「おいしいことなど徒然と」

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福田和也氏のいま(1)読んだり見たり

20230616



福田和也という名を見なくなって何年もたちました。慶大教授で文芸評論家、保守の論客、美食酒飲み遊びの達人、月間100冊を読み300枚書くという男。


私は福田氏の毒舌にあふれたコラム集とか食に関する軽い作品しか読んでおらず、氏の本格的な評論に接したことはないために大きなことは言えません。ですが同窓で年齢が近く以前講演を聴いたこともあり、文章の冴え、偽悪的なイメージなど、注目していた物書きさんの一人です。


福田氏が2000年に出した「作家の値打ち」なるブックガイドは活躍中の現役作家の作品を俎上に上げたもの。有名作家だろうと評価できないものは容赦なくこき下ろし、ご本人はもちろん出版社(飛鳥新社)と作家たちとの関係まで心配になってしまうほどのものでした。私自身の本選びにずいぶん参考にさせてもらいました。


さてこの4月、氏が「保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである」というエッセイ集を久しぶりに上梓しました。眼光こそ鋭いが別人のように痩せこけた表紙写真を見てびっくり!大病して体重が30㌔落ちたそうです。


…中学生から酒を飲み始め、高校大学と夜遊びにふけり、物書きになってからは半端でない量を毎晩飲んでいた。暴食もひどく、フレンチやイタリアンを食べた後にカツカレーを食べるということを平気でやっていた。三十代四十代の頃はそれで良かった、というより一つの循環ができていた。食って飲むことによる高揚とそこから得られるエネルギーで頭を回転させ、原稿を書く。言葉はどんどんやってきた。


長年の不摂生な生活による心身へのダメージは深刻で、最高時には80㌔を超えていた体重は30キロ以上落ちた。ダイエットをしたわけではなく、食えなくなったのだ。認めたくはないが、頭の力も衰えた。脳に血が巡っていないことが自分でもわかる。…


上記は本書冒頭の一部です。氏はあっさり書いていますが、悲痛ではありませんか。自らのアイデンティティを作ってきた生活が壊れ、自分が自分でなくなっていくのを認めなければならないのですから。


その福田和也が、いまの力を振り絞って書いただろう本書を読んでみました。

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重要文化財の秘密読んだり見たり

20230501

話題になっている国立近代美術館の「重要文化財の秘密」展を観てきました。明治以降の重要文化財(絵画、彫刻、工芸)全68点のうち51点を集めたという豪華な展覧会で、知っている名作のホンモノにいくつも接し、大変興味深く楽しい展覧会でした。


重要文化財とは? また国宝とどう違うのでしょう?
文化財保護法という法律があり、有形文化財(建造物、絵画、工芸品、古文書、歴史資料など)というカテゴリにおいて重要なものを「重要文化財」中でも特に価値の高いものを「国宝」としているのだそうです。


絵画部門では現在、国宝として165点、重要文化財として1878点が指定されていて、文化庁の「国指定文化財等データベース」に一覧があります。これを見ると、国宝はすべて江戸時代以前のもので、明治以降の作品はまだ一点も国宝指定されていません。長い歴史の評価が定まったものだけが国宝になっていることがわかります。


今でこそ傑作の呼び声高い作品も、発表された当時はそれまでにない新しい表現を打ち立てた問題作でもありました。どのような評価の変遷を経てそれらが重文指定されたのかという、美術史の秘密に迫るというのがタイトルの趣旨だそうです。


印象に残った作品いくつか。当節は写真撮影OKの太っ腹な展覧会も出てきて何となく嬉しい。今回もそうでした(全作品許可ではないが)。


○高橋由一「鮭」 塩鮭の匂いまでしてきそうなリアルさ。鮭の皮、吊るした荒縄の描写がすごい。

○小林古径「髪」 私が子供の頃の郵便切手に採用され、日本切手史上初のセミヌードだと言われました。美しい肌と髪、乳房の描写、裸の女性と着衣の女性の対比が魅力的です。(この絵は撮影不可だったので、画像はネットの拾い物)

○岸田劉生「麗子微笑」 知らぬ人のいない傑作。まじまじと見つめると、現実にはありえない寸法の麗子がまるで生きているようです。この微笑みはモナリザに匹敵するか?

