ニューイヤーコンサート音楽ばなし
20190120
お正月の音楽会といえば、ウィンナワルツを初めとするニューイヤーコンサート。中でもウィーンフィルによる元日の夜(現地では午前中)の中継は日本でも多くのファンが楽しみにしているものです。毎年そうそうたる指揮者が登場するのもいいですね。
ウィーンフィルの母体たる著名な国立歌劇場の他にも、軽い内容のオペレッタを専門に上演する「フォルクスオーパー」という歌劇場があります。そこのオーケストラは毎年のように正月の日本を訪れ、ニューイヤーコンサートを行っていますが、その招聘に大きな協賛をしているキユーピーさんにチケットをいただいて、長野での公演を聴いてきました。
オペレッタの序曲、ワルツポルカ、そして男女の歌い手やダンサーも加わって盛りだくさんの賑やかなプログラムを繰り広げました(写真参照、アンコールは雷鳴と稲妻、チャルダッシュの女王から二重唱、ラデツキー行進曲)。
ウィンナワルツの独特なリズムは、クラシックの中でもかなり特殊な歌い回しと言っていいと思います。単純な三拍子ではなく、2拍目が早く、3拍目が遅く。私たちが形だけ真似しようと思っても、なかなか様になりません。
これはウィーンっ子に伝わる一種の「伝統芸能」で、こうしたウィーンぶしは、ウィーンフィルよりフォルクスオーパーの方がむしろ得意だとも言われます。艶やかな音色とともに楽しみました。またアリアや二重唱で特にテノールのトーマス・ブロンデル氏が、美声と安定した歌唱を聴かせてなかなか良かったと思います。
そして面白かったのは、日本向けに作られた2曲。一つはキユーピーの代名詞ともいえる「三分クッキング」のテーマ(原曲はイェッセル作曲の「おもちゃの兵隊の行進曲」)を使った変奏曲。キユーピーの創業100周年を記念したとのことで、このオケのオーボエ奏者ベドナリク氏によるもの。
もう一つは、誰もが知っている正月の歌「一月一日」(と~しのは~じめのためし~とて~)をヨハン・シュトラウス風にアレンジしたもの。2曲とも上手に工夫され品良くできていて、興味深かったですね。たとえばハリウッドの作曲家が編曲したらどうなったかな、などと思いながら聴きました。
本当は撮影禁止ですが、アンコールが終わってステージからキラキラのテープが打ち上げられたところを撮ってしまいました。演奏は全部終わってるってことで、どうぞ御容赦を。