背に腹は代えられずしごと
20141022
いま国内産バターの生産不足が伝えられているのは、ご存知だろうと思います。グランドフェアで代替品のご提案コーナーを設け、少なからぬ反響がありました。
バターの原料となる生乳の生産が足りません。そもそも酪農家が凄まじい勢いで減少していることが背景です。統計によると10年前28,800戸だった国内の酪農家は、今年2月では18,600戸となっています。後継者不在による廃業や飼料の高騰による経営難、近年の猛暑による牧草の減少、などの原因があると言われます。
乳牛から搾られた生乳は用途によって振り分けられていきますが、賞味期限の短い飲用牛乳(いわゆるパックに入った牛乳)に最優先で振り向けられ、次いで生クリームなど、保存可能なバターや脱脂粉乳はどうしても後回しになってしまいます。これはもう構造的な問題となっていて、バターの需給状況が改善することはたいへん難しいのです。
そんなに足りないのだったら海外から輸入すればいいじゃないかと誰しも思いますが、国内酪農家保護のため、バターの輸入関税は途方もなく高く設定されています。保護されている酪農家が何でこんなに減少しているのか、何たる矛盾でしょうか!
当社でも潤沢にバターを仕入れることができず、お客様にご迷惑をおかけしています。バターが足りなくては、お菓子屋さんパン屋さんは本当に困ります。何とかバターに近い性質をもつ製品ができないか、油脂メーカーさんでは全力で知恵を絞っています。
マーガリンなどの加工油脂にバターを一定の割合で配合するなどし、ユーザーさんがバターの一部を置換えられるようにしたものなど、いくつかの製品ができています。「マーガリンがバターの代りになんかなるものか!」というお菓子屋さんにも納得いただくように、品質向上に取り組んだ結果、これなら使える、というものができているのです。
バター本来の風味や色合いを活かし、口どけや保形性にも気を配った商品が用途別に各種用意されています。こうした品がバターの代りを100%務めることはできませんが、恒常的な品薄の中で「納得して使える場面」での出番は少しずつ増えているようです。背に腹は代えられません。試してみていただきたいと思います。