小麦危機?しごと
20100810
ロシアで、猛暑の異常な高温と干ばつの影響により、小麦をはじめ穀物の作柄に深刻な影響が出ているとの報道がありました。。
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(産経新聞より)ロシア政府は5日、干ばつによる深刻な農業被害を受けて、小麦などの穀物の輸出を今月15日から12月31日まで禁止することを決めた。世界有数の小麦生産国であるロシアの輸出停止で、記録的な高騰が続いていた小麦の国際価格がさらに上昇する情勢となった。小麦の90%近くを輸入に頼る日本にも影響が広がりそうだ。
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新聞記事ではすぐにも影響が出て小麦が急騰するようにもとれますが、ロシア以外の生産国では豊作との話もあり、世界的な小麦の需給にただちに大きな影響…とまではいかないのではないでしょうか。
日本では、輸入小麦は政府が買いつけて製粉会社に売り渡す方式をとっており、価格をある程度安定させる仕組みができています。ロシアの輸出停止が今すぐ小麦粉の値段に跳ね返るわけではないはずですし、今後についてはもう少し動向を見てみたいと思います。
世界の小麦生産国はここ数年でも何度か干ばつの被害にあっており、オーストラリアなどは毎年のように干ばつ、山火事、不作と言われています。現在の世界的な食糧供給は、中国が輸出国から輸入国に転じて以来、微妙なバランスの中でやりくりされてきている印象があります。お金さえ出せば世界中どこからでも食糧が飛んで来るような時代ではない、ことは確かです。
一昨年の穀物相場の急騰(作柄というより投機マネーの流入によるところ大でしたが)は記憶に新しいところ。食品は土地の能力を上回って生産することはできません。人が生きていくための糧ですから、食糧安保も含めて長期的な視野で論じられなければならないでしょう。
また折に触れて書いていきたいと思います。
ところでロシア(ソ連)の小麦不作が世界戦争の引き金となるか…?という小説が昔、ありました。フォーサイス作「悪魔の選択」。学生時代に手に取り、面白くて面白くて寝ないで読みました。東西冷戦が終結した今では、時代設定がまったく過去のものとなってしまいましたが、スケールが大きく、巧妙な語り口に引き込まれました。最後のページまでうなりっ放しでしたが、今も買えるのでしょうか。