英国一家、昆虫を食べる食べもの
20160226
英国人ジャーナリスト、マイケル・ブース氏による「英国一家、日本を食べる」。話題の本として結構売れたようですし、NHKによってアニメ化されたものをご覧になった方も多いと思います。ブース氏と妻リスンさん、二人の息子アスガー君エミル君の4人家族が100日間日本に滞在し、東京、京都、大阪、北海道、九州などを訪れ、驚きの日本食体験をするレポートでした。原題は“Sushi & Beyond”。私も興味深く楽しく読みました。
その彼らが、続編執筆の取材に伊那市を訪れ、昆虫食に挑戦したという記事が新聞に載っておりました。
-----------------------------
(長野日報)英国人フードジャーナリストのマイケル・ブースさん(44)が22日、伊那市上新田の珍味店、塚原信州珍味を訪れ、昆虫食を体験した。ベストセラーとなった「英国一家、日本を食べる」の続編の取材が目的で、イナゴや蜂の子、蚕のさなぎのつくだ煮などを味わった。
1月に長野県の食文化を取材したいという問い合わせが県観光部にあり、信州を広く発信できる好機として同市観光協会とも連携して受け入れることになった。日本には既に20回ほど訪れているというブースさん。「昆虫食は独特で興味があったが、1作目には長野県に来ることができなかった。食べてみたかった」と話した。
-----------------------------
写真のブース氏と次男エミル君がアニメと瓜二つなのに笑ってしまいました。ブース氏「イナゴが一番おいしい」と言ったとか。前作では結構辛辣な書き方をされている場面もありましたから、これが本音だったかどうかは、本になってみないとわかりませんね。伊那のあと松本や長野を訪れたらしいですが、何を食べていったのやら。野菜のおやきに、五平餅に、お漬物に、おそば?
TV番組などで信州を代表する珍味とされている昆虫ですが、一般家庭で日常的に食べているところは少ないでしょう。私も年に一回くらいでしょうか。昆虫と一口にいってもいろいろで、代表的なのは記事中の三種と、あとザザムシですね。
私の個人的嗜好では、蜂の子とイナゴはまあおいしくいただけます。蜂の子は缶詰で地元のスーパーならどこにでも並んでいますが、なかなかいいお値段の高級品です。(いま見たら、amazonでも買えるじゃないですか!)ザザムシは個体がごく小さいこともありますが、虫の味というより、佃煮の味ですね。見た目はグロいけれども、目をつぶって食べればそんなに違和感はないのでは。
お恥ずかしいですが、さなぎは、私は食べられません。見た目もにおいも、まったく駄目。昔ソウルへ行ったとき、大鍋で煮たさなぎを路上で売っていて驚きましたが、逃げ出したいくらいのにおいでした。彼らには日常食なのかな?
冬でもかき氷食べもの
20160222
かき氷って、まあ、夏のものでしょう。ところが最近のかき氷ブーム、この寒空に何十分も行列してかき氷を食べるというから、いろいろな人がいるものです。
と他人事のように書きましたが、実は私もしばらく前、行列して食べてきました。東京谷中の「ひみつ堂」というお店です。
皆様、最近のかき氷専門店のメニューの豊かなバリエーション、ご存知ですか。普通に私たちが想像するのは、いちごレモンメロン、ブルーハワイ、抹茶などの既成シロップを使い、そこに小豆練乳白玉などを組み合わせたあたりだと思います。
それが「和栗ミルク」「レアチーズみかん」「メープルりんごみるく」「デコポンヨーグルト」「モカチョコナッツ」「生いちご甘酒」「和三盆レモン」「抹茶にガナッシュ」「さつまいもクリームキャラメル」…
かき氷フリークたちのtwitterを見ると、信じられないようなゴージャスなかき氷の写真が目白押しに並んでいます。氷菓というよりほとんど高級アイスクリームのよう。シンプルな果物のシロップも、厳選した各種のフルーツを産地から取り寄せて一品一品手作りしています。
そしてすべての基本となる氷。ひみつ堂では日光の天然氷を使い、切り出し作業にも参加したりしているそうです。日光の天然氷は以前dancyuで特集記事を読みましたが、毎日毎日、氷の上に落ちる雪や枯葉を取り除く根気のいる仕事だそうです。
そのひみつ堂。寒い中、店の前で40分ほど待ちましたか。注文したのは「ひみつのいちごみるく(写真手前)」「苺のミルフィーユ」。苺が重なってしまいましたが、それぞれまったく異なった味わいで、写真のような大きなかき氷をあっという間にいただきました。これなら3杯くらい楽勝ですね。
このお店、夏場は数時間待ちとなるそうで(整理券が出るのでずっと炎天下で待たなくてもいいみたいですが)私もさすがにそこまでしてとは思いませんが、シーズンオフならばと思って行ってみました。ものすごく高価というわけでもないですが、食べるのに手間がかかります。苦労してでも食べたくなるだけの価値を生んでいる「本物」の味を堪能しました。
ほんとうに、もっと何種類も食べてくればよかったな!
