今年の一皿、むね肉食べもの
20171206
師走。「今年の〇〇ランキング」が話題になる季節になりました。ぐるなびが主催し、昨年くらいから一般にも広まってきた「今年の一皿」。その選考基準は、
・その年に流行または話題となった
・その年の社会の動きと関係が深く、世相を反映している
・食文化の記録として後世に受け継ぐ価値がある
とされ、3項目めについてはここまで大見得を切るほどかなとも思いますが、こうした活動を通じてより多くの人が食にいっそう関心を持ってもらえることは、なかなか良いことでしょう。
昨年は「パクチー料理」が選ばれ、当欄でも昨年12月9日の記事で取り上げました。さて、2017年今年の一皿は?
「鶏むね肉料理」だということです。ふーん…
むね肉は最近、いろんな所で露出が多いな、と思いませんか。クッキング番組でも、食べ歩き特集でも、チキンといえばどれもこれもむね肉。誰か仕掛けている人がいるんだろうか、いささか不自然なくらいの「むね肉推し」だと感じていました。(ところで何故「胸肉」ではなく「むね肉」なのでしょう)
脂肪分が少なく高蛋白でヘルシー。そして値段も安い。それはわかります。コンビニで「サラダチキン」が売れたり、さまざまな調味液を使ったりして柔らかく食べられるようになり、意外にいけるなと多くの人が思ったのでしょうけれど、やっぱりおいしいのはモモ肉じゃありませんか。
むね肉を写真のようにゴージャスに調理してみても、あんまり楽しさが感じられないし、しっくり来ませんね。もっとも鶏皮の嫌いな人は結構大勢いらっしゃるから、そういう人はむね肉を支持されるかな。
私なら次点となった「フォトジェニックサンドイッチ」(写真下)を今年の一皿に選びたいです。インスタ映えという今年を代表する世相と完璧に重なり、まさに時代の生んだ食だと思いますけど。皆さんはどう思われますか。
関連リンク: 2017年「今年の一皿」公式ページ
有害鳥獣食べもの
20171114
伊那谷の秋の風物詩ともいえる、地元農協のJA祭が各地で行われています。上伊那農協駒ヶ根支所でもこの週末の土日に開催され、多くの来場者を集めました。
新聞折り込みのJA祭の大きな広告を見ますと、会場の案内図が載っています。そば打ち道場、もち米の量り売り、焼き芋、越冬野菜、ペレットストーブ。みんな大好きな宝投げ。その中に、ちょいと気になるブースが…
有 害 鳥 獣 汁
有 害 鳥 獣 汁 !?
いや、趣旨はわかりますよ、畑や森林を荒らす動物たちを猟師が駆除した、そのお肉を「汁」にして喰っちまおうってことでしょう。しかし、有害鳥獣汁ですか…。
誰もが思うでしょう、何が入っているか。有害鳥獣としてよく話題になるのは、シカとか、熊とか、イノシシとか。モグラも畑を荒らすことで困りものです。カチカチ山以来、汁物の元祖とも言えるタヌキを忘れてはいけません。市街地では近頃カラスがわさわさ飛んでいるし、山の近くではニホンザルが我が物顔で歩いていたりしますが、まさかこんなものまで?
