音楽にできること (1)音楽ばなし
20110419
こんなときこそ、人々の心を癒し、元気づけてくれるものであってほしい。。
震災直後は、首都圏で多くのコンサートが中止となりました。余震の影響、停電、交通状況などが考慮され、また「こんな状況で音楽か?」という声ももちろんあったと思います。やむを得ないことでしょう。
中には3月11日の夜に、予定通りコンサートを行ったオーケストラもありました。電車が止まってしまい、予めチケットを購入していた人でもほとんどの人は足を運べなかったようですが、何とか来場してくれた数十人の聴衆を前にして演奏をしたそうです。(来られなかった人には払戻し)
本番前ですから楽員はホールに全員揃っていましたし、演奏会中止の告知をする時間もなく、また楽員も家へ帰ろうにも帰れなかった状況で、とにかくできることをやろう、という判断でしょう。正しかったと思います。
何日かたち、徐々にコンサートは再開され始めました。しかし、福島原発の問題が世界各国で避難勧告などの形で表面化するのにしたがって、来日予定だったアーティストたちのキャンセルが相次ぐようになりました。現に日本に住む私たちには納得いかない部分もありますが、逆の立場だったらと考えると一概に彼らを責めることもできません。
震災当時に来日していたイタリアのフィレンツェ歌劇場も、フィレンツェ市長から帰国命令が出され、公演の全日程を終了しないまま帰国することになりました。
一連の公演を指揮していた大指揮者ズービン・メータは、このことを大変残念がりました。この素晴しい国の人々を何とか音楽で励ましたい、と単身で再び来日し、復興に向けた被災者支援のチャリティーコンサートが開催されることになったのです。
メータはこれまで米ロサンゼルス地震や湾岸戦争など、危機的な状況下でも指揮台に立ってきた巨匠です。4月10日のチャリティーコンサートではNHK交響楽団と共にベートーヴェンの「第九」が演奏され、その一部が17日にTVで放映されました。
関連リンク: メータのメッセージ