関連リンク: ひみつ堂 公式ホームページ
怒りのデス・ロード読んだり見たり
20160218
東京出張で泊まりのとき。たまに時間があると夜から映画を観に行くのです。この間は、いま話題の「オデッセイ」を観ようかと思っていたのですが、昨年見逃していた「マッドマックス4~怒りのデス・ロード」をアンコール上映していることを知り、そちらを観てきました。結論を申しますと、大いに満足しました。
私がふだん観るタイプの映画ではありません。一部で熱狂的なファンが大フィーバーしていたことは知ってました。しかしキネマ旬報の外国映画ベストワンに選ばれたのには、正直いって少し驚きました。ファン投票で選ばれたのではなく、錚々たる映画評論家や映画記者たちの投票で一位になったのですからね…(ちなみに同誌の読者投票では、第三位)
過去のマッドマックスは、第一作をTVで観ただけですが、とにかく猛烈なカーアクションの連続でした。本作は何と30年ぶりの新作で、パワーアップぶりはまさしく爆発的、小難しいことを言わずに次から次へと繰り出されるど派手なアクションを楽しめばいいってことですね。「ベン・ハー」の有名な戦車競走の場面があるでしょう、あれを2時間ぶっ通しで観るようなもの。
物語もシンプルすぎて、ネタバレのしようもないくらいです。世界が汚染された近未来、支配者から自由を求め、巨大タンクローリーを奪って脱走する女性たち。追いかける改造車軍団。その騒ぎに巻き込まれたマックスが彼女らを助け、追いつ追われつ生きるか死ぬかのカーチェイスを繰り広げるわけです。銃や火薬が炸裂し、疾走する車から車に飛び移り、パワーが足りないと見るや口にガソリンを含んでエンジンに直接噴霧する、人間ターボチャージャーとなる。脱走女性のリーダー、シャーリーズ・セロン、超カッコイイぞ。
出てくる人間のキャラはぶっ飛んでるし、登場するクルマの狂気じみた痛車ぶり、観ていない方は公式ホームページでどうぞご覧ください。火を噴くエレキギターと4つの大太鼓の軍楽隊を積んで全軍を鼓舞するバンドカーなんてもう、笑っちゃいます。
信じがたいですが、ほとんどCGを使わず、生身の人間のスタントによって撮影されているそうです。いったい何人死んでるの、と言いたくなります。
映画は、言ってみれば「見世物」から始まったわけで、実世界では見られないような映像を見せて楽しませたのが出発点だったと思います。そこに物語とか心情とか芸術性とかいろいろな要素が加わり、現在のようになりました。一筋縄ではいかない、伏線や暗喩に富んだような映画、楽しいですよね。しかしそればかりが映画の醍醐味ではありません。
見世物的映画にもよくできたもの、そうでないものがあるわけで、極上の見世物に徹した本作のような映画に出会うと嬉しくなります。ずっと前に「未知との遭遇」を観た時もそう思いました(この映画、どこか大きな劇場でまたやってくれませんかね…テレビで観たのでは何の意味もないと思う)。
この映画だって観る人が見れば、いろいろと読み取れる記号とかあるのでしょうけど、轟音に身をゆだね、ドキドキハラハラを楽しみ、スカッとして映画館を後にできれば、見世物もまた大いに楽し、ですね。
関連リンク: 公式ホームページ
名店のうなぎうな丼の未来
20160209
週末の朝、テレビで岡谷のうなぎ屋さんをやっていました。ラッシャー板前氏がうまそうに鰻を頬張るのを妻と見ていて、私たちも何だか無性に食べたくなってしまい、翌日の日曜日に諏訪まで食べに行ってきました。信州では名店といわれる「小林」というお店。(二店ありますが、上諏訪の方)
店のすぐ近所までは時々行くのですが、いつも大勢の人が並んでいてなかなか入るきっかけがありませんでした。今回は開店の午前11時ピッタリに到着し(すでに十数人の人が店の前で待っていましたが)オープンと同時に入店。やったね。小上りはまだ空きがありましたが、すぐに満席に。
好きな「白焼き」をずいぶん食べていなかったので、蒲焼と両方を楽しめるという「金銀鰻重」なるメニューを注文しました。20分ほど待って出てきたのは、細長い二段重ねのお重、そして「ひつまぶし」風にも召し上がれということで、ダシといろいろな薬味などもついてきました。
白焼きのさっぱりホクホク感が好きなのですよ。ぬる燗と一緒にやりたいところですが、自動車ゆえ我慢。わさびをちょいと乗っけて。もう少し塩気があると、もっといいかな。(田中角栄氏は、蒲焼に醤油をたっぷりとかけて食べるのを好んだそうです。ちょっと考えられん)
そして蒲焼。諏訪湖周辺では蒸さずに焼き上げる関西風のお店が多いと聞きますが、こちらでは関東風に柔らかく仕上げています。私は関東風が好き。タレの味もよくうなぎもふっくらで、おいしくいただきました。