これは何としても食べてみなくては、と、土曜日に母と買い物に行ったときにブースを探しました。ところが影も形もなく、空き家になっているではありませんか。実は日曜限定なんだそうです。
翌日は伊那フィルの演奏会本番で会場には行けませんでした。妻が気を利かせてくれて、持ち帰り容器持参でブースを訪れ、お土産にいただいてきました。(無料配布だった由)
ご覧の通りのもの。豚汁風で、肉はイノシシのようですね。イノシシは何度か食べていますが、脂がおいしく癖もなく、全然違和感なくいただけます。この有害鳥獣汁も、なかなかよくできておりました。
味より名前のインパクトがすごいですね。地域の名物の一つになるでしょうか?(絶対に、この名前でなくちゃ)
マンガ飯、ブラックカレー食べもの
20171101
マンガに登場するおいしそうな料理の数々。実際に食べてみたらどんな味がするのでしょうか。梅本ゆうこさんという料理マンガ好きの方がいて(38歳主婦)自分で作ってみては片っ端から試食しているらしいのです。
梅本さんのホームページ「マンガ食堂」の存在は、以前何かで紹介されているのを見て知ってはおりました。先日の「マツコの知らない世界」に彼女が登場し、大胆不敵な料理を作って爆笑を誘っていました。
彼女が挑んだのは牛次郎/ビッグ錠の「包丁人味平」に登場する、ブラックカレー。
本作は「グルメマンガ」の走りでしょうね。私も子供の頃愛読していました。連載初期は、タライに浮かせた胡瓜を波紋も立てずに包丁で切るとか、マグロ一匹を解体するのにダイナマイトで爆破するとか(解体どころか木っ端みじんでしょうが!)珍妙なエピソードが続いていましたが、後半になって味の勝負が題材に出てくるようになりました。
郊外の駅をはさんで対峙する二つのデパート。その売上戦争が(何故か)それぞれのテナントであるカレー屋にゆだねられることになりました。一方は味平、そしてもう片方は数千種類のスパイスを極めたカレー将軍、鼻田香作。鼻田が究極のカレーとして作り上げた最終兵器が「ブラックカレー」なのです。
それは一口食べたら魔法にかかったように次から次へとスプーンが動き、思い出すたびに食べたくて誰もが我慢出来なくなってしまう代物。スパイスの中には麻薬的効果を持つものがあり、それが食べた人に作用して一種の中毒症状を作ってしまうという恐るべきカレーだったのです。長年カレーの研究を重ねてきた鼻田自身もスパイスの薬効で中毒になり、病院へ運ばれるというのが落ちです。
梅本さんはこれを再現しようと工夫を重ね、1回目は材料を3日間炒めるという荒業で真っ黒な(これって、炭ですよね)カレーを作りマツコに酷評されてしまいました。今回リベンジ戦ということで、炒め時間は短縮しココアパウダーで色付けした黒いカレーを作りました。マンガの作者ビッグ錠氏もサプライズで登場し、いざ試食。
結果は「まあまあおいしいけれど、これはカレーじゃないな」という評価に。肝心のスパイシーさに欠けていたようですね。梅本さん再々リベンジはあるのでしょうか。黒いカレーはイカ墨などを使えばたやすく作れるでしょうから、あとはスパイスの醸し出す魔法感をどこまで再現できるかがポイントでは。彼女のホームページにはそのへんの裏話も記載されています。
関連リンク: マンガ食堂 (梅本ゆうこさんのホームページ)
たまにはハンバーガー食べもの
20171028
学生時代にハンバーガーのお世話になる人は多いと思います。私が高校生の頃は、伊那にファーストフード店はまだありませんでした。何かの用事で上京したとき初めてマクドナルドを食べ、挟まれた肉の薄さチープさに「なんだ、ハンバーガーってこんなもの?」とたいへんガッカリしたことを覚えています。
大学生になってからもそう頻繁には食べませんでした。中ではファーストキッチンのベーコンエッグバーガーが割と好きで、新宿西口や赤坂見附の店で近くに行ったときは何度か食べました。モスバーガーは当時の私の行動範囲に店舗がなく、食べたのはずっと後のこと。
いまご近所にマクドナルドはありますが、エリック・シュローサーの「ファストフードが世界を食いつくす」を読んでから、まったく行く気がしなくなりました。もう10年近く行っていません。
さて最近は米国発の高級ハンバーガーのお店が相次いで上陸しています。その代表格が「シェイクシャック」。TVでもよく取り上げられていました。いま首都圏に6店舗ほどあるようです。
有楽町の「東京国際フォーラム」に時々用事があるので前を通りますが、ここのシェイクシャック、昼時などすごい行列です。私は行列好きではないので(絶対に拒否、というほどでもないが)とてもあそこに並ぼうとは思いませんが、どんな味だかは興味はありました。
