しばしのお別れ食べもの
20120630
ちょっと忙しくて、更新間隔が空きがちになっております、すみません。
皆様ご承知の通り、牛のレバ刺しが、今日6月30日を最後に提供できなくなりました。O-157への感染を完全に排除できないというのが理由です。レバーの表面は除菌できても、内部にあるものは取り除けない、といいます。
以前ユッケをめぐる騒動の記事を書いたときに、私が予想した通りになってしまいました。たった1企業の馬鹿者がしでかしたとんでもない中毒事件のために、日本中の誠実な焼肉店さんと生肉ファンたちが被った迷惑たるや、計り知れません。
繰り返しますが、人は本来、自分の欲するものを食べたいように食べる権利があります。よほどの理由がなくては、それを規制することは望ましくない。ユッケやレバ刺しには相応のリスクがありますが、過去の食中毒の統計などを見てもその他の食品と比べてこれらのリスクが飛びぬけて高いとは思いません。
とりあえず禁止してさえおけば問題は起きない(行政が文句を言われることもない)くらいの考えで敷かれた規制が、世の中を一歩一歩、確実に窮屈にしていきます。
しかしこういうのは、ゼロリスク信奉がはびこる世の中での、一つの帰結なのかもしれませんね。自分が食べるものには、0.000001%のリスクも認めたくないという身勝手な考え方。我々の口に入るものは何であろうと、すべて自然の恵みを分けていただいているのであって、人間のために地球上にわざわざ用意されたものではない、ということに気づいてほしいと思います。
素人によく分らないのは、肝臓内部のO-157って、どの位の頻度で出現するのでしょう。どんな牛のレバーでも同じように生食しているわけではないと思うんですが…飼育される牛の生育条件とか、そういうのは関係ないんですかね。放射線の照射によってレバー内部の細菌を殺すことも研究されているようです。
私がレバ刺し好きなので恨み言を言っているわけではありません。むしろ苦手としている食べ物で、過去たまたま口にして美味しかった経験は何度かありますが、その後も自らオーダーすることはなく今日まで来ています。
TVで「街の声」を聞くと、自分は食べないしどうでもいいんじゃないですか、という人が必ずいます。だけどそうじゃない。自分には関係ないからいいや、と思う方、次の俎上に上るのは生牡蠣、鶏刺し、生卵、野生の茸、お餅(?!)かもしれませんよ。そのときになって慌てても、あなたの味方をしてくれる人はいるでしょうか。
今回の規制には業界団体の反対はもちろん、各紙の社説などでも多くの反対意見が出されています。消費者のご機嫌取り的スタンスに立つことの多いマスコミには珍しいことです。今後そう遠くないうちに生レバーの提供が復活することを心から願いながら、しばしのお別れを迎えたいと思います。
関連リンク: レバ刺し禁止 食の文化も忘れずに (東京新聞社説)