大使はサムライ日々雑記
20241129
しばらく前ですが、青木盛久さんの訃報が伝えられました。。
1997年、ペルーの日本大使館が武装ゲリラに襲撃され、多くの日本人ペルー人が人質として拘束されました。その時の日本大使が青木さんです。
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(デイリー新潮)大使は天皇陛下の誕生日を祝うレセプションに細心の注意を払うにもかかわらず、その最中に武装ゲリラが乱入した。この祝賀レセプションは華美なパーティーのように報じられたが、任国で日本の姿を伝える、年に1度の重要な外交行事だ。
700人余りが人質に取られたが次第に解放され、青木大使ら72人の拘束が続いた。青木大使は「私の客に手を出すな」とゲリラを制止、「サムライ大使」と報じられ、英雄視されていく。
フジモリ大統領の指揮のもと、ペルー軍の特殊部隊が突入。ゲリラ14名全員を殺害し人質を解放した。
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解放直後の記者会見でタバコをふかしながら対応したことで、態度が横柄だと顰蹙を買いました。ゲリラ寄りの論調で記事を書いていた現地のある新聞を厳しい口調で非難もしました。私は事件が解決した嬉しさと同時に「青木さんらしいな」と思ってTVを見ていました。
そう、青木さんはペルー大使になる前、青年海外協力隊・事務局長の任にあり、協力隊訓練所のある駒ヶ根と縁が深かったのです。青年会議所で協力隊との交流の機会があった私も、少しですが直接お話ししたことがあります。しばしばお公家さんと揶揄される外交官のイメージとは全く違う、豪放磊落な方でした。
人質となった127日間、代表者としてゲリラと対峙し、時に火花を散らし時に懐柔を図り、いつまで続くのかわからない監禁生活で落ち込む部下たちの気を紛らわせていたリーダーシップは、さまざまな媒体で伝えられました。中には言動を批判する声もありましたが、駒ヶ根で青木さんを知る関係者は一様に言いました。
「ご本人だっていつ殺されるかわからない中、君子みたいな態度でいられるわけがない。青木さんだからこそ、あれだけの長期にわたって耐えることができたんだ」
リンク先記事にある通り、退官後にも海外協力隊の支援を続けていました。協力隊に深い思いのある私たちにとって、とりわけ心強く印象深かったサムライの逝去を惜しみます。
関連リンク: デイリー新潮より
よくわからん知事選日々雑記
20241118
全国的に話題となっていた兵庫県知事選が昨日行われ、予想を裏切るドラマチックな結果となりました。長野県がかつて田中康夫に振り回された時のデジャブを感じます。
パワハラと決めつけられ、県議会で「全会一致の不信任決議」をされた人が再選される。普通は考えられないでしょう。私たちがマスメディアから得ている情報からはありえない結果です。失職前、そして失職後も前知事に対する全メディアからのバッシングは激烈なものでした。異常人格者であるかのような言い方までされていました。しかし…
パワハラの結果命を絶ったという県幹部のスキャンダル。報道されません。噂が真実なのかもわかりません。人が亡くなっているのは、前知事のせいなのか、冤罪なのか。
おねだり。いささか品がないのかもしれませんが、この程度のことは世間にはよくあり、人格まで云々されるようなことでしょうか。
褒めているわけではないですが、すさまじい悪口雑言の中で、堂々としていた前知事の打たれ強さ、強靭な精神力は驚嘆すべきものでした。何が彼をそうさせているのか、興味深いと思っていました。
出直し選挙では本命と呼ばれた他の候補でもう決まり、というメディアの雰囲気でしたが、SNSでは前知事を応援する声が高まっていた。でも報道はされなかった。県下の22市長が相手候補を推すメッセージを出したり、例の立花某が理解に苦しむ出馬をして引っ掻き回したり。よくわからん人たちに、それらの意図をきちんと解説することがメディアの役割だったはず。
いずれにしてもメディアの敗北だと言われております。多くは斎藤前知事を袋叩きにし、彼に有利な情報を隠し、市民を誘導しようと試み、失敗しました。何でこんなことになったのか、検証と反省(と、その公開)は必要です。現時点でSNSがマスメディアに勝る点もありますが、情報の真贋は自分で見極めなければならないし、メディアが信頼を失ってもSNSがあるからいいや、というわけではありません。
ただ一番大事なのは、再選された斎藤氏がこれからどんな県政をしていくのか、ですよね。選ばれておしまいではなく、選挙結果の責任は選挙民が取らねばならないのです。取っ散らかった文章ですみません。よくわからん選挙の、よくわからん感想でした。
地域の稼ぐ力しごと
20241112
漂流教室はちょっとおいて、地域の楽しみな話題を。。
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(中日新聞)駒ケ根市は5日、大手アパレル「ビームス」の事業「ビームスジャパン」と、市内に拠点を置く事業者が連携した商品開発プロジェクトの新商品を発表した。商品はビームスの電子商取引(EC)サイトで販売されるほか、市のふるさと納税寄付返礼品としても登録される。(中略)
