塩パン食べもの
20220329
お土産にいただきました。ずっと食べてみたかった人気の品です。
愛媛県八幡浜市の「パン・メゾン」という小さなパン屋さんが発祥といわれる「塩パン」。まことにシンプル、味もそっけもない商品名ですが、一日に6000個売れることもあるという超ヒット商品で、多くのメディアが取り上げ全国的にも有名になりました。
そのお店が2018年、東京墨田区はスカイツリーの近くに出店していたんだそうです。全然知らなかったなあ。さらに昨年11月には銀座にも進出していたんですって。
塩パンは細長いバターロールのような外見ですが、ほどよい塩気とこぼれんばかりのバターを練りこんだ風味がファンを引き付けているといいます。本家のものは食べたことがありませんでしたが(だって愛媛までそのために行けません)類似品は多くの店で作られており、私もこれまでに何種類も食べたことがありますよ。
それらはそれなりに美味しく頂戴していたのですが、本家を食べてみて、これは別物だと思いました。まず、表面のパリパリ感と中身の柔らかさの絶妙さ。生地の噛み応え。そして、口にした時のしっとりたっぷりしたバター。
ドーナツを思わせる油脂の量ですが、しつこくなく食べられるバランスの良さと絶妙の塩味。半分に割ってみると中に空洞があり、その中にも溶け切らなかったバターが残っていて、それが口の中で溶けてゆく感覚は幸福感さえ覚えます。
これは人気商品になるのもむべなるかな。地方で育ったこういう名物が東京で買えて便利であることは確かですが、その土地に足を運ぶインセンティブが多少なりとも損なわれ、地域おこしの観点からはちと残念なことかもしれません。それでも、本物を体験できて良かったです。
飯田お練りまつり日々雑記
20220327
御柱祭と同じ年に行われる、飯田の「お練りまつり」。主催の飯田商工会議所さんからお招きをいただいて、初めて観覧する機会を得ました。
このお祭りは諏訪神社の流れをくむ「外縣(そとあがた)大宮諏訪神社」の式年大祭にあわせて開かれるもので、370年の歴史があるとのことです。氏子たちがお祭りの余興としてさまざまな芸能を奉納するものだそうです。
その多くはいわゆる「獅子練り」で、今年は37団体が飯田の中心市街地を舞台に演舞を披露しました。
私たちが伺った26日はあいにくの雨風で、中止になっても不思議はないような天候でしたが、そうはいっても6年に一度のお祭りですから出演団体としてはどうしてもやりたいですよね。実際に出られなかった団体があったのかはわかりませんが、ほとんどの団体は吹き降りの中、一所懸命の演舞を見せたのだと思います。ただ、この日は見物客はさすがに少なかったようです。
上の写真は中でも代表格の「東野大獅子」。胴体は全長25メートル、直径60センチの頭部は重さ30キロだとのこと。駒ヶ根のお祭りでも行われますから私も獅子振りのことを多少は知っていますが、30キロの獅子頭を振るなんてことは容易なことではありません。30キロといったら当社の砂糖の大袋の重さですからね、あんなものを上下左右に振り回すとは、考えられない。
もちろん大勢の人たちが(お囃子なども含め100人以上が携わる)上手に交代しながら務めます。獅子舞ではよく獅子の口をパクパク動かすのを見ますが、さすがに30キロとなると常に両手で頭を支えなくてはならないため、口は閉じたままです。
獅子の先導役「宇天王」の舞がとても力強くまた流れるように優雅で、動きが見事にきまっており、これは只者ではないなと思いました。
返す返すもお天気が残念でした(三日間の日程で一日だけの雨の日にたまたま訪れてしまった)。御柱祭りのような派手さはないですが、なかなか楽しめるお祭りでした。
下の写真は獅子舞ならぬ珍しい「虎舞」。高森町の新田虎舞保存会の皆さんによるものです。
たたきごぼう食べもの
20220322
葬儀や法事の定番。。
コロナ前、当地では葬儀の際に会葬者全員にお昼を振舞う習慣だった…という話、前に書きました。そこでは冷麦を使った温かい麺のほか、巻き寿司やあんころ餅、天ぷらなどが供されます。コロナのためにこの習慣は中断していて、ほとんどの会葬者は葬儀場に滞在することなく帰ってしまいます。
食材の消費の場がなくなることは当然、我が社にとって悲しいことです。それもさることながら、葬儀に集まった人たちが故人の思い出を語ったり近況を伝えあったりする機会もなくなり、何のために葬儀というものがあるのかとまで思ってしまいます。まったく残念なこと。
それはそれとして、葬儀の食事でしばしば供されたのが「たたきごぼう」でした。ゴボウをスライスして薄い衣(粉)をつけて揚げ、甘辛いタレで味付けしたものです。調理で「たたく」工程がどこにあるのかは知りません。切ったごぼうを叩いてシナシナにしているのですかね。
その中でもJA系列の葬儀サービス「グレース」さんで出していたたたきごぼうは、パリパリした食感が特別でタレの味もちょうどよく、私の好物だったのです。葬儀で食事する機会が皆無となり、たたきごぼうを口にすることもなくなってしまいました。スーパーの総菜コーナーに類似のものはよく並んでいますが、味はだいぶ違います。
当社お得意様であるグレースさんではコロナで葬儀や宴会需要が激減したため、キッチンカーを導入し石窯で焼いたピザなどの販売を始めました。設備の制約で豊富なメニューとはいかないのですが、その中になんと、たたきごぼうがあるのですよ。どうやら、あの味のファンは私だけではなかったらしいのです。多くの人からリクエストがあったと推察します。
