ビールの泡 飲みもの、お酒
20171003
先日、TVで「Cool Japan」を観ておりましたら、ビールの特集をやっておりました。この番組は在日の外国人数名が、日本のさまざまな文化や習慣などについて自国との比較など楽しく議論するものです。
日本のビールは種類が多くてスゴイとか、いや実はみんな似通っていて個性がないとか(それは、同感)、炭酸が強いとか、ものすごく冷たいとか、飲んで「プハーッ!」とやるのは品がないとか、ワイワイとやっていましたが、「日本のビールは泡が多い」という話が出て、ほほう、と思いました。
飲食店でジョッキビールを頼むと、確かに上部3センチくらいは泡ですよね。いまどきのビールサーバーには、ビールを注いだあと泡だけを上に乗っける機能がついていたりします。「泡でビール本体に蓋をして、液体部分の気が抜けるのを防ぐ」みたいなことは昔からよく言われていましたが、これって日本独自のものなのですか?
ドイツ人の女性が「ジョッキにもビールグラスにも容量を示すラインが書かれていて、それより少ないと文句を言われる」と言います。私の貧弱なドイツ体験でも、たしかにメニューブックにもグラスにも必ず容量が書かれていました。たぶん法律で決まっているんでしょうなあ。身近でよく言われる「ビール:泡=7:3の黄金比」、こうして見ると確かに量が少ないように見えますね。
中ジョッキ、大ジョッキというだけで何ミリ㍑なのか明確でない、どこぞの国とは違います。いかにもドイツ。でもあっちのビアホールで飲んだビールに、そんなに泡が少なかった記憶はありませんけど。
ビールをグビリと飲むとき、確かに泡そのものをおいしいとはそんなに思いません。おいしいのはやはり液体部分です。ただ名人級の方が注いだクリーミーな泡の感触は、悪くないものですが。
私は、グラスにある程度勢いよく注いでビールの過剰な炭酸を適度に抜くことは、ビールをおいしく飲むポイントだと、かねがね思っています。缶ビールを缶からそのまま飲むより、容器に注いだ方が確実においしい。まTPOにもよりますが。
勢いよく注いだ結果、副産物として泡が立つのであって、泡のために泡を乗せるのは味ではなく見た目の問題なのかなあ、と今回思いました。「蓋をして気が抜けるのを防ぐ」というのは科学的に根拠があるのか、ビールメーカーさんなんかはとっくに検証してるのかもしれません。いつまでも卓上に放置せず、さっさと飲みきることが一番の秘訣でしょうね。
飲む酢 飲みもの、お酒
20170910
先日、お世話になっている方からワインのご注文を頂いた際に、お酢のドリンク、いわゆる「飲む酢」はないかとお問い合わせがありました。もちろん置いてます、何種類か買っていただきました。
ふと思いついて、私も飲んでみようかな、と思ったのです。
メーカーさんにはまったく失礼ながら、普段から酸っぱいものをそう好まない私にとっては、今まであまり意識したことのない商品でした。倉庫に行って在庫を見ると、ミツカンさんの「ビネグイット」というシリーズが4種類ほどあります。暑いときに良さそうな「ライム&ミント」を購入し、カルピスみたいに水で薄めて容器(ワインの空き瓶)に入れ冷蔵庫。
へえ、これ、なかなか美味しいじゃありませんか。刺激的なことなどみじんもなく(当たり前か)爽やかですっきりして後に残らず、いいものですよ。
次に買ってみた「レモン&ジンジャー」。これは1本目に比べると、ちょいと癖がありますね。それでも買ってしまったからには仕方ない、飲みきって次のを試そう、と続けて飲んでいたら、あら不思議、ワインボトル2本目を飲み終わる頃にはすっかり味に慣れて、何の違和感もなく普通においしく感じるじゃありませんか。
家族がなかなか飲もうとしないので(なんでかな?)原液1㍑を6倍希釈で飲みきるまでには結構かかります。酢のドリンクとあれば、具体的な効能があるかはよくわかりませんが、少なくとも健康に悪いものではないでしょう。他の種類も試してみたいと思います。
関連リンク: ミツカン ビネグイット
ノンアルコール (2) 飲みもの、お酒
20170820
しかし正直申し上げて、キリンフリーはあまり美味しくなかったです。これは私だけではなく多くの人の感想だったようで、市場では後発のサントリーやアサヒに押され、市場シェアはわずか一割程度だったそうです。宴会場ではよく見かけましたがねえ。私には「しょうがないから飲む」存在でした。
