焼肉のまち、飯田 (2)食べもの
20180523
「徳山」では普通の肉よりもモツ系が人気だという話。戦中戦後ならずとも、内臓肉は苦手、という人は少なくないと思います。私も以前は敬遠していました。しかし肉体験を積むにつれて、きちんと処理された新鮮なモツは大変うまいと思うようになりました。(残念ながらそうでないものに遭遇することも、ままあります。もう最低ですな)
この日食べたモツ類、まったく何の臭みもありません。それぞれ異なる部位の歯ごたえや味わいの特徴が楽しく、次のはどんな味かなと期待する、その上をいってくれます。モツ自体の品質が良く新鮮で、そしてやっぱり処理がきちんとしているのでしょう。
珍しかったのは「ナンコツ」。写真を撮りそびれましたが、見たところは表面つるつる、裏面は腸の内側みたいでいささかグロテスク。しかし意外にも柔らかく、これまで食べたことのない食感が楽しい。どこの軟骨なんでしょうか。
「豚モツ」「牛モツ」はあらかじめ茹でたものが供され、さっと焙って食べるようになっている。この時は豚モツを食べ、癖のない味でそこそこでしたが、牛モツがこの店の名物だとあとで知り、悔しがってもあとの祭り。次回行ったらぜひ頼んでみよう。
最後に仕上げのつもりで食べたカルビ、まるでデザートのような味わいで(甘ったるい味ということではありません)別物でした。3人で満腹になるまで食べ、それなりに飲んで、一人5千円ちょっとでした。帰宅してただちに風呂に入り、この店用にわざわざ着替えて行った服は全部洗濯しました。
こんな名店が街に普通のたたずまいで存在し、わんさかとある高級店も大衆店もそれぞれ賑わっている。その上で家庭(まあ屋内ではやらないのでしょうが)でもさまざまなコミュニティでも、ごく自然に焼肉を楽しんでいる。いま世間では大変な肉食ブームですが、はるか昔からそれを先取りしている飯田の食はなかなかユニークだと思います。後付けで作ったものでなく、歴史にしっかり裏打ちされているのです。