、山田耕筰→小山田耕三、古賀政男→木枯正人、大歌手三浦環→双浦環)、作詞家野村俊夫→村野鉄男などなど。コロンブスレコードはもちろん、コロムビアレコードのもじり。


音を演じる二階堂ふみ、いいですね。前からいい女優さんだと思っていました。「地獄でなぜ悪い」「蜜のあわれ」の二階堂ふみと本作の彼女を結び付けるのは難しいです。主役の窪田正孝、頼りない演技がまことにじれったいですが、そういう役どころですからしょうがないね。


さてこれからという時に、コロナのため収録ができず当分放送中断とは、そりゃないよ。来週の予告によれば、これまでの物語から派生した脇道のエピソードをアナザーストーリーと題して放送するのだそうです。それはそれで面白そうですが、本筋のお話は、さていつ再開するのでしょう?

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はね駒読んだり見たり

20200512





NHK朝ドラ。作曲家古関裕而をモデルにした「エール」、いいドラマだと思って観ています。が、BSで再放送している「はね駒」が実に良くて、今回はその話。


1986年(昭和61年)の制作ですから、もう30年以上も前のドラマなのですね。当時私は東京の会社に就職して寮生活をしており、ビデオはもちろん自分のTVも持っていませんでした。ゆえに今回が初見です。


ヒロインを演じるは斉藤由貴。何で私がこのドラマを観るかって、昔っから彼女のファンだからですよ。この頃の斉藤由貴は、地上に舞い降りた天使だと思います。今ではいささか別方向に行ってしまった感もありますが。


何と表情豊かなのでしょう!大きな目とぼってりした唇で、笑って、泣いて、怒って、困惑して、恥ずかしがって。他の役者なぞどうでも良い、斉藤由貴だけ見ていれば15分間全く飽きません。若い女優でこれほどの表情を見せてくれる人、彼女のあと、今までにどれだけいたでしょうか。


斉藤由貴は84年のミスマガジングランプリに輝き、「青春という名のラーメン」のCMで世に出ました。以前いた会社で、発売元の明星食品さんのプレゼンがあり「CMにはサイトウユキを起用します。この子を知ってる方はいらっしゃいますか」と聞かれ、30人近くいた中で私だけが手を上げました。実は数日前に雑誌で彼女のグラビアを見て「可愛い子だな~」と思って記憶していたのでした。


歌手としての斉藤由貴は、いいのもあるし、それほどでもないものもあり「チャイム」「風夢」あたりが最もいいと思います。実は私、ご本人と一度だけですが、同じステージで共演したことがあります。本当です。そのうち書きましょう。


30年前ですからセンスが古いドラマですが、いちおう退屈せずに見せてくれています。三枝成彰作曲のあまりにも重苦しいテーマ曲が番組の内容と全然合っておらず、可笑しいと毎回思います。これじゃあ「おしん」だよ。曲を作る前にどんなドラマか打ち合わせている筈なのに、何でこんな曲になったのかな。細川俊之のナレーションも然り。


二十歳の斉藤由貴を毎日観られるなんて、ありがたやありがたや。

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ねらわれた学園読んだり見たり

20200429





少し日が経ってしまいましたが、映画監督の大林宣彦氏が82歳で亡くなりました。末期がんで余命3カ月と言われながら3年以上も闘病し、その間にもメガホンを取りTVにも出演するなど精力的な活動をされていました。


wikipediaによれば44本の映画を撮っているそうです。私の学生時代に公開された比較的初期の数本しか観ていませんが、POPな「ハウス」「ねらわれた学園」から一転して詩情あふれる「転校生」「時をかける少女」への飛躍は凄かった。


訃報を受けて評伝があちこちで書かれていますが、「ねらわれた学園」にふれたものがあまりありません。私もこの映画が「転校生」より素晴らしいなどと言うつもりはないのですが、一見馬鹿馬鹿しいお茶らけのような作風が妙に気に入っています。追悼番組で放映されたので、久し振りに観ましたよ。


