真空地帯しごと
20150525
今年のお花見、観光バスの台数が少なかったのは、どうやら雨のせいばかりでもなかったようです。日経長野版の記事にありました。
3年前に関越道で起きたツアーバスの事故を受けて(原因は運転手の居眠り、バスが真っ二つ、死者7名負傷者39名、ほんとうに悲惨な事故でしたね)国土交通省がバス事業のあり方を見直したのがきっかけです。ワンマン運行の上限距離はそれまで一日670㌔だったのが、500㌔(昼間)に短縮されました。
670と500、この間の距離を走るツアーバスでは当然のことながら、それまで運転手一人で開催できたツアーが二人必要となるわけですから、料金が跳ね上がります。これまで移行措置がありましたが、今春から本格的な施行となりました。
新宿駅から駒ヶ根インターまでは約230㌔。ちょいと周辺を走ればもう、往復500㌔をオーバーしてしまいます。つまり、今回の措置の直撃を受けたのが、当地を含めた伊那谷一帯だったわけです。地元温泉協同組合の話では「日帰りバスツアーはだいたい半減、宿泊客も二割減」だったということです。
ちなみに西方面は滋賀県栗東市あたりが244㌔で、限界です。大阪も京都もエリア外となってしまいます。まさしく「真空地帯」、観光を大きな柱にしている当地にとって、まったく由々しき事態です。
乗客の安全のための今回の措置には文句のつけようはなく、やむを得ないことだと思います。その上で、立地というどうにも変えようがない条件下で、私たちに何ができるかを考えるべきでしょう。
日経ではよく取材したようで、各地団体の対処方法についていろいろと書かれています。県ではバスに補助金を出す仕組みを考え、鉄道(特急あずさ)から乗り継ぎできるバスの充実を図っている自治体もいくつもあるようです。
首都圏からの距離のハンデは、関係者個々の努力ではどうしようもないことです。行政には何とか、立地ハンデを克服できるような支援を行ってほしいですし、地元も少々の料金アップを跳ね返すだけの魅力的なプランを考えていかねばなりません。まあ、こんなことはずっと以前から言われてきたことですが、いよいよお尻に火が付いたわけですから、本気になって知恵を絞っていきたいものです。
「おいしいもので人を呼ぶ」ことだって、言うまでもなく今では大事な要素ですから、せめてこの方面で何かお役に立てないか、と思っています。