さすまたの武士日々雑記
20231128
上野の宝石店強盗未遂の話。こんな立ち回りが行われ、それが動画として報道されるなんて、すごいことですね。
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(FNNオンライン)東京・台東区の宝石店にヘルメットをかぶった3人組の男が押し入った事件で、警視庁はさきほど18歳の男2人を強盗致傷の疑いで逮捕した。警視庁は残る1人の行方を捜査している。
逮捕された職業不詳の18歳の男2人は26日午後6時半すぎ、台東区上野の宝石店に押し入り、ショーケースをバールで破壊した上、男性店員に全治10日のケガをさせた疑いがもたれている。
男らは商品を奪おうとしたが、別の店員にさすまたなどで抵抗されたため何も取らずに逃走していたが、2人は27日、埼玉県内の警察署に出頭してきたという。
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今年5月の銀座の高級腕時計強盗と似たようなにおいがしますね。誰かにそそのかされた馬鹿小僧たちがやったのでしょうか。刑法では強盗致傷は重罪ですぞ(無期または懲役6年以上)。もう一生台無しだ。
強盗を追い払った今回のヒーロー、「さすまたの武士」の活躍には誰もが驚嘆したことでしょう。さすまたは相手の手の届かない距離から相手を押さえつけ、行動を封じる道具だと思っていましたが、このように「ぶっ叩く」という使い方がありました。竹刀や木刀よりリーチが長いし、剣道の達人でなくとも使えそうです。
専門家に言わせると、先端のU字の部分を両手で相手に掴まれてしまうとなかなか苦しいらしいです。基本的には複数名で取り囲んで使うのが正統(?)だそうですが、こんな場面ですもの、どうやって使ったっていいですよね。相手には相当な威嚇になったと思われます。脱兎のように逃げて行ったもの。
通販サイトによれば、さすまたは5000円~2万円台くらいするようです。あんまり安いのは強度がちょっと心配。見ていくと「安全さすまた」なる商品もある。まことに不思議なネーミングです。何が(誰にとって?)安全なのか。
後ろ姿しか映っていない恰幅の良い店員さん。相撲の元力士じゃないかとかSNSでは言われていますが、私には「芋洗坂係長」が連想され、もうなんだか可笑しくって…。逃走用バイクを破壊したのはヒットでした。特別ボーナスものですね。
驚嘆の超絶技巧読んだり見たり
20231124
まずはこの2枚の写真をご覧ください。。
これは二つとも木彫の作品です。アゲハ蝶の作品は彩色を一切せず、よく似た色合いの木を使って寄木細工のように組み立てたもの。本物の蝶とおおむね同サイズで、大変精緻な技術だと思います。
しかしさらに見ていただきたいのは、蝶が乗っている台座です。ここで表された水滴は、台座の木をその部分だけ残して彫り下げ、磨きぬいて曲面を出して作られたものなのです。つまりこの台座は、水滴も含めて一枚の板から彫り出されているのです。彩色せずに。
スルメイカの作品。本物としか思えない微妙な曲線と、粉を吹いているかのようなざらざらした表面。これが木彫りでできているとは考えられない、このまま焙って七味マヨネーズでもつけて食べてしまいたいでしょう。
驚くのはまだ早い。このスルメは、先端につけられたクリップ、その先の金属の鎖まで含めて、一本の角材を削って作られています。パーツを組み合わせて作ったのではありません。想像を絶する手間がかかっています。
このような精巧極まりない現代の作品を集めた展覧会「超絶技巧、未来へ!」を観覧してきました。一部写真撮影可だったのでスマホで撮ってきましたが、より鮮明な写真を見たい方はリンク先などでご覧ください。
以前NHK「日曜美術館」でこの展覧会が紹介されて、ずっと行きたいと思っていたのです。今年の4月から6月には長野県立美術館で開かれていたのですが行きそびれ、今回東京(三井記念美術館)でようやく目にすることができました。会期は今週末までということで、滑り込みです。
