マーラーに挑戦音楽ばなし
20111121
週末、伊那フィルの定期公演。。
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伊那フィルハーモニー交響楽団 第24回定期演奏会
11月20日(日) 長野県伊那文化会館
指揮 征矢健之介
シューベルト:「ロザムンデ」序曲
マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」(花の章つき)
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この演奏会では、マーラーの大曲「巨人」にチャレンジしました。全部で5楽章、演奏時間約1時間、演奏者95人(今回実績)を要する大掛かりなものです。
もちろん伊那フィルでこれほど規模の大きな曲を演奏するのは初めてで、足掛け1年に亘って練習を重ねてきました。
マーラーの交響曲はいずれも規模が大きいことで知られています。私も東京在住時代には、これまでに何度か(第2、第3、第5、第9番)演奏する機会があり、そのたびに彼の複雑な楽譜とそこから生まれる美しく激しい音楽を楽しんできました。
第1番「巨人」はその中では(まだ)規模のそう大きくない部類に入ります。今では、アマチュアオーケストラにとってもそう珍しいレパートリーではありません。が、伊那フィルのような小さな楽団にとっては、技術的な難しさに加え、様々な特殊楽器や費用の問題もあり、おいそれとは取り組めない大曲です。
どこが難しいかを一口に言うのは難しい…ですが、技術面では表現の幅がとても大きく極端で、各楽器の機能を強弱、音域、音色すべてにわたって最大限に要求していること。そして「メロディーがあって伴奏がある」というシンプルなつくりではなく、さまざまな楽器が同時にまったく違ったことを演奏しながら、全体としてひとつの表現を作り上げていくところにも大きな特徴があります。隣の人と正反対のことを要求される場面もしばしば。
私たちは配られた楽譜を見ながら四苦八苦します。正直、夏頃は「本当に間に合うの?」と思いました。まず自分の音符をきちんと音にするだけでも大変です。そして上の理由から、お互いに合わせることの難しさ。複雑な構成の中で自分のやっていることが、周囲とどうかみ合っているのか理解しなくてはなりません。
本番前の週になっても全然サマにならず、一体どうなることかと…それが前日のリハーサルになってみるみる音が変わり始め(エキストラ=助っ人たちのお力は勿論大きいわけですが)、当日の演奏は自分たちの力量を超えたかのような出来栄えになりました。
お客様も(人数が最近の演奏会ではちょいと少なく、残念)ずいぶん楽しんでいただけたのでは?演奏前に「聴きどころ」を実演レクチャーしたのも、日頃マーラーに馴染みの少ないお客様にきっと助けとなったのだろうと思います。
我が家の二人の中高生たちも特訓の末に打楽器でステージに乗せてもらい、それぞれ得るものがあったようです。伊那でマーラーを演奏する日がいつか来ることを待ち望んでいましたが、それが意外と早く到来し、そしていい結果を残すことができ、大変嬉しい一日でした。
関連リンク: いなまい・ドットコム記事