(ここからは日経流通新聞の受け売りですが)そこでキリンも考えた。ノンアルコール飲料の性格は飲酒運転対策から、食中に楽しむ飲料へと変化していた。もっとビールらしい味や麦の風味が欲しい。自社の主力である「一番搾り」の技術を使って、コクのある味を求めた。
さらにキリンフリーの売りであった機能「カロリーゼロ」をやめた。それによって味の制約がなくなり、味重視の姿勢が消費者に伝わった。デザインも機能性を想起する緑色から麦の淡い色に変えて、イメージチェンジを図った。
…こうしてできたのが新製品「零ICHI(ゼロイチ)」だそうです。生産量は予定の3倍に、取扱い件数は6万店を超え、他社製品からの乗り換えも増えているとか。近所を見回しても、配荷率は高いように見受けられます。
長々書いてきましたが、私、この品は結構気に入っているのですよ。もちろんビールとは比べるべくもないものの、それなりに食中飲料として楽しめる(口を癒やす)味になっていると思います。6缶パック買いを既に数回しておりまして、ノンアルをこういう買い方をしたことはこれまでにありません。
以前からこの種の飲料に「カロリーゼロ」機能は意味があるのかと思っていましたので、味重視の方針は歓迎します。これをきっかけに、自宅での休肝日がちょっと増えればいいですが…
ノンアルコール (1) 飲みもの、お酒
20170818
お酒を飲めない宴会では、もっぱら瓶入りウーロン茶のお世話になっていましたが、最近ではノンアルコールビールを置くお店が当たり前になりました。。ウーロン茶をガブガブ飲むとどうも胸が焼けるたちで、私にとっては大変ありがたい状況になりました。
わが国でいわゆる「ノンアルコールビール」が発売されたのは、大正末期のことだそうです(wikipediaによる)。当時のものは技術も原料も伴わず質の悪いものが流通していたようです。
戦後「ホッピー」が登場した時は、良質なノンアルコールビールという意図で発売されたそうですが、ノンアルコールとして飲まれる場面よりも焼酎の割り材としての利用が多く、今でも人気がありますね。ミーナ社長の活躍もメディアでたくさん取り上げられています。
80年代後半に、宝酒造から「バービカン」が発売されました。皆さん覚えてらっしゃいますか?当時勤務していた会社で、多様な飲み方の可能性についてプレゼンされ、ビジネスの場でも昼間でもどこでも飲める大人の飲料、というコンセプトに「これは絶対当たるに違いない!」と確信した私。宝酒造の株に投資することを思いつき、初めて証券会社に口座を開き株を買いました。
バービカンは話題にこそなりましたが、味がいかにも中途半端だったのですかね、人気は長くは続きませんでした。まったく幸いなことに、バービカンとは大して関係なく宝酒造の株価はそこそこ上がって、私の初投資はまあまあの結果でした。
2000年代後半にはビールメーカー各社がアルコール度数0.1%程度の商品を相次いで発売し(アサヒ「ポイントワン」など)それなりの販売実績がありましたが、0.1%といえどもノンアルコールを謳うにはちょいとまずい、と言われました。
そこで発売されたのが「キリンフリー」(2009)です。業界初の0.00%商品で、これならばクルマの時にも安心だ、として支持され、宴会場や飲食店でも積極的に提供されるようになりました。
(続く)
地元産原料で地ビール 飲みもの、お酒
20170731
駒ヶ根には地ビールの「南信州ビール」があり、ブルワリーの直営レストランでは生、酒販店では瓶入りのものをそれぞれ数種類楽しむことができます。ビールは大麦、ホップ、水で作られますが、主原料の大麦を地元産にした新製品の発表試飲会が31日、開かれました。
この種の発表会、メディア受けも良く、地元紙にはちょくちょく、美味しそうなプレゼンの記事を見ます。読むたびに「俺も呼んでほしいなあ~」と思うのですが、卸売業者というのはこういう場にはお招きいただくことがありませんね。
今回珍しくもお声がかかったのは、食品流通枠でもなくソムリエ枠でもなく(そんなものはない)商工会議所役員としてでありました。
さて当地では休耕田で大麦を栽培することは普通に行われており、当社の周辺でも珍しくありません。麦飯や麦茶が主な用途だそうです。ビールを作るにはそれ用の特別な品種が必要で、寒冷地仕様の「小春二条」というものを一昨年の秋から試験的に栽培し始めたそうです。