デビュー間もない薬師丸ひろ子を起用したアイドル映画、1981年公開です。原作は眉村卓。NHKの少年ドラマシリーズ(いま調べると『未来からの挑戦』というタイトルだった)で77年にドラマ化されていました。


映画のファーストシーンは、目覚めてベッドから起きあがるヒロイン由香(薬師丸)。流れる主題曲はユーミンの「守ってあげたい」。モノクロから人工着色へと移っていくコマ撮りの画面。もうこの掴み、最高です。しびれます。


新宿高層ビル街の近く?にある古くさい高校が舞台です。新入生の歓迎・勧誘で、さまざまな運動部文化部が校庭一杯に広がって繰り広げるダンスが圧巻。由香のボーイフレンド、関(高柳良一)は剣道部主将だが、あまり強くない。試合での大ピンチを由香の超能力で救われ勝利するが、自分の実力で勝ったと思っている。


転校生の高見沢(長谷川真砂美)が学園の風紀秩序の乱れを正そうと、生徒会長になり校内パトロール隊を組織する。生徒たちの行儀は良くなっていくが、学校には息苦しさが充満し皆は生気を失っていく…


火星から来たというコスプレの首謀者(峰岸徹)、同級生で抱腹絶倒のヘンテコリンな演技を見せる手塚真など、全編が遊び心にあふれています。今見れば(当時でも)滑りまくりの白けそうなギャグも多いのですが、それもまあ許します。薬師丸ひろ子のアンパンみたいなまん丸顔が何故あれほど人気を集めたのかわかりませんが、アイドル映画としては確かに成功したのでしょう。


いい年をした大人が観るようなものではないかもしれません。でも大林ファン、薬師丸ファンだったら、寛容な広い心でご覧いただければ。

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ワニ、死まであと一日読んだり見たり

20200320



いま世間でもっとも注目を集めているコミック「100日後に死ぬワニ」。とうとうあと1日でXデーを迎えます。


何の事だかわからない方に説明すると、これはtwitterで連載中の4コマ漫画です。主人公のワニのほのぼのした日常を描いたもので、特別「オチ」があったりはしないのですが、4コマ目の下に毎回「死まであと○○日」とカウントダウンが書かれ、読者の気持ちを大きく揺さぶります。


ワニは通販で人気商品を注文し届くまで一年待ちの品物を楽しみにしたり、途中まで読んだコミックの未発表の結末を知りたがったり、ゲームに熱中しプロのゲーマーを目指したりします。しかし読者である私たちは、彼の余命を計算してその願いが叶わないこともわかっています。


下記リンク先でこれまでの日々をすべて読むことができます。私はネットでこのマンガの存在を知って、昨年末頃から読み始めました。日が経つにつれ人気が高まってメディアでも取り上げられるようになり、作者であるきくちゆうき氏のtwitterのフォロワーは現在190万人に上ります。


変わらぬ日常の連続がいかに貴重な時間か、誰もが思わされます。主人公のワニが特別なのではなく、私たちだって明日何が起こるかわかりませんものね。自分はどれだけ時間を大切にしているのか、自問自答せざるを得ません。


そして今日3月20日、いよいよ「死まであと1日」になっているのです。ワニは本当に死んでしまうのか、それとも別のあっと驚く結末が用意されているのか。ワニの死後、親友のネズミやモグラ、大好きなセンパイの女ワニら、登場動物たちはどうなるのか。ワニの死後もこの連載は続くのか(あと4コマですべてを終わらせるのは、かなり大変だと思われます)。興味は尽きません。(多くの方がこの記事を目にする時には、すでに結末が出ているはずですが)

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CATS読んだり見たり

20200220



鳴り物入りで公開されたものの、海外ではコテンパンの悪評となりゴミ映画とまで言われている「CATS」。ミュージカルの舞台は観ていない私、ちょうどいい、どんなものなのか半信半疑で観に行きました。


何でこんなに悪口を言われるのか。一番大きい要因は、俳優たちのCGコスチュームらしいです。限りなく猫に近く見せているようで、裸の体に猫の体毛が植わったような感じに何ともエログロな違和感、気持ち悪さを覚える人が続出なのだとか。


