ソーテルヌ 飲みもの、お酒
20230730
貴腐ワインというもの、飲んだことはなくても、言葉を聞いたことのある人は多いでしょう。偶然の賜物として珍重される極甘口ワインです。
木になったぶどうの果皮に、ボトリティス・シネレア菌に由来する特殊なカビが付着します。このカビがぶどうの水分を飛ばし、果実の甘味を増幅します。そうした果実で作られたワインは、極めて甘口の豊潤なワインとなります。
実際はカビがつくだけでは駄目で、「朝霧によって適度な湿度となり、日中は日差しで乾燥して水分が飛ぶ」日が一か月程度続く…ような厳しい条件のもとで、ようやく貴腐ぶどうが生まれるのです。この気候条件を満たす地域でなければ貴腐ワインとはなりません。
長野県内では塩尻の五一ワインさんの貴腐ワインが有名です。私はソムリエ試験を受ける頃にこちらの畑を見学し、木になっている貴腐ぶどうの房を偶々見つけましたが、びっしりカビに覆われていてなかなかグロテスクな状態でした。最初にこれを口に入れた人はチャレンジャーだと思います。
貴腐ワインの世界的な産地として、ボルドーのソーテルヌ地区の名声は轟いています。ワインの格付けでは「特別第1級」に一つ、「第1級」に11のシャトーが選ばれています(ここ、試験に出ますよ)。最も有名でソーテルヌの代名詞ともなっているのが唯一の特別第1級、シャトー・ディケムです。
高額でなかなか手を出せませんが、かつて父が病床にあったときに「回復したらぜひ一緒に飲もう」と思ってひと瓶購入し、取っておきました。しかしボトルを開ける機会はなく父は旅立ち、一年後に妹弟が集まったとき供養にと皆で飲んでみました。黄金色に輝く液体、蜂蜜のような高貴な香りと甘さ。ああ、生きているうちに舐めるだけでも味わってもらったらなあ、と思っても後の祭り。
ディケムとは比べるべくもありませんが、ボルドーの歴史あるワイン商メゾン・シシェルが限定で販売するソーテルヌのワイン(ハーフボトル)を若干仕入れました。ソーテルヌとしてはかなりお値打ちの価格です。お試しになってはいかがですか。
関連リンク: 貴腐ワインってどんなワイン? (エノテカ)
街路樹日々雑記
20230728
ビッグモーター、実に大胆不敵な企業もあったものです。店舗の前の街路樹に除草剤を振りまいて更地にまでしてしまうなんて。…
報道されている各店舗の現在過去写真を見れば、一目瞭然。これが意図的でないはずがありません。会社に恨みを持つ元従業員は大勢いそうですから、これから告発証言が山のように出てくるでしょう。どういう言い訳がされるのか、興味津々です。
道路から展示車が良く見えるようにとか、道に葉っぱ一枚でも落ちているのが許せない副社長様の逆鱗に触れるのが怖かったとか言われていますが、ここまで突拍子もない発想、ちょっと思いつかない。本丸である保険金詐欺容疑はもちろんのことですが、この「街路樹枯らし作戦」は対象がより身近なものだけに、インパクトが強いです。
それはともかく、街路樹というのは手間がかかるものです。我が家の前の通りには20年ほど前に「いろはもみじ」が街路樹として植えられ、地域に住む私たちもそれなりに木や枯葉の世話を焼いています。
高い木は3mほどになるかな。この木は成長が早く、放っておくと枝がどんどん野放図に伸びて困ったことになってしまいます。ご近所には余計な枝葉を上手にむしり取る人がいて、私も少し教わりましたが全然うまくできません。
この方があるとき作業中に高い脚立から落ちて大怪我をされました。それを受けて、もみじの世話は所有者たる市にお任せすることになり、基本的に地元住民の私たちは手を出さないことになっています。
でもまあ、枝がぴょんぴょん伸びてくるのを見るのは愉快ではありません。最近、高い枝を遠隔操作で切る長いハサミを購入したので、伸びすぎた枝をたま~にカットしますが、作業は面白いものです。ただ、切った枝の始末には困ります。もちろん落ち葉も。虫がつかないのは助かりますね。
手間はかかりますが、街路樹が通る人の心を和ませてくれるのであれば、少々のことは喜んで協力しましょう。除草剤なんてとんでもないぜよw。
こってりMAX(2)食べもの
20230723
一言でいえば、美味しいです。合格です。日頃からこってりのお好きな方には、一度はどうぞとお勧めします。初心者の方は、さてどうでしょう。
粘度はかなりなものです。レンゲが立つというのはオーバーですが、楊枝は間違いなく立ちます。スープの表面にレンゲを沈めてみると、スープが時間をかけてドロドロと流れ込んできます。箸で麺を持ち上げてみると、スープが麺にへばりついてきます。作るときにこってりスープのペースト?を丼に一定量投入して濃度を高めているのでしょう。普通の品と同様に、濃厚な脂は感じません。
前から普通のこってりを食べているときに感じた(多くのファンが言及していた)特徴が、そのままの延長線で強調されたものでして、ものすごい違いを見せているわけではないのです。「通常のこってりラーメンがアップデートしてこうなりました!」と言われても、そう違和感なく受け入れられる印象。
値段が1210円と(地域によって異なる)大した具の入っていないラーメンとしては高めですので、その辺どうなのかなとは思います。具と言えば、ラーメンに煮卵を入れるのが好きな私はこの店でも時々トッピングしますが、食べ終えてみるとやや過剰感を覚えます。具を多くするとこってりスープの重さと相まってtoo muchになるのでしょう。白飯を頼んでおじやにする方が良さそう(したことないですが)。
近所に店がなく、そう頻繁に食べるものでないので、今度行ったらもう一度食べてみるかな。
余談ですがこの時、そろって「あっさりラーメン」を食べている中年男性2人組を目撃しました。だったらなぜこの店に入る?