市内企業の商品やサービスの付加価値向上や、販路の構築などを支援しようと、今年5月に取り組みがスタート。織物業の久保田織染工業とメッキ加工業の塚田理研工業、家具製造業のトヨセット、金属加工業のヨウホクが参加した。
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商工会議所の立場で新製品発表会に出席してきました。久保田織染さんは紬を織ったときの端材を使ったテーブルマットやペンケースなど、塚田理研さんはレインボー色のめっきを施した櫛、トヨセットさんは家庭用デスクキャビネットやバッグラック、ヨウホクさんはBBQ用の鉄マッチ、ランタンシェード、調理用の鉄板などを発表されました。
それぞれの会社では、既に自社の得意分野で製品の機能や美しさをしっかり追及しているわけですが、今回のように手掛けたことのない分野で新製品を開発するにあたり、目利きのプロにアドバイスをもらうことは新たな発見になったろうと思います。
ビームスのスタッフはBtoCのプロたちですから、製品のサイズ感やタグをつける場所、値付けに至るまでアドバイスをもらったそうです。こうしたプロセスを経て、商品開発は面白い、と皆さん感じたとのこと。駒ヶ根市が音頭を取ってこうしたつながりの場を作りました。Made in KOMAGANEのブランドが、このようにしてさらに広がりを見せていけるといいですね。
まずは今回発表された製品が、良い売れゆきを見せてくれますように。駒ヶ根市のふるさと納税のアイテムにもなっています。
楳図かずお(1)おろち読んだり見たり
20241107
漫画家、楳図かずお氏の訃報が。88歳とのこと、私が思っていたよりも、ずいぶん高齢だったのですね。
子供の頃から怖い話は基本的に苦手です。ホラー映画はほとんど観ませんし、心霊写真なんてのも嫌ですね。漫画になると絵面のせいか怖さが幾分緩和されるので、恐怖新聞とかエコエコアザラクとか魔太郎とか、それほど敬遠することなく読んできました。
その中で楳図かずおの漫画は、やっぱり怖いんだけれど、不思議と惹きつけられるものがありました。強く印象に残っているのは、連作「おろち」。特殊能力をもつ美少女おろちが、日常の陰に隠された市井の人々の恐るべき実態に気づき、興味を持つところから始まります。
おろちは基本的に傍観者です。事態を自分の力で動かそうという意思は強くありません。たまに登場人物を救ったり事件を解決させようと動いても、そのおかげで解決することはあまりないのです。それどころか好奇心や出来心で、のちの悲劇の原因を自ら作ってしまうことさえもある。(これはさすがにひどい)
いつも嘘ばかりついて周囲に迷惑をかけている男の子が、隣家で起こった殺人を偶然目撃するものの、誰からも信じてもらえず、犯人から狙われる「かぎ」。いわゆる「オオカミ少年」の話ですが、嘘つき小僧の憎たらしさと後半のサスペンスがいいです。
自宅で強盗に刺され首の大怪我を負った赤ちゃんの話「秀才」。優しかった母は事件後人が変わり、子に常軌を逸した勉強漬けの毎日を強いる。成績は良くても遊びも知らず友達もできず、泣きながら机に向かっていた子はあるとき強盗事件の真相を知り、一流大学合格を目指して別人のように無我夢中で勉強に取り組み始める。母は子の変化を受け止められず、変貌したわが子に怯えるようになる…
などなど、ただ怖いだけでなく心の中に隠された闇を描く話に引き込まれました。上記2作は優しいエンディングですが、悲しい運命に翻弄されたあげくまったく救いのない終わり方をする話もいくつもあります。描き込まれた迫力のある絵、背景はどのページも真っ黒、震えたような独特の描き文字も雰囲気を作っていました。
漂流教室の話は、また次回。
レモン牛乳 飲みもの、お酒
20241105
旅に行けば土地の食品スーパーやコンビニをのぞき、他所には出回っていない地場産品を購入するは、おいしいもの探求を人生の楽しみとする我が務めなり。栃木県民のソウルドリンク(という言葉があるのかどうか)として知られる、通称レモン牛乳。もちろん購入しましたとも。
すでに全国的にも知られる存在になっていますよね。リンク先の製造元によれば、以前は他のメーカーで作っていましたが平成16年に廃業。しかしファンたちから復活を望む声が高まり、現在のメーカーが製造法を受け継いで今に至っているとのことです。
牛乳にレモンの果汁を入れれば、化合して凝固してしまいます。本品にはレモンの果汁は(当然ながら)入っていません。
銭湯や温泉の定番である「フルーツ牛乳」を幼少時からこよなく愛する私ですが、本品がどんなお味なのか、興味津々でパックを開けました。
お味は…皆様が想像する通りの、まさに「レモン牛乳」。フルーツ牛乳にも柑橘を想像させる風味はありますが、それをぐっとレモンに寄せた感じですかね。すっきりした甘みで、酸味はほとんどありません。後味に、ごくわずかカスタードを感じさせるものがあって、この隠し味?が特徴なのかなと思います。
大変おいしいです。近くで売っていれば、月に一度くらいは飲んでみるでしょうか。通販もあるそうですよ。こうしたものとの遭遇は、楽しいですねえ。
関連リンク: レモン牛乳物語―栃木乳業株式会社