最近新宿サザンテラス(南口、以前クリスピークリームドーナツがあったあたり)に店舗ができて、こちらは意外と空いているとの情報を耳にし、出張の際に行ってみましたよ。
正午近く、聞いたとおり行列はゼロ、でもガラガラではなく程よい人の入り具合です。外人客も多し。スモークシャックシングル(いわゆるベーコンチーズバーガー)880円とオリジナルレモネード250円を注文。ポケベルを渡され、10分近く待ったかな。とても気持ちの良い秋晴れだったので、外のテラスでいただきました。
これがなかなかおいしくて。スモーキーなベーコン、薬味のチリの辛味が重厚なパティと相まって、肉を食べたなあという感じです。ダブルを注文すればさらに満腹満足でしょう。厚手のハンバーガーは食べているうちにバンズとパティがずれてきて食べにくいものですが、ここのは上下のバンズが一部でつながっており、ずれません。
日本でのハンバーガーのイメージは、どうしても早い安い●△い、に引きずられてしまいがちですが、いい材料でちゃんと作られた(店のPRによれば)ものをたまに食べてみるのもいいですね。
関連リンク: シェイクシャック
シャリ野菜食べもの
20170925
久しぶりに「くら寿司」に行く機会がありまして。
このチェーンは「攻めるメニュー」が最近とても多いですね。ちょっと前だと、酢飯を使ったカレーライスだとか、お米から作った白いコーラ「シャリコーラ」だとか。シャリカレーをバンズに挟んだ「シャリカレーパン」というのもありました。
残念ながらこれらのメニューに、私が洒落にでも食べてみたいなと思うものは無く、いずれも試しておりません。しかし一年以上たってもメニューにちゃんと残っているのですから、チャレンジ客が一巡した後でもそれなりにリピーターがいるということですね。素直には信じがたい。
そのくら寿司が最近挑んでいるのは、低糖質メニューなのだとか。糖質オフと銘打って、シャリの代わりに大根を使った「シャリ野菜」のお寿司だとか、ラーメンから麺を抜いたものなんかもありますぞ。味噌汁代りにいただくのでしょうか。
(ラーメンと言えば、以前から回転寿司のメニューにうどんやラーメンがあることは承知していますが、実際にそれを食べている人を見たことがありませんでした。先日社員数名で行った折、一人がいきなりラーメンを注文したには、正直驚きました。すっかり当たり前の存在になったということですな)
それでシャリ野菜のお寿司を注文してみました。見かけ、平べったいなというのが第一印象。酢飯のあるべきところに大根の千切りが敷かれています。これって刺身とツマを一緒に食べるのとどこが違うのか、などと悪口を言われております。
食べてみると、大根は甘酸っぱいドレッシングで味付けされており、「刺身にツマ」ではなく、いわゆる「海鮮サラダ」そのまんまの味。おいしいと言ってよいと思います。
どういうシチュエーションでこのメニューを選ぶのかな。だいぶ前、ある人と回転寿司屋で食事した時、酒飲みのその人は普段お刺身は食べてもシャリ玉に載ったお寿司を食べることがあまりないとの事で、困惑しておられました。そんな人なら注文するでしょう。
まあ一皿100円ですし、腹いっぱいにならずにたくさんの種類を食べたい人には向いているメニューなのかもしれません。
くら寿司は100円寿司としては、それなりに味と価格のバランスのとれたお寿司を提供してくれるチェーンだと思いますが、あんまりこうした色物に走ることがお店にとって良いことなのか、どうでしょうね。一店舗で用意できるアイテム数には限度がありますから、一般メニューにしわ寄せが行っていやしないかな…という気もしました。
レッドアイ・グレイビー食べもの
20170918
ドレッシングの売場に行くと、本当にたくさんの種類があるのに感嘆します。当社の倉庫を見ても然りです。今では売れ筋としてバンバン売れている「シーザー」や「焙煎ごま」「チョレギサラダ」など、ちょっと前にはなかったアイテムが商品群全体の使い方の幅を大きく広げている感じです。
業務用のこの分野の雄、ケンコーマヨネーズさんが「旅ドレ」というシリーズでちょっと変わったドレッシングをラインナップしており、珍しい世界のご当地風味を紹介しています。
何種類か出ていますが、最初に出た「シラチャー」がたいへん美味しいと思います。タイ由来のものだそうで、見た目はサウザンのようなオレンジ色、にんにく、ナンプラー、唐辛子風味が効き、何にでも合いますね。
しかしここで紹介したいのは「レッドアイ・グレイビー」という品です。アメリカ南部で親しまれている味だそうで、何とコーヒー風味のドレッシング。フォンドボーにブラジル産コーヒーを合わせているそうです。味が想像できますか?