ストーリーがなくて退屈だの、太った雌猫がネズミやゴキブリを食べるのが「進撃の巨人」みたいでキモいだの、我が国の映画ファンたちも概ね低評価のようです。


私、なかなかいいと思いましたよ。皮肉とか抜きで、楽しめました。


ミュージカル自体にそもそも馴染みのない人っているでしょう。登場人物が会話しているのに突然歌って踊りだすのがわけわかんない、とか。そういう人に悪口言われたって、ねえ。猫のコスチュームもクネクネした身のこなしも、みんな「お約束」なのです。そういうものだと踏まえた上で、歌やダンスを楽しめばいいのです。


ストーリーがない、それはまぁその通り。かいつまんで言えば、自由に暮らしている猫たち(ジェリクル・キャッツ)から一年に一度、天上で新たな命を得られる猫が選ばれる。その基準は素晴らしい歌で長老猫に認められること。個性的な猫たちが自らの身の上や特技を歌い競い合う…という話で、大した筋ではありません。


物語を主にせず歌とダンスをひたすら披露するミュージカル、いくらでもあります。舞台では表現できない場面や視点の転換は、映画ならでは。主人公の臆病な白猫はとても可愛く踊りも上手く、魔術師猫や鉄道猫はカッコ良かったし、役者猫は威厳がありました。そして娼婦猫による代表曲「メモリー」の熱唱は、素晴らしかった。(鼻水たらしながら歌うのだけは、ちょっと引きました)


悪評に動ずることなく観て良かったと思います。英語版でしたが、次は日本語吹き替え版でも観てみたい。映画館の帰りにCDまで買ってしまいました。

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白い巨塔読んだり見たり

20190525

テレビ朝日の開局60周年記念だとかで、このところ毎晩続けて放映しています。この記事は3話まで終わった時点で書いています。第1話は一応きちんと観ましたが、2日目からは他局とザッピングしながら流しています。


もう何度もドラマ化、映画化されている人気作品ですから、ご存知の方が多いでしょう。中学生の頃、家にあった山崎豊子の原作小説を読んで大変面白く、しかし結末には大いに憤慨したものです。のちに続編を読了してようやく気が済みました。


このボリューミーな内容を僅か5回に詰め込むのは難しいことでしょう。3回終わってまだ佐々木傭平氏が存命なのですから、残りの時間では控訴審まで行けそうもありません、一審で終了でしょうな。大河ドラマの総集編みたいな感じになってしまい、物語にも人物像にも厚みがなく、物足りません。(だから第2回以降は流し見になっている)


過去に映像化された白い巨塔ですが、私は田宮二郎主演のモノクロ映画版(66年、山本薩夫監督)、唐沢寿明主演のドラマ(03年フジテレビ)を観ています。田宮二郎の78年TV版は死を前にした彼の入魂の名演といわれましたが、残念ながら観ていません。


どうしても比較したくなってしまいますね。ファンの方には申し訳ないですが、主演俳優の格の違いは歴然だと思います。一世一代の当たり役だと誰もが認めた田宮二郎の後、財前五郎を演じた唐沢寿明のプレッシャーは大変なものだったでしょうが、精悍、かつ毒も弱さも僅かな優しさも持ち合わせた主人公を立派に務めました。


そこへいくと今回の岡田准一は、明らかに小物感が漂い、芝居も一本調子、野心家というよりずるがしこい財前になっています。貧しい生まれから這い上がってきたエネルギーが感じられません。田宮二郎や唐沢寿明にはそれがありました。


財前だけでなく、里見役の松山ケンイチもミスキャストかな。そもそも里見ってあまり現実味のない良い子キャラですが、それに輪をかけて「坊や」になっています。全体に若いキャストが多く、違和感を覚えます。それにもっと大阪っぽいテイストが欲しいところです。