H28年6月に400㌔の初収穫があり、うち300㌔を使って初めて地元原料ビールを製造し、900Lほどができたそうです。その名も「南信州ビール・宝剣岳エール」。地元中央アルプスの名峰から名付けられました。
既存品の「ゴールデンエール」と同じレシピで作られており、比較のために双方が提供されました。ゴールデンはその名の通り薄い金色で、私たちが日頃飲むビールに似たタイプ。「宝剣岳エール」はそれよりほんの僅か褐色がかっており、味わいも微妙に麦茶のような香ばしさを感じます。
あくまで比べればの話ですが、ゴールデンの方がドライな感じです。どちらも「コク」というほどのものは強調されておらず、共通してすっきりタイプです。私は、好みで言えば、宝剣岳かな。
地元産品はコストにおいては、現在使用しているものより相当高くつくようです。あくまでビールとして楽しめるような価格でなくてはなりませんから、価格設定には少々無理をしているのかな?1日から発売とのことですが、生産量のこともありますし、興味のある方はお早めに。一般に通年売られるようになるには、もう少し時間がかかるのでしょう。
世間ではクラフトビール(「地ビール」という言い方は最近あまりしませんね)が大はやり。クラフトものだからというだけで、存在感を示せる時代ではありません。そんな中で地元原料(ホップも地元産構想があるとか)による正真正銘の地ビールを育てていくことは、価値ある試みだと思います。
(追記)翌日の新聞3紙でこの日の記事が載りましたが、どの新聞もTVニュースでも、私の写真。あちこちで冷やかされました。私、そんなに美味しそうに飲んでましたか?
関連リンク: 「宝剣岳エール」きょう発売 (長野日報記事)
ラッキーヱビス 飲みもの、お酒
20170628
右と左のビール瓶。よく見ると、ちょっと違う。
左のラベルでは、恵比寿様の魚籠から鯛の尻尾が見えています。
昨夜ある会で飲んでいて、飲食店経営者のMさんが気が付きました。
通常のヱビスビールのラベルは右。左のバージョンは「ラッキーヱビス」と呼ばれ、数百本に1本しかめぐり会うことがないのだそうな。以前どこかで聞いたことがありましたが、忘れていました。
お菓子の世界では、このようなレアアイテムを使ったお遊びがいろいろあるようです。「コアラのマーチ」とか「おっとっと」とか。
その気で探さなければ恐らく見逃してしまうラッキーヱビスに遭遇できて、何かおめでたいことがあるといいですね。
関連リンク: 実在する都市伝説!ラッキーヱビスの正体を徹底追求
珈琲の聖地 (2) 飲みもの、お酒
20170510
カフェ・バッハは地下鉄南千住駅で降りて6~7分位の所にあります。山谷はドヤ街として知られたところ。簡易宿泊所が立ち並び、矢吹丈(あしたのジョー)が暮らしていた泪橋もあります。最近は外国人のバックパッカーが増えているみたいです。
開店時間の8時半を少々過ぎたくらいに行きました。テーブルとカウンターで30席くらいかな。揃いのポロシャツを着た若い男女数名が、きびきびと忙しそうに働いています。店主の田口護氏のお姿は見えません(いつも一日中お店に出ているわけではないのでしょうね)。べつだん緊張感のある雰囲気ではなく、気さくなお店です。
数十種のコーヒーの中から「バッハブレンド」「マイルドブレンド」を注文。いずれも540円。コーヒーが運ばれるまで、15分くらいかかったかな。あわせて自家製のケーキも注文しました。
出てきたコーヒーの澄んだ香りに目を見張ります。派手さはありません。酸味と苦味の絶妙のバランス…ということなのかな。私が普段飲んでいるコーヒーが随分苦味がかっていることがわかります。
だんだんお店が混んできて、席の移動を持ちかけられ、喜んでカウンターへ移りました。目の前でイケメン男子二人が真剣な眼差しでコーヒーを淹れています。ペーパーフィルターを使い、丁寧にかつてきぱきと、次々にコーヒーがサーバーに落されていきます。
妻は以前、近くのコーヒー業者さん主催のコーヒー講座に参加したことがあり、その時と基本は同じだと言ってました。だいぶ時間が経って忘れていたことも、くっきり思い出したそうなので、これから我が家でもバッハ並みとはいかないまでも、幾分グレードアップした?コーヒーを飲めるかな。