関連リンク: 天下一品ホームページ こってりMAX
イルカに襲われる日々雑記
20230719
水族館のショーでお馴染みの愛らしい海の動物、イルカ。でも実態は、そうばかりでもなさそうですよ。
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(北陸放送)福井県美浜町竹波の水晶浜海水浴場で16日早朝、およそ5メートル沖合を泳いでいた岐阜県可児市の60代男性に野生のイルカがぶつかり、男性はろっ骨を複数折る大けがをしました。その後、別の男性3人もイルカにかまれるなどして、軽いけがをしました。
現場には17日もイルカが現れ、相次いで海水浴客に襲い掛かりました。
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「襲い掛かりました」ですって。実は昨年夏にも福井市内の海水浴場で、2か月ほどの間に20人が噛まれるなど怪我をしています。中には両腕を10回以上噛まれて18針も縫う大怪我をした人もいます。こうなると「小さなジョーズ」みたいなものですね。
ジョーズこと凶暴なホオジロザメが、体のずっと小さなイルカに体当たりされて殺されることはよくあるのだそうです。サメは魚でイルカは哺乳類、運動のための筋肉量や骨格がまず全く違う。サメには内臓を保護する肋骨がなく、頭のいいイルカがその急所を狙って体当たりすることで、内臓破裂させるんですって。(あまり信頼できる情報源でもないので、信用しすぎないで下さい)
それにイルカの歯って、よく見ると結構な迫力です。こいつが思い切り「ガブッ」とやってきたら、怖いと思いませんか。福井の被害者たちが本気で噛まれたのかじゃれて遊んできたヤツに甘噛みされたのか。記事からは後者のような感じがしますが、それでさえこの怪我ですからね。
ドラマやアニメで紹介される通り、イルカには他の動物にないヒトとの親和性を示す傾向が確かにあるようです。しかし本質的には野生動物ですから、中には攻撃的な個体だってあるでしょうし(福井の例も同一個体の可能性もあるらしい)手放しで安心はできません。水族館で事故が起こった例も少なくないらしい。
他人事だと思うから面白がっていられますが、海水浴に行かれる方、どうぞご用心。私はまだ「野生のイルカ」なるものを見たことはありません。ぜひ一度、なぜなぜしてみたいです。
こってりMAX(1)食べもの
20230717
「ジョブチューン」なるバラエティ番組がありまして。一流料理人(ということになっている)たちがファミレスやファストフードなどチェーン店のメニューを次々に試食し、合格不合格をつけるという。番組という名の広告だと思っているので、真面目に通して観たことがありません。
ところがこのほど私の大好きな「天下一品」が俎上に乗るというので、録画までしてちゃんと観てみましたよ。
他に類を見ない「こってりラーメン」で知られるこのお店については、2012年1月、二度に渡って本欄で取り上げました。どろどろの濃厚スープ(でも決して脂っぽくはない)にファンを引き付ける魔力があって、ハマる人はとことんハマり、受け付けない人は激しい拒否反応を示すという超個性的なラーメンです。
番組ではこの「こってり」は審査員全員が合格の札を挙げたものの、チャーハンや天津飯、野菜炒めなどエントリーメニューの半分は不合格となり苦戦でした。審査員の人選がお店の狙っている(であろう)ところとマッチしていないようには思いましたが。
仕方ないです。この店に入って「あっさり」(こってりを受け付けない同行者のために用意されている)を注文する人なんて、そうはいないでしょうから。こってりラーメンという鉄壁のキラーコンテンツがあれば、お店としてはそれでじゅうぶんお客を集められ、OKなんですよ。他のメニューなんて極端な話どうでもいい。
でも、たまに食べるここのチャーハンは結構美味しいと思いますがね…ラーメンに合うような味になっていて、単独ではパッとしないのかな。
さて、しばらく前から話題になっているメニュー。こってりをさらに追求した天下一品史上最強こってりと称する「こってりMAX」なる商品が発売されたのです(6月からほぼ全店で販売開始)。
あの「こってり」がさらにパワーアップしたラーメン…いったいどんなものでしょう? ああ、食べたい、と思って一か月。東京で会議があり出張した際に、ようやく体験することができました。番組では合格5票、不合格2票という結果でしたが、どうだったか?
