揚げないからあげ食べもの
20180410
油不要、電子レンジで作れる「から揚げ粉」が登場してずいぶん経ちます。さすがに業務用ではほとんど使われていないと思いますが、家庭ではお弁当作りなど忙しい主婦の味方として定着しているようです。我が家の食卓にも、たまに登場します。
先日BSのCOOL JAPANで「揚げ物」の特集をやっておりました。海外では日本のような油をたっぷり使った揚げ物は、そんなに頻繁に食べないようです。フライドチキンやポテトぐらい?
その中で、上記の「揚げないからあげ」の商品開発物語が取り上げられました。登場したのは当社ともお付き合いの深い食品メーカー「昭和産業」さん。(この番組では14年7月に、同社の「天ぷら粉」開発物語も取り上げられ、本欄の記事にしております。番組製作者とルートができているのでしょうかね)
鶏肉から出る水分を上手に処理する技術が難しく、なかなか思うようなものはできません。500以上のさまざまな素材を使って試行錯誤すること2年。苦難の末に「コーングリッツ」を使うことを思いつき、ようやく思うようなものが出来上がりました。
社内では、商品のコンセプトそのものに異議を唱える声も少なくなかったそうです。なぜなら昭和産業は国内有数の食用油のメーカーでもあり、油の消費量を少なくするような商品を販売しては自分の首を絞めるようなものだから。
しかしそれはそれ、これはこれ。ついに完成した「レンジでチンするから揚げ粉」は大ヒットし、その年の食品ヒット大賞で「優秀ヒット賞」を受賞する栄誉に輝きました。のちに他社からも追随する商品が出ましたが、パイオニアとしてこの分野の首位を走っています。
台所が汚れるなどの理由で、家庭で揚げ物を作るのを敬遠する主婦の割合はずいぶん前から増えています。それを背景に、いかにも日本人らしい発想で作られた「揚げないから揚げ」、面白い商品だと思います。一方で、スーパー惣菜売場での揚げ物の重要性は、今後ますます高まるでしょう。
番組で「この品はあなたの国でもウケると思いますか?」と各国の参加者に聞きましたら、ロシアの女性が手を挙げませんでした。理由を聞くと「ロシアでは電子レンジは使わないで、オーブンを使うのよ」とのこと。へえ…まあオーブンの方が、家の中もあったかくなるでしょうし…