諏訪湖でうなぎがたくさん獲れた時代はとうに過ぎ、今ではどうでしょう。ネットでデータを探してみましたが、農水省の平成25年のデータではゼロになっている。(ただしこの表ではワカサギなどもゼロになっていて、本当か?とも思えます。ワカサギもゼロってことはないのでは)うなぎも全くゼロではないでしょうが、限りなくゼロに近いと推察します。
近所のスーパーの店頭のうなぎもずいぶん高くなり、並べられるボリュームも激減しました。以前から書いているように、そもそも、安いものを年中たらふく食べられる範疇のものではないのだと思っています。節度を持って消費していかねばならないのでしょうね。丁寧に処理され高い技術で焼かれたものを(ときどき)楽しみにいただきたいです。
いも干し食べもの
20160207
毎年、この時期になると会社に頂戴するのです。大きな箱に入ったいも干し。(箱には「干いも」と書いてありますが)
これが見事なもので、そこらで売られている量産ものとはずいぶん違います。肉厚でしっとりしていて、味わいも格別です。特に女子社員には引っ張りだこ。やっぱり「芋たこなんきん」ですよね。
私も普段は買ってまでは食べませんし、一枚食べれば今シーズンはもういいや、となるのですが、こちらで頂くのはとても良いものなのでしょう、何となく後を引く感じで、もう一枚食べてみようか、という気持ちになります。
一昨日に頂戴したので、会社でお茶の時間にいただきました。いつもと変わらずおいしい。ところが食べているうちに「ジャリッ」という感触が。
ひょっとして小石でも入っていたか?と出してみますが、そんなものは入っていません。おかしいなと思い、それでも全部食べてしまって、しばらくしてから気が付きました。
こりゃ異物混入ではなくて、私の歯が欠けたんだ!
いも干しって粘りがあるものでしょう、噛んでいるうちに奥の歯が欠けてしまったのです。過去に治療した部分が取れたとかではなくて、まっさらの私自身の歯です。ああ、切ない。
痛みとか、しみるとかは無かったですが、すぐ歯医者さんで治療してもらいました。いも干しで歯が欠ける人は、結構いらっしゃるそうですよ。皆様も召し上がる際には、くれぐれもお気をつけて…
ブショネ 飲みもの、お酒
20160201
先日、社内でワインの勉強会を開きました。その中で偶然にも典型的な「ブショネ」のボトルに遭遇し、ノーマルなボトルと比較試飲する珍しい機会に恵まれ(?)ました。
ブショネとは、コルクに由来するワイン劣化のことをいいます。コルクは天然のコルク樫の厚い皮を使いますが、何らかの理由である種のバクテリアなどに汚染されたコルクが、保管熟成中にワインの品質を傷めてしまうのです。カビや雑巾、濡れた段ボールの臭いなどと言われます。どんな良い環境で理想的な保管をしていても、出現を防ぐことができません。
困ったことに、ブショネかどうかは、栓を抜いてみるまではわかりません。そして劣化の度合いはケースバイケースで、明らかに「こりゃあかん」ものから、殆どの人が気が付かないような微かな臭いのものまで、いろいろです。プロのソムリエでも判断に迷うこともあるくらいですから、素人である私たちは実は知らずに飲んでしまっていることも、間違いなくあるでしょう。ブショネなのか単にまずいワインなのかは、実際には中々難しいのです。
レストランで注文したワインが明らかなブショネならば、ノーマルなものと交換してもらえますが、そんな勇気のある人は滅多にいませんよね。クレームをつけてもソムリエやお店の人が試飲してみて「僅かにブショネの香りが見え隠れしていますが、通常この程度のものは交換対象にはなりません」と言われれば、それまで。
もっと困ったことには、ブショネは(程度の差は別にして)結構な頻度で出現すると言われています。あくまで目安ですが、6~7%くらいとも言われます。ワイン1ケース12本のうち1本弱が当てはまるとしたら、ええっと思われるでしょう。前述の通り、殆どは表面化することなく消費されているはずです。
ブショネの香りってどんなの?と訊かれて「これがブショネですよ」と説明できる機会はなかなかありませんし、たまたま隣にいた専門家に解説してもらえることもそうありません。私自身は過去に一度、自分で購入したワインで割と状態の悪いものにお目にかかったことがありましたが、そのとき以外は気づかずにいたか、飲んで不味かったものの「もともとこういう味なのだろう」と思ってブショネとは思わなかったのでしょう。お恥ずかしいですが、そういうことです。
今回、同じ種類のワインでブショネとそうでないものを並べて利ける機会に「恵まれた」というのは、そういう訳です。味ですか?ノーマルなものとは全然違い、かび臭いというか、もう全然おいしくありませんね。この感覚をしっかり覚えておいて、次回遭遇したときは「ひょっとしてこれは?」くらいのことは気が付くようになりたいものです。