大谷は外食しない日々雑記
20230711
爆発的な勢いでホームランを量産している大谷翔平。活躍ぶりは驚くのを通り越して呆れてしまうほどですが、オールスター戦前のインタビューでこんなことを言っていたとか。
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(中日スポーツ)通常本拠地でのナイター試合(午後6時30分頃開始)では、大谷は午後2時前後に球場に入る。そこまでの時間、何をしているのか―。大谷は「ホームの時は朝ご飯で1回起きるので、9時半とか10時に起きて、朝ご飯食べてすぐ寝て。その後、起きて球場に行って、またご飯食べます」と明かした。
睡眠について「とにかく質より量」と語ったことがあるが、実際、朝食後すぐに寝るという。「(朝は)普通のというか軽食みたいな感じ。本格的なご飯は球場についてから」と話した。
今季、シーズンに入って一度も外食をしていないことも明かした。「(外食は)記憶にないですね。次の日もまた試合があると、なかなか遅く帰ってくるわけにはいかない」。二刀流でシーズンを乗り切るためにも、外食は避けているようだ。
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生活のすべてを野球に捧げている大谷選手のストイックさはよく報道されていますが、なるほど徹底していますね。以前のインタビューではニューヨークの街に一度も出たことがないとも発言しています。
独身の大谷選手が普段どういう食事をしているか、興味深いものがあります。具体的な記述を目にしたことがないのですが、まさかスーパーで食材を買って毎食自炊しているとも思えません。通訳の水原氏が食事を作っているわけでもないでしょう。料理をしてくれるメイドさんでもいるのでしょうか。「外食をしない」というのを文字通りとれば、家の外の飲食店では食べないということであって、ウーバーで出前を取るのはありかな?
健康的な食事には人一倍気を遣っていそうです。ジャンクフードなどとんでもないでしょう。でも彼がプロテイン飲料だとかサプリメントばかりであの引き締まった筋肉質の体を作っているとしたら、何だかつまらないような気もしますね。
アメリカでも顔が売れて、外食するのもままならない事情があるのかもしれません。シーズン中はまあ仕方がないでしょうが、オフには美味しいものを食べて、たまには羽目をはずしてもいいのでは。
それはともかく、明日のオールスターゲームでの活躍を期待します。
うなだれとソーライス食べもの
20230705
土用の丑も近いですね。大阪の阪神梅田百貨店で、「うなぎのないうなぎのたれごはん弁当」を売り出すとして話題になっています。
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(食品産業新聞)うなぎのないうなぎのたれごはん弁当。1人前580円(税込)。販売期間は7月1日から7月31日まで。土用の丑当日だけでなく、少し早めの“うなぎ気分”を味わってもらうために開発したという。
近年、うなぎの価格高騰が進む中、世間の冗談交じりの「うなぎのタレだけで米を食べたい」という声を受け、「象印銀白おにぎり」が実際に商品化。そのまま食べるのはもちろん、生卵で卵かけにしてもおいしく味わえる。
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うなぎのたれは確かに美味しいものです。蒲焼を買ったときについてくるプラ容器に入ったのがしばしば余りますので、ご飯にかけて食べますね(おかずなしでこれだけ、はさすがにないが)。
写真で見ると玉子焼き一切れに漬物のようなものもついていて、ご飯の上には粒山椒もちりばめられているようです。580円という値段。デパートの弁当として考えれば必ずしも高くないかもしれません。白飯だけを売っている店舗はいくつもあるでしょうが、それと比べてどうなんでしょう。
検索したら、5年前に大学生協が「土用のたれめし」と称してよく似たもの(おかず、漬物なし)を関東甲信越エリアで販売していました。こちらは198円で、5年間の物価の違いはあれど、だいぶお値打ちでした。学生さんの昼メシですからね、このくらいが値ごろでしょうか。
メシにタレだけといえば連想するのは、もちろんこれ。昭和初期の阪急百貨店ではご飯にソースをかけただけの「ソーライス」が評判になったといいます。私ゃ今のいままで「ソースライス」だと思っていました。実際にはこの名称でメニュー化されていたわけでなく、裏メニューだったようですが(5銭のご飯だけを注文し、卓上に置かれたソースをかけて食べる)。
有名な伝説ですが意外にも旧阪急百貨店にはその記録は残っておらず、本当にあった話なのかは同社では確認できないようです。でも実際に食べたという人の談話とかはいくつもあり、恐らく本当の話なんでしょうね。これがフィクションだったなんて、つまらないです。
関連リンク: 阪急百貨店のソーライスの話、ウソ?ホント?
