「おいしいことなど徒然と」

社長ブログ

禅寺での修行日々雑記

20210915



先週BSで放映され録画しておいた「ファンシイダンス」(1989)という映画を観ました。周防正行監督の初めての一般映画で出世作、本木雅弘が本格俳優として主役デビューした映画でもあります。実家のお寺を継ぐために、心ならずも一年間の修行に励む主人公を演じています。他に鈴木保奈美、竹中直人、彦摩呂(当時の彼はすごい美青年、今とは別人にしか見えない)など。


この映画はそれほど話題にならず、TVでもあまり放映されていないので観た方は少ないと思います。次作「シコふんじゃった。」とテイストがよく似ていますが、周防監督は本作で禅僧、次作は学生相撲、名作「shall we ダンス?」は社交ダンスと、あまり日の当たらないマイナーな題材を続けて取り上げています。


大変面白かったのは、舞台となる禅寺修行を私も昔、ちょびっとだけ体験したからです。大学卒業の春休みに親戚の方から強く勧められて、鎌倉の円覚寺で5泊6日の「学生大摂心」という行事に(嫌々)参加しました。映画と共通点がたくさんあり、とても懐かしく思い出しました。


当時の体験を振り返ってみれば、まあ驚いたことだらけ。


・いわゆる「座禅」を組むお堂があり、寝るのも食事するのもすべてこの空間で行われる。生活のためのスペースが他にあるわけではない。

・午前3時起床、夜9時就寝。早朝たたき起こされるのは想像の範囲内だが、寝るのもたたき寝かされる。丸く畳んで棚に収めてある一枚の布団を2つに折って「かしわ餅」のようにして寝る。衣服は期間中、昼も夜も着たきりすずめ。入浴、髭剃り禁止。

・食事は初日に決められた係の人(典座/てんぞ)が最後まで作る。朝はおかゆと梅干たくあん、昼夜は一汁一菜。黙食するのはもちろん、ポリポリと音を立てて食べてはいけない(奥歯ですり潰して食べろと言われました)。食器は大小3枚の椀と皿を使う。食事のあとは配られたお湯を使って食器の中で食器を洗い、洗い終わったらそのお湯も飲んでしまう。

・一日24時間のうち、寝るとき以外に足を伸ばして休む時間帯はほとんどないのです。座を組んでいるか、正座しているか、立って歩いているか、基本的にそれだけ。想像できますか。


6日間もうひたすら眠く、寒く、足は痛い。これは学生のための座禅会ですからまだまだ優しい内容で、本格的な修行は期間も内容も段違いの厳しいものだということです。


「悟り」という言葉はよく使われますが、禅の修行はつまるところ悟りを開くためのものだと理解しています。悟るとはどういうことか。追体験ができないのでわかりませんが、これほどまでに厳しい修行で追い求めるものであれば、そういう超現実的な世界も本当にあるかなとも思えたのが、きつい体験に終始した私のささやかな収穫でした。

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