同店のホームページにありますが(わかりにくいが検索すると出てきます)すべては「豆」から始まります。ハンドピック~一粒一粒の豆を吟味し、異物はもちろん欠けたり割れたり変色した豆をことごとく取り除くことで、澄んだ香り高いコーヒーを淹れることができるのでしょう。田口氏の珈琲哲学を伝承するお弟子さんたちも各所で美味しい一杯のコーヒーに取り組んでいるのだと思います。休日朝の楽しい聖地巡礼でした。
関連リンク: カフェ・バッハのホームページ
珈琲の聖地 (1) 飲みもの、お酒
20170508
私は学生時代、東京銀座の喫茶店で4ヶ月ほどアルバイトをしたことがあります。いわゆるコーヒー専門店で、当時のタウンガイドなどには「店員さんは皆、コーヒーの専門学校で勉強した人ばかり」なんて紹介記事が書かれていました(私はいったいどうなのよ?)。
一日に3回、毎日来る常連のお客様がいたり、近くの企業の会議にコーヒーの出前に行ったり、短い期間でしたが面白い経験でした。開店から午後2時まではサービス価格としてブレンド一杯250円で、これは予め大量にドリップして用意しておき、注文に応じて温めて出していました。(2時以降は一杯400円で、注文の都度淹れていました)
ここでは3人の正社員が交代でサービスブレンドを淹れていて、私にも毎朝一杯飲ませてくれました。面白いもので毎日飲んでいるうちに、私でも微妙な味の違いを感じるようになり、しまいには誰が淹れたものか味で分かるようになりました。同じ粉でも淹れ方で違うことを知り、大変興味深かった。この店は今はもうありません。
現在のコーヒー業界は、街の喫茶店を押しのけてスタバやドトールが若い人の人気を集め、一方でコメダ珈琲のようなフードにも力を入れた店ががっちりお客を掴んでいます。そうした中、サードウェーヴと呼ばれる店が新たなブームとなっているようです。
店主が厳選した豆を自店で焙煎し挽き、一杯ずつ丁寧に淹れる。考えてみれば「第三の波」なんて気取った言葉を使わなくても、昔から本格的な珈琲専門店がやってきたことが、今また見直されてきているということで、大変結構なことだと思います。「ブルーボトル」なる米国発祥の店が行列で何時間待ちだとか、話題になったこともありました。
こうした珈琲専門店の代表格、東京のコーヒー御三家と呼ばれる老舗がありました。
銀座「カフェ・ド・ランブル」
山谷「カフェ・バッハ」
吉祥寺「もか」
いずれもコーヒーに精魂を傾けた名物店主のお店で、「もか」はご主人の逝去に伴い閉店してしまいましたが、ランブルとバッハは今でも多くの珈琲通をうならせています。私は特にバッハに興味を持ちぜひ一度行ってみたいと十年以上前から思っていたのですが、場所が「ついでにちょっと寄れる」ような所でなかったので、機会がありませんでした。
この連休に、ようやく初訪問を果たしました。(続く)
パーカー日本酒を採点す 飲みもの、お酒
20160908
泣く子も黙るワイン評論家、ロバート・パーカー。彼は著書の中で世界の高級ワインを100点満点で格付けし、その評価はワインの売れ行きに直結すると言われているカリスマです。そのパーカーが何と、日本酒の批評・格付けに乗り出したという話。
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【英フィナンシャル・タイムス】ロバート・パーカー氏のワイン情報誌「ワイン・アドヴォケート」が日本の純米吟醸酒・大吟醸酒の初の評価ガイドを発表した。すると1日もたたないうちに、最も評価の高い78銘柄が一躍、引っ張りだこの資産になった。
東京の高級ホテル、すしバー、ワイン収集家から、マカオのカジノ、ニューヨークのレストラン、シンガポールの大富豪に至るまで、「亀の翁・三年熟成」や「常きげん・キス・オブ・ファイア」を買おうとする業者やバイヤーが、すでに残り少ない在庫からボトルを確保しようと先を争っている。
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何だか翻訳が変ですね。実際にはパーカー自身が日本酒のテイスティングをしたのではなく、The Gray Reportの記事によれば、酒類ジャーナリストの松崎晴雄氏が800種類の中から第1段階のセレクションをし、ワインアドヴォケート誌のレビュアーMartin Hao氏がそこから78種類を選んで評価をしたのだそうです。