なんか悪口ばっかで申し訳ないですね。好きな話なので、ついつい物申したくなってしまいました。あと2回観ようか、さてどうしましょうか。

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残像に口紅を読んだり見たり

20190323



筒井康隆のとてもユニークな小説です。着想の妙にアイデア賞。苦労して実際にこんなものを書きあげたことに努力賞…


これは1989年に刊行された実験的な小説で、一章ごとに使える文字(正確には、音)が一つずつ無くなっていくのです。いろいろルールがあって、消えていく順序はランダム、「は」と「ば」「ぱ」は別物扱い、長音の音引きも同時になくなる(「い」が消えると「チーズ(ちず)」も消えてしまう)など、冒頭の登場人物の会話の中で細かく規定されています。


面白いのは音が消えると、その音を含む言葉はすべて消え、そればかりかその言葉が意味していた物体の存在そのものも、小説世界から消えてしまうことです。


たとえば「フ」ランス料理店で食事をしていたのに、次の章で「ふ」が消えると店は「どこの国だか記憶にない欧州料理店」になる。ナイ「フ」も「フ」ォークも同時に消えてしまい、店のボーイが箸を持ってきたりする。


そんなことはどうでもいい、それどころか、一緒に食事をしていた娘の「文子」が消えてしまいます。でも文子の残像みたいなものはしばらくの間、残り香のように感じられて、主人公は何かかけがえのないものが失われてしまったという、よくわからない喪失感を覚える。この喪失感こそが、小説のテーマだとも言えますね。


どんどん使える文字が少なくなっていきますから、当然ながら最後の方はストーリーはもちろん文章にさえなりませんが、ぎりぎりのところまで読み物として成立させるべく、よく頑張ったものだと思います。


文庫版の巻末には使われている音の分布を細かく分析した論文が収録されていますが、それによれば小説中に作者のミス、5件のルール違反(既に消したはずの音をうっかり使ってしまった)が発見されるとのこと。見つけた人もすごいわ。


一昨年11月、アメトークというバラエティ番組の中で(観たことありません)お笑いのカズレーザー氏が本作を激賞したのだとか。そのおかげで知る人ぞ知る存在だった本作は急に話題作となり、多くの人が手に取ることになったそうですよ。


ご興味をお持ちの方、ぜひご一読を。

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萬平さん読んだり見たり

20181217

昨夜TVで「シン・ゴジラ」をやっていて、途中から観たのですが(公開時に映画館で観ています)朝ドラの萬平さんが同じような役、同じような台詞、同じような演技をしていて、もう可笑しくって。。萬平さん、たちばな塩業で身を起こし、ついには日本の中枢に駆け上がってゴジラと対決するまでになりました。


朝ドラ「まんぷく」では、長谷川博己と安藤サクラが主人公夫婦を演じております。ご存知の通り日清食品の創業者、安藤百福とその妻、仁子がモデルです。


私の仕事にも関わる題材ですし、怪女優の安藤サクラ(褒めているんです)が真っ直ぐな役をどう演じるのか楽しみにして観てきましたが、ちょっと進行がスローですね。いっこうにラーメンを作り始めません。このドラマは3月までですが、もうじき半分過ぎてしまいますよ。


拘置所暮しが長いです。戦争中は物資横流しの疑いで憲兵隊に捕まり、戦争が終わると手榴弾を隠し持っていたとしてGHQから反逆罪の疑いを掛けられ(これはwikiに載っていないが、フィクション?)今週は脱税容疑ですか。いったん捕まるとダラダラ長いんですよこのドラマ。


大勢の従業員たち、よく見ると面白そうな面子が何人もいますが、いまだに誰も名前を覚えられません。そりゃあ一度にあれだけ登場しては、無理です。せっかくの連続ドラマですから、全社員を同じように描くのではなく、何人かにスポットを当ててみた方がいいんじゃないですかね。(少しはやっているが、中途半端だと思う)


長谷川博己の芝居はワンパターン。安藤サクラは無難にこなしています。松坂慶子はあれだけふくよかになっても、綺麗ですね。登場人物の中で一番きれい。武士の娘ですもの。


そんなわけで、ドラマとしての面白みがあまり感じられず、正直飽き始めています。続けて観ようかどうしようか、ちょっと考えてしまいます。早くラーメン作ってくれよ、萬平さん。

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