飛ぶ教室読んだり見たり
20161226
クリスマスも無事(?)終了。仕事の方もいよいよ年末進行で忙しくなってきています。
クリスマスを独りで過ごすことを最近「クリぼっち」というそうですな。我が家では子供が今年から二人とも家を離れているため、ぼっちではないにせよ、大人だけのクリスマスとなりました。ツリーを飾ったりするのは何年も前に卒業していますし、まあ「記念日感」はだんだん薄れてきますよね。
さてクリスマスを扱った本は山ほどあるでしょう。私にとってクリスマスといえばケストナーの「飛ぶ教室」。子供の頃からの愛読書です。
舞台はドイツの寄宿学校。年頃の少年たちの友情、信頼、不安、正義、勇気の物語…です。孤児で文章の上手なジョニー、優等生で絵を描くマルチン、小柄で臆病なウリー、腕っぷしの強いマチアス、哲学的で変り者のセバスチャン。彼らを優しく見守るベック先生。世間付き合いを捨てて暮らす禁煙さん。魅力的な登場人物ばかり。男子校の話なので、女性は物語に実質一人しか登場しません。
彼らは難しい書き取りに悩まされたり、理不尽な上級生に反抗したり、隣の実業学校の生徒たちと喧嘩をしたり、クリスマス会に自分たちで創作した芝居を上演したりと、生き生きとした学校/寮生活を送っています。そしてクリスマス休暇に帰省するのを何より楽しみにしています。
ところがある生徒は、貧しい両親から帰省のための旅費を送ってもらうことができませんでした。日頃の言動は気丈で大人びていても、まだ年端もいかない(16歳くらい)少年のこと、家族に会えない寂しさと悲しさで胸が張り裂ける思い、そして両親の悲しみも。彼らにはどんなクリスマスが訪れるのでしょうか?
私は涙腺が弱いものだから、このくだりを読むといつも泣けてしまいます。子供の頃出会えて良かった、と思う本は何冊もある中、これは筆頭格。初めての子供不在のクリスマスは、特段しんみりしたわけでもありませんが、ふと思い出しました。