このほかにも金属加工や漆芸、ガラス、刺繍、切り絵などさまざまな分野の作品が並べられました。どれだけモデルに近づけるかという技を通し、素材の本質に迫ろうという意気込みが感じられ、圧倒されました。
昔のTVチャンピオンで「手先が器用選手権」というのがありましたが、この若い作家たちの器用さと根気(執念)といったら人間技とも思えませんね。これほど根を詰めて制作していたら寿命を縮めてしまうのではないか、などと余計なことを考えてしまいます。
関連リンク: 美術手帖サイト
じゃこ天騒動食べもの
20231117
殺伐とした舌禍事件が多い中、大人の対応というのはこういうものかと思わせる出来事となりました。。
元はといえば先月の講演で、秋田県の佐竹知事が四国を訪問したことを振り返って「じゃこ天は貧乏くさい」と発言したことです。周囲から批判を浴びてすぐに謝罪しましたが、中村・愛媛県知事が「揚げたてのじゃこ天は格別。きりたんぽ鍋に入れると、もっとおいしいかな」と切り返し、互いの距離がむしろ狭まったというのです。
この15日、秋田県と四国4県が有楽町で合同物産展を開き、各県の特産品を詰め合わせた「なかよしセット」3500円を販売し、仲直りと交流をPRしたとのこと。中身はじゃこ天のほか、きりたんぽや徳島ラーメンなどだったそうで、あっという間に売り切れた由。
佐竹知事は前から放言癖があり物議をかもす場面が時々あったそうですが、最近の熊被害にあたっては銃による駆除を後押し。理不尽なクレーム電話はすぐに切ると言明して、むしろ好感を持って受け入れられました。
じゃこ天発言では変な意地を張らずにすぐ撤回し(お国自慢をけなすのは怖いですぞ)また中村知事の絶妙な助け舟のおかげで災い転じて福とできたことは、大変良かったですね。両県の友情に乾杯ってところです。
私は昨年6月、愛媛宇和島を訪れたときにじゃこ天を食しており、食べた感想も一言だけ当時の本欄に記しております。「これはまあ、見た通りの味ですね」 そう、いわゆるサツマアゲの味で、特別感はなかったな。貧乏くさいとまでは思いませんでしたけど。
こうした食べ物は全国いろんな場所で、それぞれ特産の魚介を原料に作られていますね。できたてのものは、どれも美味しいですよ。じゃこ天は「ほたるじゃこ(別名ハランボ)」という魚で作るそうです。いま検索したら、高級魚ノドグロの仲間だというではありませんか。何となくチリメンジャコが原料だと思い込んでいました。失礼しました。
ガチャガチャ日々雑記
20231114
世の中に右肩上がりで流行しているもの。ガチャガチャこと、カプセルトイの自販機。どこにでもありますよね。つい最近、ご近所に数百台の自販機を揃えた売り場がオープンしました。社員から教わって、日頃は立寄ることのほとんどないガチャ売り場に行ってみました。
ベルシャイン駒ヶ根店2階の一角に「ガチャガチャの森」なるコーナーがあって、まあ確かに森だよな、700台近くのおびただしいガチャガチャが並べられております。
だいたいは300円か400円。よくもこれだけの種類があるものだと感心します。面白いのは、私どもにも日頃から馴染みのある食品メーカーさんの玩具が何十台もあったこと。商品のミニチュアですね。手に取って見たわけではないのでどの位の再現度なのかわかりませんが、これいいなと思うようなものがいくつもありました。
リンク先の記事でも、特に女性たちにリアルなミニチュア食品が好評みたいです。食品サンプルが外国人の土産として大人気ですが、共通するものがありますね。メーカーさん、ノベルティ品としていただけないでしょうかw。
主たる顧客であろう小中高生たちが、どのくらいの金額を使っているのか興味深いです。これだけの種類があれば、お小遣いがいくらあっても足りないでしょう。スマホゲームに課金するよりは親だったら安心できるお金の使い方だと思いますが…。店内には「10000円札両替機」が鎮座していて、何だかオソロシイ。
