御柱 上社里曳き(2)日々雑記
20220508
これはやはり、メドデコを左右に振って1本ずつ通してゆくのです。鳥居周辺にはメドデコを振るための命綱を引くスペースは少なく、また鳥居が坂を上った最も高い場所にあるため、TVで見るだけでも相当な難所であることはわかります。
少しずつ少しずつ、数十㎝単位で慎重にメドデコを振りながら柱を通してゆきます。てっぺんに乗っている人が鳥居に頭をぶつけては(それどころか、鳥居との間に挟まれたら大けがの危険もある)大変ですからね。手に汗握ります。御柱が無事に鳥居をくぐり抜けていき、拍手が沸き起こります。
さて二日間ですべての御柱がお宮の中に到着し、三日目はいよいよ御柱を立てて据え付ける「建御柱」です。斧係の人たちが柱の上部を円錐形にそぎ落とし、何本ものロープをかけ大勢の乗り手を載せて、人力で巻き取り装置を回して少しずつ柱を立てていきます。クライマックスです。
これまで御柱を曳いてきた大勢の氏子たちが見守る中、盛大に木遣り歌と喇叭が鳴り響き、次々と見事に立ち上がる御柱。湧き上がる拍手と万歳。この三日間、消防喇叭を何百回聞いたでしょうか?何だかあの響きが頭から離れません。
これだけの大作戦、残念ながら事故がつきものです。メドデコが鳥居をくぐるとき、ある柱は通過した後で左右の命綱を引くバランスが崩れ、メドデコが横倒しになってしまいました。上の柱からは何人もの乗り手が落下し、下の柱には下敷きになった人が出て、翌日の新聞によれば怪我人数名、うち重傷者一人、ということでした。
建御柱でも前宮一の柱、途中で柱が大きく横に振れてしまい、TVを見ていてあわや大事故かと思われました。中継画像がすぐに切り替わり、その後どうなったかが報じられないまま私も出かける用事の時間となりました。後で聞くと幸いに怪我人は出ず、仕切り直しは乗り手を載せずに柱を立てたとのこと。
場合によっては大惨事になりかねない事故で、事なきを得て本当に良かった。建御柱では過去に何度も事故が起き、亡くなった人も出ています。
コロナの厳戒下行われた祭典。諏訪の人にとっての御柱祭は(まあ、全員ではないにしても)我々が想像するのと重みが違うでしょう。木落としができなかったぶん、里曳きに力が入ったことと思います。他地区からの見物客を断り参加者も制限された今年の御柱ですが、次回はぜひ本来の形での熱狂を現地で見てみたいものです。まだ来週には下社里曳きもありますぞ。