「おいしいことなど徒然と」

社長ブログ

国境の風音楽ばなし

20130701



この歌は、北朝鮮による拉致被害者やその家族に思いを寄せた歌です。荒木とよひさ作詞、南こうせつ作曲。


昨日伊那市で「ふるさとの風コンサート」と題した演奏会に出演し、指揮しました。拉致被害者家族連絡会の事務局長、増元照明さんの講演を挟んで15団体が次々とステージに立ちました。伊那フィルは地元の男声合唱団と合同で唱歌のメドレーを、そしてコンサートの最後には会場全員の合唱と共に、この「国境の風」を演奏しました。


増元さんのことは様々なメディアを通じて皆さんよくご存知だと思います。実姉のるみ子さんは1978年に拉致されました。るみ子さんは当時24歳でした。


肉親がある日突然消えてしまった喪失感、その実態が北朝鮮工作員による拉致の可能性濃厚だと知った時の衝撃、被害者家族の訴えを門前払いし黙殺し続けた警察、政治、メディアへの怒りと絶望感。2002年、時の小泉首相訪朝時に金正日が拉致を認め謝罪し、日本国内の空気は一変しましたが、それ以後5人の拉致被害者が帰国できたものの、他の人たちについては依然として消息不明のままです。


そんな状況で何年も何年も、あきらめず、粘り強く、被害者救出活動の先頭に立って活動してきた増元さんが、講演のあと、「国境の風」をステージで合唱団と一緒に歌うことになりました。


指揮者の私、前にはオーケストラ、その奥に増元さんと男声合唱団。背後には客席を埋めた当日の出演者たちとお客さんたち。


曲を始めます。流れるような、しかし力強いメロディー。後ろから聴こえてくる歌声の、予想を大きく超えてあふれる響きに少し驚きながら、顔を上げて正面の増元さんに目をやると…


増元さんが、顔を真っ赤にして、ぼろぼろと涙を流して、泣きながら歌っているのです。それを見た私は、いま演奏しているこの歌で、この人の思いに全力で応えたい!という気持ちで胸がいっぱいになりました。会場のみんなの共感を増元さんに、家族の方に、国境を越えたどこかで必ず生きている被害者の方々に届けるんだ、と。


演奏中増元さんを見ることのできないオケの人たちにも、何かが伝わったのだと思います。指揮台の上では常に頭を離れることのないテンポやタイミングやバランスを忘れ、熱さと思いだけで指揮をしたのは初めてです。指揮者として決して褒められたことではありませんけど。


これもひとつの、歌の力でしょうか。


拉致被害者の方々が一日も早く、ご家族のもとへ帰ってくることを願います。

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