優れた日本酒がいま海外の注目を集めていることは、周知の通りです。今回の話も、日本酒が世界に通じるサケになりつつあることを裏付ける、一連の流れとして見ることができるのでしょう。
リンク先の記事にもありますが、高級ワインと高級日本酒には、相当な価格の違いがあります。最高級ワインは1本10万円を超えることもざらですが、日本酒は高くても4合瓶1万円くらいで最高級品を買うことができます。
「高級ワインよりずっと安いねえ!」パーカーの評価を(便宜上、パーカーの、としておきます)有難がって、世界中のお大尽たちが日本酒を買いあされば、どうなるでしょう。パーカーが高得点をつけたワインは、もはや飲料としての価値よりも投機の対象になってしまうとまで言われます。日本酒の値段は高騰し私たちの手が届かないようなものになってしまうのでは、との予想は、まんざら杞憂でもないのかもしれません。
パーカー自身の味覚が本当に神の舌かどうかわかりませんが、たとえば97点と98点のワインの格の違いを明確な尺度をもって説明できるものなのか。それに彼にも「好み」というものがあるでしょう。パーカー高評価のワインが高値で売れているのを見て、ワイン醸造家もまた「パーカー好み」方向のテイストを目指した造りをしている例もあると聞きます。これはやはり、健全な事態とは言えませんよね。
日本酒を造るための酒米は、短期間にどんどん増産できるものではないでしょうし、吟醸酒などの特別なお酒が高値で海外に根こそぎ買われていってしまったら、残ったものはどうなるのか?なんて、すぐに心配するようなことではないと思いますが。
いろいろなことを考えさせられる話題です。
ブショネ 飲みもの、お酒
20160201
先日、社内でワインの勉強会を開きました。その中で偶然にも典型的な「ブショネ」のボトルに遭遇し、ノーマルなボトルと比較試飲する珍しい機会に恵まれ(?)ました。
ブショネとは、コルクに由来するワイン劣化のことをいいます。コルクは天然のコルク樫の厚い皮を使いますが、何らかの理由である種のバクテリアなどに汚染されたコルクが、保管熟成中にワインの品質を傷めてしまうのです。カビや雑巾、濡れた段ボールの臭いなどと言われます。どんな良い環境で理想的な保管をしていても、出現を防ぐことができません。
困ったことに、ブショネかどうかは、栓を抜いてみるまではわかりません。そして劣化の度合いはケースバイケースで、明らかに「こりゃあかん」ものから、殆どの人が気が付かないような微かな臭いのものまで、いろいろです。プロのソムリエでも判断に迷うこともあるくらいですから、素人である私たちは実は知らずに飲んでしまっていることも、間違いなくあるでしょう。ブショネなのか単にまずいワインなのかは、実際には中々難しいのです。
レストランで注文したワインが明らかなブショネならば、ノーマルなものと交換してもらえますが、そんな勇気のある人は滅多にいませんよね。クレームをつけてもソムリエやお店の人が試飲してみて「僅かにブショネの香りが見え隠れしていますが、通常この程度のものは交換対象にはなりません」と言われれば、それまで。
もっと困ったことには、ブショネは(程度の差は別にして)結構な頻度で出現すると言われています。あくまで目安ですが、6~7%くらいとも言われます。ワイン1ケース12本のうち1本弱が当てはまるとしたら、ええっと思われるでしょう。前述の通り、殆どは表面化することなく消費されているはずです。
ブショネの香りってどんなの?と訊かれて「これがブショネですよ」と説明できる機会はなかなかありませんし、たまたま隣にいた専門家に解説してもらえることもそうありません。私自身は過去に一度、自分で購入したワインで割と状態の悪いものにお目にかかったことがありましたが、そのとき以外は気づかずにいたか、飲んで不味かったものの「もともとこういう味なのだろう」と思ってブショネとは思わなかったのでしょう。お恥ずかしいですが、そういうことです。
今回、同じ種類のワインでブショネとそうでないものを並べて利ける機会に「恵まれた」というのは、そういう訳です。味ですか?ノーマルなものとは全然違い、かび臭いというか、もう全然おいしくありませんね。この感覚をしっかり覚えておいて、次回遭遇したときは「ひょっとしてこれは?」くらいのことは気が付くようになりたいものです。