4年前、岐阜羽島で遭遇したガチャガチャの面白い使い方。新幹線に乗るのにずいぶん探してやっと見つけた無人駐車場。どこにもある自動支払機がなくて、ガチャ自販機が1台置いてある。500円(でしたっけ?)を払ってカプセルを取り出すと、中に1日分の駐車券が入っているのです。これをダッシュボードの上に置いといてね、というわけ。
これは考えましたね。ガチャ自販機の設置費用なんて、駐車券を発行し料金を受払する機械に比べたらタダみたいなものでしょう。1日1回管理人がナンバーをチェックし、日数オーバーした車には何らかの対応をすればいい。たいへん感心しました。他にも賢い使い方があるかもしれません。
スパークリングの栓を抜く 飲みもの、お酒
20231109
ワインの栓を抜く。何だかワクワクする瞬間です。どんな香りか、味か。ラベルから想像はついても、実際のところは抜いてみないとわかりませんからね。
自宅ではもっぱらソムリエナイフを使いますが、スパークリングワインにはソムリエナイフは使えません。特にそれ用の道具はないのです。どなたもやるように、タオルをコルクに巻いてねじるように回して開けます。ここで大事なのは、コルクではなく瓶の方を回すこと。その方が少しの力で回せます。
しかしたま~に、ひどく栓が固く、手が滑るばかりでうまく回せないことがあります。何かうまい方法ないかなあとかねがね思っていましたら、ある店(どこだか忘れてしまったが、スナックみたいな店)で見たことのない簡単そうな器具を使っているのに遭遇しました。
これは面白いと思い、その後通販サイトをのぞいたり、デパートの酒売場に行ったときなど「こんなのありませんか?」と何軒か聞いてみましたが、ないんですね。それどころかワインに精通しているはずの店員さんも、そうした器具の存在を知らないのです。
半年ほど気長に探して、先日ようやく通販サイトで見つけました。「シャンパンキー」という名前で検索すると出てきますが、イタリアのGHIDINIというメーカーのものです。写真のようにレバーをぎゅっと掴んでコルクに歯を食い込ませ(文字通り『歯止め』にして)ひねって開けます。おそらく本来は、大規模な宴会で次々に何十本も抜くときに使うものでしょう。
早速購入して試してみました。以前見たものはもっと簡単なものだったような。写真から想像するよりずっしりと重くゴッツく、まあ確実に抜けます。まだ1本しか抜いてないので、期待したほどスムーズではなかったですが…
勢いよくスパークリングの栓を抜くと「ポン!」と大きな音がします。派手な音を立てるのは実はあまり品が良くないとされ、私も家で抜くときには隙間から少しずつ空気を抜きつつ「パスッ」くらいの音で開栓するのを小さな楽しみにしているのです。初めてシャンパンキーを使ったらとんでもない大きな音がしてギョッとしました。これで静かに抜くのは、もっと何本も抜いて(飲んで)練習しないと。
必聴、少年ピアニスト音楽ばなし
20231105
伊那フィルのコンサートまであと一週間となりました。ご案内です。
今回の目玉は、慶応義塾大学在学中のピアニスト、八木大輔さん(19)がラフマニノフの協奏曲を弾くことです。八木さんは13歳でポッツォーリ国際ピアノコンクールに入賞したのを皮切りに、数々の国際コンクールで史上最年少の優勝や入賞をさらっている俊英です。
昨年5月、伊那でソロコンサートを行い絶賛を受けたことがきっかけで、伊那フィルとの協奏曲共演に至りました。私は残念ながらそのコンサートを聴いていません。だってあの時は、当日が伊那フィルの駒ヶ根公演と重なってしまったんだもの。今回取り上げるラフマニノフの協奏曲第3番。共演にあたり八木さんから提示された候補曲の一つだったのですが、彼にとってこの曲は初挑戦だとのこと。