商品紹介によれば、肉料理や温野菜にどうぞ、ということです。季節も秋になって肌寒く、あったかいものが食べたくなり、ポトフを作りました(妻が)。具材に片っ端から本品をつけて食べてみましたが、その結果は?
牛すじ肉 …◎
厚切りベーコン …△
ジャガイモ …○
人参 …○
玉ねぎ …○
キャベツ …◎◎
サツマイモ …◎
ポワロー …○
カボチャ(ポトフとは別に煮たもの)…◎
中でも、キャベツとの相性は最高、特別に◎2つ進呈します。ダシをたっぷり吸ったキャベツとレッドアイ・グレイビーは、この世のものとも思えぬ幸福なマッチングです。いや、いくら何でもオーバーですか。
本品、ちょっと味が一歩先を行っていて、売れ行きは今一つのようですが、好奇心の強い方におすすめです。
胡瓜天食べもの
20170825
夏場はありがたいことに、しばしば野菜のおすそ分けにあずかります。トマト、茄子、きゅうり。30センチ近くもある巨大なきゅうりを何度も頂戴し、ガリガリむしゃむしゃと丸かじりで食べています。
食べても食べてもたくさんあるので、目先の変わった食べ方もあるかな…と思っていたところ、ちょうどtwitterに流れてきたのは「きゅうりの天ぷら」。
好みのサイズにスライス(カット)して、塩を振り5分。出てきた水気を拭き取って、あとは普通の天ぷらネタと同じように衣をつけて揚げるだけ、だそうです。
早速試してみました。普通は天ぷらにすることはあまりないネタです。やっぱり水分が多いからでしょうか?塩を振ることで余計な水分を抜くのが一工夫ですね。
肝心の味はどうか…それが、意外な美味しさ。きゅうりの青臭さは適度に残しつつ、温かいきゅうりの変わった食感を楽しめ、なかなかいいと思いました。生のきゅうりにはない味わいです。
妻はそれほど感心しなかったようですがね。私は、家で天ぷら揚げる時には1本追加すれば、目先が変わって楽しいと思いましたけど。よかったら試してみませんか?
羽島のれんこん食べもの
20170613
当社の商売の柱になっている業務用珍味。その大事な仕入先「ジーエフシー」さんが初めて本格的な展示会を行うということで、岐阜県笠松町の同社本社へ行ってきました。
展示会の内容はまた商売を通じてお客様にお見せできると思います。多くのメーカーさんが集まり、新しい企画ものや、日頃取り扱ってはいても実際に味をみることの少ない商品をいろいろと試食することができました。とても良い機会をいただいたと思います。
さて出張に行くからにはどこかでお昼を食べるわけですが、岐阜のこのあたりで特色ある食べ物って何だろう?探してみますと…岐阜羽島の「れんこん」が名物らしい(羽島市と笠松町はすぐお隣です)。名産地なのだそうです。れんこん料理を食べさせるという「竹扇」というお店に行ってみました。
食べたのは当店人気の「れんこんの蒲焼」「れんこんカツ」が両方入ったお弁当。蒲焼は、すりおろしたれんこんを海苔に塗り付けて、タレをつけて焼いたもの。れんこんカツは、輪切りにしたれんこんに薄切りの豚肉を巻いて揚げています。これは普通のとんかつに結構近い味わいがありますね。
あと箸休めにれんこんの酢漬けもついています。お昼ですからボリューム的にはこの位のものでしょうか。どちらもおいしくいただきましたが、ちょっとお値段は高めかも。
できればもっといろいろ、れんこん尽しといえるくらい食べてみたいですね。私はきんぴらも好きだし、煮しめに入ったれんこんもいいし、熊本名物の辛子蓮根は見かけるとついつい買ってしまいますし、れんこんの天ぷらならお腹いっぱいになるまで食べたいです。はっきり言って大好き。れんこん自体はローカロリーでヘルシーな印象がありますから、いくら食べてもいいんじゃないでしょうか?(ホントかな)
こうしたポピュラーな素材で名物を作るのには難しさもあるかと思いますが、れんこんのアイデア料理コンテストを開くとか、いろいろ工夫できるかもしれませんね。
それにつけてもおやつは食べもの
20170531
