トライアングル (2)音楽ばなし
20171109
かようにポピュラーな楽器ですから、オーケストラではもちろん頻繁に使われます。トライアングルの名曲といったら、まずリストの「ピアノ協奏曲第1番」。第3楽章でピアノと掛け合いをするようなパートがあり、この楽器を初めてソロとして使った例だと言われます。初演の時には、使いすぎだとして「トライアングル協奏曲」とまで(皮肉で)言われたくらい。
グリーグ「ペール・ギュント」の中の「アニトラの踊り」は弦楽器とトライアングルだけで演奏されます。弦による静かなダンスをトライアングルがひそやかに彩る、印象深い曲です。
ワーグナーの「マイスタージンガー」前奏曲と、ブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」。どちらも曲が始まってからずっとお休みですが、曲のクライマックスが近くなったところでおもむろに登場します。トライアングルの一打でオーケストラの色がガラッと変わる、この小さな楽器の大きな存在感を見せている用例と思います。
そして何と言ってもスメタナの「モルダウ」。この曲を今回やるのです。楽器はエーベルを使う予定。
2本のフルートで始まる小さな流れがだんだん集まり、いつしか一つの川となって流れ始める冒頭から、深く澄んだトライアングルが響きわたります。楽譜には「エレガントに」「鐘(Glocken)のように」と指示されています。
出番も多く、森の中の狩り・村の婚礼・月光の中で踊る妖精・そして大河となって雄大に流れてゆくモルダウ川のさまざまな場面で性格の違う表現が求められていて、大変やりがいのある曲になっています。演奏するのがとても楽しみです。お聴きになるときはぜひ、この可憐な楽器にも耳を傾けていただきたいなと思います。
☆☆伊那フィルハーモニー交響楽団 第30回定期演奏会☆☆
11月12日(日)午後2時開演 駒ヶ根市文化会館
(ホームグラウンドの伊那文化会館が改修工事のため使えず、今年は駒ヶ根開催です)
スメタナ:交響詩「わが祖国」より モルダウ(トライアングルやります)
ビゼー :「アルルの女」組曲より(出番は僅かですが、大太鼓やります)
ブラームス:交響曲第2番ニ長調(ティンパニやります)
ぜひお越しください!(もうあまり日がありませんが)