2023上半期 蔵出し(2)食べもの
20230703
上半期蔵出しのつづき。。
富山県五箇山「高千代」の熊トロ(肉刺身)
ジビエ食堂として知る人ぞ知るお店です。店主みずから撃ってくる野生の熊や鹿肉を食べさせます。卵でとじた熊丼はまあ普通の味でしたが、刺身でいただいた「熊トロ」は実に上品な脂身で、とても美味しかった。濃厚ではなくむしろ口の中で消えてしまうような爽やかさ。
駒ヶ根「リゾートリンクス」の58℃で優しく火を入れた信州プレミアム牛のチャコールグリエ
仏料理界のレジェンド上柿元勝氏と、リンクス中路シェフの二人会ディナーにて。この料理は中路シェフによるもので、しっとり柔らかく仕上げられ味わい深いものでした。TVで観て自分でも低温ステーキ調理を試みることがあるのですが(本欄20年5月)もちろん比べるのも無茶なもので、プロの技を感じました。
宮田村「昭栄軒」の鴨焼肉
月一回の無尽の会にて、昭栄軒さんがご自宅を改造して作った「離れ」のお披露目。動けなくなるほどたくさんの料理でしたが、印象に残ったのはこの鉄板焼き。変わった肉の形状に隣のスーパー社長さんと「これ何の肉かね?」と首をひねりました。お聞きすると鴨とのことで、なるほどちゃんと葱も背負っています。淡泊ながらじんわり程よい脂でおいしく頂戴しました。しかしこれ4人分の肉ですよ!多すぎませんか。
駒ヶ根「アルテホール光祥院」のオードブル
会社で新年度始まりの「進発式」を行ったときにテイクアウトでお願いしたものです。限られた予算なのでそう贅沢はできませんが、中身も見た目もよく工夫され価格以上の満足感でした。光祥院さんはお弁当も綺麗で美味しいものを作られています。
2023上半期 蔵出し(1)食べもの
20230702
お蔵入りがあれば蔵出しも。。
今年も半年が経ち、この間に飲食も復活して、いろいろなものを頂戴しました。スマホを持ち歩くようになりテーブル上の写真をしばしば撮りますが、タイミングを逸すなどして記事にしなかったものも多いです。備忘の意味も込めてご紹介。
名古屋市新栄「ラ・カボット」の雉のパイ包み焼き
名古屋で夕食を食べる機会はあまりないのですが、ここはネットで探して行ってみたフレンチ・ワインバーです。カウンターのみワンオペのお店ですが、手際よく肉中心の料理をお手頃価格で出してくれます。キッシュロレーヌ、豚足のテリーヌなど実においしい。とてもいいお店でした。
銀座「黒猫夜」の鴨舌炒め
赤坂店も含め何度も行っているマニアック中華。珍しい食材が豊富でメニュー選びにいつも苦労します。中でも名物の鴨舌炒めは必ず頼む一品で、この変な形の部位が我々の考える「舌」なのかクチバシなのかよく分からないのですが、コリコリとした食感が楽しい。以前書いたことがありますが、中国酒の品揃えが凄いです。ウーロンハイもオススメ。
新宿伊勢丹のプラントベースフェア
ADEKAさんで最近特に力を入れている、植物原料を使った乳?製品や油脂製品のシリーズ「デリプランツ」。伊勢丹の惣菜売場とタイアップしてフェアを行ったもので、10店舗以上のテナント店舗が参加していました。目についた何種類かを購入し持ち帰って食べてみました。かなり控えめな使い方で(もっと目立っても良かったかな)まったく違和感なくいただけました。
関連リンク: ADEKA「プラントベースフード」