ジャズとビンタ (2)日々雑記
20170905
私は…後者の意見に賛同します。ジャズの精神にまったく詳しくはないですが、ステージパフォーマンスをする者のひとりとして、少年のやったことはアウトだと思います。またそこにヒノテルが「体罰を加えた」というのには、違和感を覚えます。
あれは体罰だったのかな?ドラムの大音響は、使い方によって音の暴力ともなります。ドラマーが進行形でステージを妨害しているのを、他にどうやって止めることができたでしょうか。ヒノテルが自分のトランペットでドラムを圧倒してやればいいとか、したり顔で書いている人もいましたが、現実にありえない。
あるいはトランス状態になって自分がわからなくなっていた、少年の目を覚まさせたのかもしれないし、逆に少年が「無理やり止めてくれるのを待っていた」のかもという意見もありました。ふーん、そういうこともあるかな。
少年と親はいずれも「少年が悪かった」としてヒノテルと和解しているそうで、それはそれで結構だと思います。
ジャズとビンタ、といえば、ちょっと前に話題となった映画「セッション」を思い浮かべます。少年も間違いなく観ているでしょう。(ネタバレあり)音大でジャズドラムを専攻する主人公。最上級クラスに抜擢されて張り切っていたのも束の間、そこはスパルタ鬼教師による軍隊並みの規律の場でした。教師の期待に叶わなかった者は即、二軍落ち。
徹底的にしごかれ続けた主人公は音大を辞め、鬼教師もやりすぎの指導が問題視されて学校を去ります。その後再会した時、教師は自分のバンドに主人公を誘います。本番の舞台で始まったのは、主人公の全く知らない初めての曲。できるわけもなく、当然演奏はめちゃくちゃに。教師は彼に恥をかかせようと仕組んだのです。
怒った主人公は、ステージ上で打合せに反してドラムソロを延々と叩き続けます。教師は演奏を止めさせようとしましたが、その迫力に圧倒され、主人公を認めざるを得ませんでした。聴衆は大受け。
映画は大評判になりましたが、私はこの場面は不愉快でした。そこにあるのは「私怨」であり、コンサートを成り立たせる大切な「聴衆への感謝」が全くありません。こんなことはお客の前でやることじゃないんだよ。背景は違えども、ヒノテルのビンタには、そんな思いもあったのではないでしょうかね。