ローマにも松がある音楽ばなし
20151125
定期公演指揮者デビュー、終わりました。。
開演から終演まで約2時間10分の演奏会、あっという間でした。アンコールを含めて5曲を演奏しましたが、いずれも私のやりたかったことは全部できたと思います。ソリストに加えてゲストコンサートマスターまで務めていただいた日下さんと(こんな凄い人を、アマチュアの私たちがこれほどこき使って、良かったのでしょうか?!)、私のしつこい練習に文句も言わず付き合ってくれた伊那フィルメンバーのおかげですね。
前回の記事で大きなことを書きましたが、結果はともかく攻めの気持ちだけは忘れずに演奏したつもりです。ソロはもちろん、コンマスとしての日下さんの存在感は、絶大でした。オケの音が変わりました。
この演奏会のメイン曲、レスピーギ作曲「ローマの松」。演奏時間は20分強、さほど長大なものではありませんが、編成がたいへん大きく、地方のアマチュアオケで演奏するのはなかなか大変です。伊那谷では初めてだと思います。
90年ほど前に書かれた曲で、クラシック音楽としては新しい方。ローマの名所にある四か所の松(日本の松とは姿がだいぶ違うようですが)を通して、その歴史と栄枯を描いた傑作です。高校生の頃初めて聴いて感激し、いつかこの曲をやってみたいと思い続けて40年近く。ようやく念願がかないました。
この曲の最後を飾る「アッピア街道の松」は、朝もやの中、遠くから大勢の足音がかすかに聞こえてくる描写から始まります。隊列が徐々に近づき、ラッパの音が響き、曲は次第に音量を増していきます。そして最後には堂々たる大行進となり、古代ローマの栄華を讃え、演奏会場を絢爛たる響きで満たして終わります。
この部分を指揮しながら、ずっとこのままいつまでも曲が続いてくれればいい、と思いました。最高の時間でした。来場された900人以上のお客様、ありがとうございました。楽しんでいただけたなら、何よりです。
ところで8月18日の記事「これ、なんでしょう」でご紹介したのは、三番目の松、「ジャニコロの松」で使った「バードホイッスル」でした。
夜風がそよぎ、月光がほのかにそそぐ松林、どこからかナイチンゲールの声が聞こえてくる…この描写をレスピーギは、音楽に合わせて鳥の声のレコードをかけるよう楽譜に指示しています。今ではむしろ笛などを使うことが多く、私たちもあれこれ試しハイキング用の木製のバードコール、水笛、そして口の中に入れて吹く、紙のバードホイッスルを組み合わせて使いました。なかなか雰囲気は出ていました。