長年愛されたロングセラーのお菓子、明治の「カール」。西日本の一部地域を除いて販売休止になるといいます。
このニュースを聞いて「何でやめちゃうの?ああ、寂しいなあ」と思った人の95%は、過去10年間カールを食べていない、というtwitterがありました。おそらく当たらずとも遠からず、私も、たぶん10年くらい食べてないかも。
最盛期には190億円あった売り上げが、今は60億円と三分の一にまで減少したといいます。それでも60億あれば、と思いますね。減ったとはいえ明治のお菓子の売上の4.2%をカールが占めているそうですから、もったいないようにも見えます。生産工場を集約しアイテムを絞り込み、何とか親しまれたブランドを維持しようと検討された結果なのでしょう。
業界紙によれば、スナック菓子としての位置づけがポテトチップスやカップ入りスナック(じゃがりこなど)に押され、棚を確保できなかったのだと。味ではポテチのバラエティ化についていけず、また空気をたっぷり含んだ風袋がかさばって棚を占領してしまう。次第に敬遠されて売場を失い…まあありそうな話。
このニュースを見て、実際に近所のスーパーやコンビニの棚を見てまわりましたが、カールの棚が確保されていたのはわずか一軒だけ(商品は売り切れていました)。ここまでとは思っていませんでした。気がつけばカールは既にひっそりと身を引いていたのでした。
このほかに『大人カール』を置いていた店はありました。これは前にチーズ味を買って食べてみたことがありますが、妙に味が濃くて、あまり旨いとは思わなかった。想像するに大して売れたとも思えず、ブランド復活を狙って出した新企画の不調も販売休止方針の背中を押したのではないかと推察します。
そうは言っても私も子供の頃に親しんだ味ですから、寂しいと思いますよ。10年も食べずにいてごめんなさい。カレー味の方が好きでしたが、チーズのちょっぴり癖のある味も悪くなかったですね。これからは西日本へ修学旅行に行く子供たちが、お土産に買ってくるようになるのでしょうか?
わけのしんのす食べもの
20170506
連休に東京でシーフードを食べる機会がありました。北参道のイタリアン「ボガマリ・クチーナ・マリナーラ」というお店。
この店にはメニューがなく、新鮮な魚介類がショーケースに所狭しと並べられており、サービスの人と相談しながら食材と調理方法を決めていくスタイルです。ソテー、フリット、グリル、煮込み、パスタなど、選ぶ楽しみもおいしさのうち。お肉は全く置いてないという徹底ぶりです。
料理を決める中で、小魚のフリットを頼んだら「ご一緒に、いそぎんちゃくのフリットはいかがですか?」とお勧めがありました。へえ、いそぎんちゃくを食べるの?あの触手を想像すれば、あまり食欲をそそる食材とは思えませんな。何でもシェフが修業先のサルディニア島で見つけた食材で、日本であちこち探したら九州の業者から購入できるのだとか。普通のいそぎんちゃくと違って触手はついてないとのこと。
そういうことなら、せっかくの珍味(でしょう)を前にして尻込みするのはもったいない、ひとつチャレンジ精神を発揮して食べてみるか!
小魚と共に出てきたフリットが写真です。お味は貝のような感じで(家族は「アサリと牡蠣の間」だと言ってました)食感もいわゆる軟体動物的なものではなく、肉の内臓を思い起こさせるような。濃い磯の香りが立ち上り、珍しくも美味しくいただきました。
店を出てから気が付きました。さっき食べたアレは「わけのしんのす」じゃないのかな。
20年以上前のdancyuに有明海の珍味の記事があり、メカジャとかワラスボとか面白い名前のグロな食材の中に、わけのしんのすもあったのです。調べてみると、まさに大当たり。原型の写真は、どうぞ検索してみて下さい。わけのしんのす、とはどういう意味かも書いてあるでしょう。…「若衆の尻の穴」何とも凄いネーミングですね。現地では味噌汁に入れたりするそうです。
珍しいものを食べました。もう一度食べたいかって?そうですね、機会がありましたら、再チャレンジしてもいいと思います。意外と高価なものらしい。