「おいしいことなど徒然と」

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左手のパティシエ日々雑記

20221205

かつて東京八王子に「ア・ポワン」という有名な洋菓子店がありました。料理雑誌や専門誌にたびたび紹介され、私も東京出張のついでに何度か寄ったりして、すこぶる美味しいケーキや焼菓子を楽しんだものです。


この店はメレンゲ菓子を得意としており、中でもマカロンは入手困難な名品として有名でした。バレンタインデーやひな祭りなど、年に5回しか販売されないのです。地方にいた私にはハードルが高かったのですが、販売日のホワイトデーと同時期に幕張で開催されるフーデックス(国際食品展)に行くときは、必ず八王子で途中下車して買い求めました。サクサクほろほろとした食感が素晴らしく、また柿の種+チョコ、ゴマ+レモンなどの組み合わせも珍しかった。


雑誌記事によれば、ア・ポワンのご主人岡田吉之さんはマカロンに特別な思いがあり、約2日間昼も夜も窯につきっきりでマカロンを焼くとありました。新しいお菓子を発売するときは、一個まるまる食べてみなくては味はわからないとして、口内炎ができ胃がただれるまでクイニーアマンを納得いくまで試食し続けたとか。


仕事がもう楽しくて楽しくて、毎日2時間しか寝ずに30年。51歳で脳出血で倒れます。利き手の右半身が麻痺し、もちろんお菓子作りもできず、2012年に閉店することになってしまいます。このあたりまでは私も何となく噂で聞いていて、悲しく残念に思っていました。


先日TVを点けたら「きょうの料理」にその岡田さんが登場していてびっくり!「左手でつくる料理日記」というタイトルで、パンプリン、母の思い出のラーメン、アップサイドダウンケーキなどを左手だけで苦労しながらも目を輝かせながら作っていました。


岡田さんはインスタグラムで、作った料理やお菓子を毎日公開していて、その中で「きれいな形をつくることに菓子人生をかけてたけれど 今はそんなことどうでもいいな~」というコメントを載せています。病と絶望から立ち直り、すっかり肩の力を抜いて料理や菓子作りを楽しんでいる岡田さんの自然な姿を見て、とても嬉しい気持ちになりました。


今はご自宅を改造してプリンなどを販売するお店を計画しているそうです。以前のように根を詰めた仕事ではなく、自分のできることを楽しく自分のペースでやって周りの人を喜ばせたいのでしょう。私もぜひもう一度、ア・ポワンのプリンを食べたいです。

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