どうなる新国立競技場日々雑記
20150610
「もうめちゃくちゃ」第2弾。国と東京都で負担を押しつけあっている新国立競技場、さて、どうなるのでしょうか。
私は以前からこの話題に興味を持ってネット記事などフォローしておりました。そもそもの出発点は、イラク出身英国在住の女性建築家、ザハ・ハディド女史のすごいデザインがコンペで採用されたことにあります。
「巨大なイカ」と評された奇怪な姿。当初の予想をはるかに超えた巨額の建築費の見積もり。そしてあまりの巨大さゆえに、都民のオアシスである神宮外苑の景観を完全に破壊してしまうとされました。だいたいザハ自身が、コンペに勝ったと聞いて「ホントにこれ作るの?」と言ったとか言わなかったとか。(当初プランの予想図はいろいろなサイトで見ることができますから、ぜひご覧を)
1300億円の予算で作る前提のコンペで、3000億を要するザハ案が選ばれた審査の過程はいまだに公開されず、多くの著名な建築家から猛反対の声が上がり、いくら何でもこの建築費は困るとの意見もあり(当り前)イカの足を撤去してデザインをやり直したのがこの写真です。首と手足を引っ込めた「ガメラ」ですか、今度は。
競技会には必須のサブトラックを置くスペースもない。年数回のコンサートやイベントの雨天対応のために会場全体を可動式の屋根で覆う、そのために巨額の建築費と維持費が…となると、本来は何のための建物なのか、という疑問が出るのも当然でしょう。
だいたいこれまでの国立競技場では何故いけないの、耐震補強をして仮設の客席で収容人数を増やせばいいじゃん、という声は無視され、旧競技場はすでに解体されてしまいました。
建築費用については先月、本体整備1388億円、周辺整備237億円、合わせて総工費1625億円とする基本設計が承認されています。これでも既に325億円の予算オーバー。しかしこれは2013年7月時点の単価による概算で、しかも消費税率は5%で計算されており、資材や人件費の高騰を考えると、とてもこの金額ではできないだろうと言われます。
ちなみにロンドン五輪メインスタジアムの建設費は800億円、北京五輪の「鳥の巣」は500億円だったそうな。(wikiによる)その他に年間維持費が35~45億円とか。横浜やさいたまスタジアムの6~8倍。これだけ複雑な建造物ですから、何十年後かの将来、予想される大規模改修費は975億円だと。めまいがしそうな巨費です。
「国立競技場」の建設費を東京都が出すのは確かに筋が違いますが、実際に競技場のメリットを一番大きく享受するのは東京都民でしょう。ですが考えていなかった余計な費用を出すことになる都側の困惑もわかります。
今からでも、身の丈に合った計画を作り直すわけにはいかんのですかね。お金の面でも、機能の面でも。当局のメンツもあるでしょうが、ザハ案に固執しなければならないのか。新競技場で行われるラグビーワールドカップは2019年9月、あと4年余りに迫ってきています。