「おいしいことなど徒然と」

社長ブログ

エル・グレコ読んだり見たり

20130128



出張のついでに東京で話題の美術展を観てきました。圧倒されました。


エル・グレコ。スペインで活躍したギリシャ人画家の名作を、幸いに私はこれまでいくつも観る機会に恵まれました。画家が愛した古都トレドの教会にある「オルガス伯爵の埋葬」「聖衣剥奪」や、プラド美術館を飾る大作の数々、「聖三位一体」「受胎告知」「羊飼いの礼拝」などなど。


グレコの非常に特徴ある画風は、見る人に強烈な印象を与えます。極端に上下に引き伸ばされた人物のプロポーション。黒や濃い青をベースにした重苦しい背景。登場する人物は対照的に、赤や緑、黄色の鮮やかな衣服をまといます。衣服のひだを描く光と陰影のコントラストの強調。天使たちからにょっきりと伸びるたくましい脚。…


今回展示されている作品は50点。そのほとんどが人物画で、さらにその多くは宗教画です。それぞれのちょっと見ると無表情ともとれる、感情をつかみにくいような不思議な顔つき(何考えてるの)が印象的です。しかしその目、眼光が表情に微妙な揺らぎを与えています。それにしても、悩ましく斜め上を見上げるポーズの多いこと。


特徴ある色使い、中でもわずかに紫がかった赤が目を引きます。ワインでいうとルビー色、葡萄品種ではピノ・ノワールの色ですね。グレコはこの色が大変好きだったと見えて、会場にある多くの画がこの色を使っています。また聖人の衣装に使われる黄色い刺繍の質感もすごい。


今回のグレコ展の最大の見所ともいえる「無原罪の御宿り」は最後に登場します。高さ347幅174㌢の大作です。人物はほとんど等身大サイズです。この画に限りませんが、教会の祭壇に掲げられることを想定し、見る人の視線を計算して彼の数々の画は上下に引き伸ばされているのだといわれます。


雲とも光ともつかない妖しい輝きが画全体を覆う中、マリアを中心に何人もの天使たちが見せる身体をくねらせ浮遊するポーズが魅力的です。そして天使の翼の躍動感、ピノノワールと黄色の鮮やかさ。有無を言わせぬ説得力と異様な迫力に満ちた、ずっしりと重い素晴しい画でありました。


4月7日まで、上野の東京都美術館にて。

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