私はキッチンカーと遭遇する機会が一度も無く忘れていましたが、先日妻が出会ったそうで購入してきました(ちゃんとわかっている)。中身を想像しにくいオシャレなカップ状の透明な器に入っていて、味はかつてのまま、パリパリ食感も以前の通りです。食べ始めると後を引くんですよねえ、これ。
大変嬉しくいただいたのですが、これを普段から会食で食べられるような社会にぜひ早く戻ってほしいです。葬儀や法事を心待ちにするというのも、とても変ですが。
関連リンク: グレースのキッチンカー出店情報(twitter)
Z日々雑記
20220317
Z…この文字、何と読みますか。中学校の授業では、英語は「ズェッド」米語は「ズィー」と読むと教わり、基本的にズィーを使っていたような記憶があります。しかし長じて世間に出ますと、圧倒的に「ゼット」が多いですね。私はこの文字を発音するたびに、何となくためらいを感じてしまいます。
最近この文字がにわかに注目を集めています。ロシア軍の車輛や軍用機に「Z」の文字が書かれているからです。白ペンキで殴り書きしたようなものもありますね。混乱した戦場で敵味方を明確にするための識別マークなのでしょうが、なぜZなのでしょうか。
ロシア語にZから始まるそれらしい単語はあまりないらしい。まさか敵国ウクライナの指導者ゼレンスキー(Zelenskyy)のことではないでしょう。書きやすく遠くからでも判別しやすいというだけのことですかね。戦争が始まってからロシア国内ではZが愛国のシンボルとして人気となり、体操の国際大会でこれを胸に付けた選手が話題になったりしています。
英語でもZから始まる単語はあまり多くなく手元の辞書では1835頁中で僅か4ページ、私がすぐに思いつくのはzoo、zone、zoetrope、zebraくらいです。そういえばzoomは最近使うようになりましたし、zeroも忘れてはいけません。
アルファベットの最後の文字であることで、特別な印象を与えます。日露戦争の日本海海戦で掲げられた「Z旗」は「皇国の興廃此の一戦に在り、各員一層奮励努力せよ」として、この戦いに負ければもう後はないという覚悟を兵士たちに求めたものでした。これは日本独自の意味付けであって、国際的には「引き船を求める」または「投網中」(漁場で操業中の漁船が用いたとき)などの意味しかないそうです。
ニッサン「フェアレディZ」の由来はZに究極の意味を込めたと言われます。ウルトラマンの最終回に登場する最強の怪獣「ゼットン」は、やはりラスボスとしてのZからのネーミングだそうですよ。ヤフー株式会社から改名した「Zホールディングス」は「Y!の次のZ」だそうで、これはちょっと拍子抜けか。コスタ・ガブラス監督の映画「Z」(1969)は未見ですが、名作とされています。
しかし、いかに究極をあらわす象徴であろうとウクライナ国内を蹂躙する「Z」は見たくありません。
ウエスト・サイド・ストーリー読んだり見たり
20220314
永遠の名作が何とスピルバーグによってリメイクされる。1年ほど前にこのニュースを目にして、もう本当にワクワクして待っていました。昨年12月に公開される予定だったのが何故か延期になり、2月の公開初日に観に行きましたよ(その回の観客、私を含め5人)。すぐに本欄で感想を書こうと思いましたが、ついつい先延ばしにしておりました。
前作は学生時代、リバイバル上映で東京渋谷の映画館で観ました。バーンスタイン作曲の音楽の素晴らしさ、ダンスの躍動感、自由自在なカメラワーク、主役二人を食ってしまったジョージ・チャキリスのカッコ良さ(この人、89歳で今なお現役だそうな!)。落書きによるエンドクレジットも味わいがありました。
ただし、全体を漂う古びた感覚はぬぐえず、観た当時でさえ「過去」を感じました。のちに作家の清水義範氏が「私の中でウエストサイド物語は、寿命が尽きたのだ」と書いたのを目にして共感しました。スピルバーグのリメイクは、きっとそれを解決してくれるに違いない…。
それは、期待通り、いや期待を大きく上回る出来となりました。前作以上のものは望めないかと思われた数々のダンスシーンは一層パワーアップしていました。最も有名なナンバーの一つ「アメリカ」は人数を大きく増やし街を縦横無尽に駆け回り、圧倒されました。歌も良かったですね。前作は俳優の多くが口パクで実は別の人が歌っていて、そのことが幾分興醒めだったことは否定できませんが、今回はホンモノ。皆さん優れた歌唱力を発揮していました。
前作で助演女優賞を獲得したリタ・モレノが老婆役で大きな存在感を出していた他には、有名俳優は登場していません。私が知らないだけか。主役男性トニー役はキャラが今イチだったかな。オーディションで3万人から抜擢されたというマリアは、美人ではないが、よくやっていたと思います。いま検索したら、何とチノ役の俳優と交際中なんですって!よりによってチノが相手とは、いいのか、それって。(役の上のお話)
時代背景は前作とそう変わっていないのだと思いますが、再開発で取り壊される直前のダウンタウンを舞台にし、現代のわれわれから見ても時代の壁を感じさせない作りはさすがです。ジェット団はずっと「イタリア系移民」の連中だと思っていたのですが、ポーランド系ということになっている。はて、いつの間に?