一般に有名なのは第2番でフィギュアスケートにも定番として使われますが、第3番は音楽的により高い評価を受けている名作です。ピアニストに極めて難しい技巧が求められている超難曲として知られていて、真っ黒な(音符がぎっしり多い)楽譜、鍵盤の上を手が縦横無尽に飛び回る様が圧巻です。
それでありながらラフマニノフ特有のロマンティックな粘っこく甘いメロディーもしっかり聴かせています。例によってw私はこの名曲にこれまであまり馴染んでこなかったのですが、練習が始まって曲に深入りしていくにつれどんどんハマっていき、大好きになりました。
協奏曲をオケだけで練習するのは、メロディー不在ゆえイメージを掴むのがなかなか難しい。先月の顔合わせでこの曲の全貌が私たちにもようやく明らかになって、聴き惚れて自分の出番に出そこなったメンバーが続出しました。気を取り直して本番までにはソロの足を引っ張らないように頑張りましょうね、みんな。
ぜひお出掛け下さい。もう一曲、リムスキー=コルサコフ「シェエラザード」も演奏します。絶妙なオーケストラの響きでアラビアンナイトの世界を描き出す名曲で、どなたにも楽しんでいただけると思います。こちらは打楽器も大活躍しますよ。
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伊那フィルハーモニー交響楽団 第35回定期演奏会
11月12日(日)14:00開演 長野県伊那文化会館大ホール
曲 目
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
リムスキー=コルサコフ 交響組曲「シェエラザード」
横山 奏(指揮) 八木大輔(ピアノ)
入場料 一般1000円、高校生以下無料
関連リンク: 八木大輔オフィシャルサイト
長野県料理コンクールしごと
20231104
長野県調理師会主催の「料理コンクール」という催しが、県下各地持ち回りで開催されています。以前駒ヶ根市で開催されたこともあり、本欄でも取り上げました(2010.10.6)。今年は地元伊那市で開催ということで、あまり時間がなかったのですが見に行きました。
日本料理(前菜、焼き物、煮物焚合せ)、西洋料理、中華、デザートの各部門に分かれ、参加者はあらかじめ作ったものを持ち寄ります。TVの料理番組みたいにその場で作ったできたてを食べて審査するようなことができればさぞ楽しいでしょうが、莫大な費用と手間がかかると思われます。
必然的に審査は「見た目」でせざるを得ないので、味を評価することはありません。やむを得ないですが料理のコンクールとしてはちょっと残念。一皿の中にすべてを盛り込むこと、信州産の食材や調味料を使うこと、そして食材原価を基準以下に収めることも条件になっているようです。
出品された料理を順繰りに見ていきます。入賞した作品には出品者のお名前と店名、審査員の講評が記され、選外になったものは番号のみが表示されます。全県からの参加ですが、当社お得意様の名前もちらほらとありました。
素人の私には、どこがポイントでこの皿が高評価なのか減点されたのかはあまりわかりません。一皿での表現なので、必然的にかなりたくさんの要素が盛り込まれることになります。それがごちゃごちゃと散漫になってしまうのか、スッキリと仕上げらているのか。あるいはお皿の上に集中できる焦点を作ってダイナミックに見せているのか、などが評価されているのだと思います。
時間を区切って、専門の方に解説付き観覧ミニツァーをやってくれたら嬉しいです。一般のお客さんにはきっと喜ばれるのでは。有料でもいいですよ。
私がもっとも良いと思ったのは、中華部門で最高賞「長野県知事賞」に輝いた作品。この夏に伊那市から箕輪町に移転した「ラーメンレストラン ハヤシ」の荒井秀城さんのもの(写真下)。鮎の動きを生きいきと立体的に表現して素晴らしいと思いました。もちろん当社お得意様で、店名の通りラーメンと、なぜかハヤシライスも売りにしている繁盛店です。おめでとうございました。