ストリートピアノ騒動音楽ばなし
20250328
大阪で「ストリートピアノ」の設置者が利用者に注意喚起を呼びかけたTwitterの書き込みが炎上し、結局ピアノ自体を撤去することになってしまったそうです。。
--------------------------------------
(設置者の書き込み全文)ストリートピアノ演奏者の方へ
【お願いです】練習は家でしてください。
この南港ストリートピアノはフードコートの中にあります。つっかえてばかりの演奏に多くのクレームが入っており、このままだとこのピアノを撤収せざるを得ない状況です。
練習は家でしてください。練習を重ねてつっかえずに弾けるようになってから、ここで発表して頂けたら幸いです。誰かに届いてこそ「音楽」です。手前よがりな演奏は「苦音」です。
--------------------------------------
ストリートピアノは生活に潤いを与えてくれるものだと、私も好ましく思っています。この件ではたくさんの人が様々な書き込みをしていて興味深いのですが、誤解をされている人も多いようです。
このピアノはフードコートの中に置かれていたとのこと。そこで飲食する人は嫌でもピアノの音を耳にすることになり、聴く聴かないを自分では選べません。「つっかえてばかりの演奏」を聴きながら食事をしたくない人は当然いるでしょうし、その人たちの気持ちは尊重されるべきです。これは「ストリートピアノ」とは性格が違うでしょう。
興味を持った人が自分の意思でふと足を止めて聴くことができるのが本来のストリートピアノではないかと思います(ピアノの周囲に住む人は別ですが)。設置者にその区別ができていなかったのがトラブルを生んだと言えましょう。
演奏の上手いヘタはあっても、上手くなければ弾いてはいけないわけではありません。誰もが気軽にピアノにアプローチできることがストリートピアノの良さ、楽しさです。
ただ思うのは、置かれたのが公共の場だということ。「弾く人」と同時に「聴く人」がいるのです。弾く人には、自分が鳴らしている音を聴いている人の存在を意識していただきたい。間違えてはいけないなんて全く思いませんが、「練習」のつもりでストリートピアノに向かうのはちょっと違うんじゃないかな。たとえヘタでも、自分の演奏を聴いてみてねという姿勢があれば、つっかえつっかえでも聴く人は快く思ってくれるのではないでしょうか。
弾く人聴く人がお互いを尊重する気持ちになってこそ、ストリートピアノは真価を発揮します。ピアノに限らず街頭での演奏に接する機会がまだまだ少ない日本では、そのような文化の醸成(大きく出たね)には時間がかかるのかもしれません。でもまだ始まったばかり、今回のような軋轢を経ながら、一歩一歩進んでいけばなあと思います。