対立するグループの存在は言うまでもなく分断社会の現在を象徴していて、悲劇の末に不毛な対立の解決を予感させるエンドは感動的です。
残念ながら興行的には大外れのようですが、いやいや、素晴らしい映画ですよ!いちおうオスカー作品賞候補にもなっている。前作のファンはもちろん、初見の方にもオススメします。
マルエフ 飲みもの、お酒
20220310
長野県では「蔓延防止等重点措置」が3月6日でようやく終了し、飲食店の営業時間や酒類提供の制限もなくなりました。当社の商売にはほんとうに長くつらい日々でした。これからはだんだん暖かくなり、ビールが美味しい季節を迎えます。
アサヒから「マルエフ」なるビールが昨年発売されました。例によって発売直後一気に売り切れ、休売となり、しばらく間をおいての再発売。まだ並んでいない店も多いようです。新発売当初、店頭で見つけてすぐ購入し飲んでみました。
このビールは1986年に「アサヒ生ビール」の名で発売された商品の復活だということです。当時鳴かず飛ばずだったアサヒビールがコードネーム【マルエフ】として開発し「コクがあるのに、キレがある」のキャッチコピーで売り出し、会社の業績を上向きにさせたヒット商品なのです。このフレーズは、お聞きになったことがあるでしょう。(その頃は商品名がマルエフだったわけではありません)
ところがそのすぐ後にアサヒは「スーパードライ」という歴史的大ヒットをかっ飛ばしました。ドライ発売時、私の勤務先の近くにはアサヒビールの工場があり、界隈ではどこの飲み屋もビールはアサヒ(普通ならキリンだったでしょう)だったため、スーパードライもまだ世間で全然話題にならないうちから飲んでおります。
爆発的な売れ行きでアサヒはスーパードライに大きく舵を切り、マルエフはその陰に埋もれて一般市場から消えてしまいました。会社としてはホクホクでも、マルエフ関係者は大いに悔しがったことでしょう。でも知る人ぞ知るその味は一部で高く評価されていて、業務用として細々と売られていたということです。
このタイミングで何故マルエフが再び世に出たのかわかりませんが、久しぶりに飲んでみた味はまろやかで苦みもちょうどよく、私の好みのビールです。しばらくはこれでいってみようかな。「黒」も発売されたようです。
関連リンク: アサヒ生ビール「マルエフ」のサイト
経済制裁は効く?日々雑記
20220306
2月末の数日間に、当社ホームページが普段の数倍のアクセスを数えたのです。春の珍事、はて、いったい何があったのでしょう?今月になってからも以前の二割増しくらいで訪問者が増えています。
さてウクライナ情勢。ロシアによる原発攻撃など頭を抱えたくなるようなことになっています。予想を超えたウクライナの反撃と世界各国の非難を受けて、プーチンも引くに引けずどうしていいかわからないのでは。
ロシアとの全面戦争(第三次世界大戦?)になることを恐れ各国は直接軍事行動に乗り出そうとしませんが、経済制裁でロシアを締め上げようという動きは相当広がりました。さらに広がりつつあります。
SWIFTという銀行間の国際決済システムからの締め出しが進んでおり、こうなるとロシアは外国とカネのやりとりをすることが大変難しくなりますから国際取引ができなくなる。抜け道がないわけではないにせよ、これだけでも相当な圧力ではあります。
ロシアの通貨ルーブルは史上最安値を更新し、銀行では取り付け騒ぎも起こっているとか。プーチンはじめ幹部たちの個人資産の凍結ももちろん行われています。加えて海外企業が続々とロシアからの撤退を表明していて、画像には3月2日現在だという主な企業のロゴやシンボルが載っております。今日はVISAやmasterがカード決済事業をストップしたという報道がありました。
これまで経済制裁はやってはみるものの、本当にどこまで効いているのかわかりにくいところがありました。特にロシアのような大国に大きなダメージを与えることは難しいと言われましたが、従来の認識を大きく上回って効いてるようではありませんか。
いざとなれば中国とのルートでどうにでもなるとロシアは思っていたようですし、そういう論調もありましたが、中国だって世界中から非難ごうごうのロシアの肩を持っているなんて思われるのは(本当は)嫌でしょう。
経済制裁は制裁する方も返り血を浴びるわけで、覚悟がなくてはできません。エネルギーや小麦、水産物など当社にも影響があるでしょうが、プーチンに内から強圧をかける有効な方法ならば、無理してでもやらなくては仕方がないですよねえ。