飯炊き仙人の店 (1)お店紹介
20190507
毎日食べている「ご飯」の味には、日本人は特に敏感だ(うるさい)と言われます。ご飯がおいしければ、おかずはフリカケでも何でも、いくらでも食べられますよね。最近では10万円以上もする高価な炊飯器がよく売れているのです。
大阪のお隣、堺市に飯炊きの名人がいるとの話は、以前から聞いておりました。「銀シャリ屋 げこ亭」という家族経営の大衆食堂。ご主人の村嶋孟氏は毎日12釜、四斗五升の米を研ぎ、炊いてきました。それはそれはおいしいご飯を炊くことで「仙人」とまで呼ばれています。
私が初めてげこ亭のことを知ったのは、97年頃の日経新聞の記事。数十年飯炊き一筋に歩んできた村嶋氏(おかずはもっぱら家族が作り、仙人は手を出さない由)の凄さを書いたレポートでした。そこに書かれた「世の中には、言葉のむなしさを実感するほどのうまさ、というものがある」をぜひとも体験してみたいと思っていました。
しかし堺にはなかなか行く機会がなく、また当時はお店が日祝休み、昼過ぎまでしか営業せず、またGWや夏には長期休業する(今は違います)とあっては、訪問するには大変高いハードルでした。
村嶋氏も80歳を過ぎて後継者問題に直面してきたとき、かねてからこの店のファンだったフジオフードシステム(まいどおおきに食堂)の社長に声をかけ、店の運営を同社に任せることになりました。フジオフードは社員を数か月特訓させて村嶋氏から飯炊きの極意を教わり、店の形態を変えることなく引き継いだのです。
企業として運営されるようになったげこ亭はそのまま多くのファンに愛され続け、今日に至っています。村嶋氏はその後中国商務省に招かれて数年間飯炊きの技術を教えていましたが、また堺に帰り、88歳になった今も時々店に立つとのこと。
そうです、大阪へ行った翌日、私は家族とともに堺を訪れ、げこ亭で朝ごはんを食べたのですよ。どんなお店だったかは、次の記事で。
関連リンク: フジオフードシステム、当時のプレスリリース