○岸田劉生「道路と土手と塀」 この画はこれまで知りませんでした。ごつごつした赤土の道、石垣塀、電信柱の影。日頃風景画に心を動かされることの少ない私にも、大変な存在感だと思いました。


5月14日まで、東京国立近代美術館にて。期間中に作品の入れ替えがあるようなので、行かれる方はご確認を。

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タローマン読んだり見たり

20230310



去年の話。NHKで「TAROMAN(タローマン)」という不思議な(というより、変てこな)5分間ドラマを偶然目にしました。だいぶ昔の特撮番組のようで画像は古く、ウルトラマンのパロディーのような巨人、タローマンが妙に体をクネクネさせ、でたらめな行動を繰り広げながら怪獣退治をするのです。


タローマンとは岡本太郎の分身のようで、劇中では数々の彼の名言が引用され、中では各地を巡回開催中の「岡本太郎展」の㏚も。馬鹿馬鹿しいのに何だか面白くて、ついつい見入ってしまいました。その後、不定期に何度も再放送されています。


登場する怪獣たち(奇獣と称する)はいずれも岡本太郎の作品に登場するキャラクターです。タローマンは正義の味方的な存在ではありますが、正義よりも自分の信念を最優先します。時には怪獣など放ったらかしで遊んでみたり、毎回怪獣を倒すのがワンパターンだと気が付くと、自己模倣するくらいなら死んだほうがましだとばかりわざと怪獣にやられてみたり。最終話ではなんと、地球を爆発させてしまいます。


レトロな主題歌がまた良いのです。これも岡本太郎の言葉からとられているのでしょう。

  爆発だ 爆発だ 爆発だ 芸術だ
  べらぼうな夢はあるか でたらめをやってごらん
  自分の中に毒を持て 自分の運命(さだめ)にたてをつけ
  うまくあるな きれいであるな 心地よくあるな
  マイナスに飛び込め タローマン


毎回ドラマが終わってからサカナクション山口一郎氏が登場し、子供の頃に観たタローマンの思い出を語ったり、当時のグッズ(フィギュアとか主題歌ソノシートとか、『タローマンかるた』とか)を持ち出して懐かしがったりします。この辺でどうやらすべてが嘘らしいと気が付きます。


そう、タローマンは昔の特撮ドラマではなく、昔を装って現代に作られた虚構の世界なのです。NHKが岡本太郎展とタイアップして作った企画モノなのですね。騙されていた人、多いんじゃないでしょうか。


この奇妙なドラマ、デタラメでありながらエネルギーにあふれていて痛快です。リンク先のサイトでは放送された動画を観ることができます。私と妻はタローマンのおかげで岡本太郎にすっかりハマり、名古屋で行われている岡本太郎展を観に行くことになりました。ご報告はまた後日。

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バベットの晩餐会(4)読んだり見たり

20230227

シリーズの最後に、バベットが晩餐会に用意した絢爛たる料理と飲み物をご紹介します。。


  海亀のスープ
    アモンティリャード  (シェリー酒)
  キャビアのドミドフ風・ベリニ添え
    ヴーヴ・クリコ 1860 (シャンパン)
  ウズラのパイケース石棺風・黒トリュフのソース
    クロ・ヴージョ 1845 (ブルゴーニュ赤)
  季節の野菜サラダ
  チーズ盛り合わせ
  クグロフ型のサヴァラン ラム酒風味
  フルーツ盛り合わせ
    コーヒー
    フィーヌ・シャンパーニュ(コニャック)



海亀のスープは子供の頃読んだ小説に出てきて、昔から憧れの高級料理でした。残念ながら今日に至るまで食したことはありませんが、スッポンのスープに近いのでしょうか。それにしても一流レストランの料理長は海亀の解体まで自らこなすのか?


合わせるお酒はシェリー酒の一種、アモンティリャード。海亀スープのレシピにも使われることがあります。私はシェリーは単独で飲むことが多くあまり料理と合わせることはありませんでした。この記事を書くために検索したら、マグロの刺身にも合う、なんて書いている人がいます。本当かな?今度やってみましょうか。


キャビア。映画ではねとっとして見るからに美味そうでした。ベリニ(ブリニ)は一種のパンケーキで、キャビアにはつきものです。合わせるシャンパンは定番。良く冷やしたウォトカを合わせるのも定番ですが、両者の贅沢感はだいぶ違います。


ウズラのパイケースはこの映画を代表する料理になりました。贅沢にもウズラを一羽まるまる使い(使った証拠に)ウズラの頭もついています。ローレンス将軍が頭を指でつまんで脳みそをチューチュー吸うのを見て、村のお婆さんは目をまん丸くしています。


映画が話題となったのにあやかり「バベットの晩餐コース」を供したレストランもありました。以前銀座にあった「ホテル西洋」のメインダイニングではこのウズラ料理をグランドメニューに載せていて、当時のレストラン紹介本によると一皿9500円だったそうです。バブルの頃だし、結構注文した人がいたのでは。


ウズラは卵はともかく肉を食べる機会が少ないですが、癖がなく食べやすい家禽です。バベットが持ってきた時は鳥籠に入って生きていましたから、飼育されたものなのでしょうか(ジビエではない)。ここでは淡白な肉にトリュフとフォアグラを加えて濃厚さを演出しているのだと思います。


ブルゴーニュの銘酒クロ・ヴージョはたいへん高級な赤ワインで、お値段も比較的新しいものでも数万円はします。飲んだことありません。映画の設定だと40年以上はたっている年代もの、素晴らしい味だったことでしょう。ぶどうはもちろん、ピノ・ノワール。


デザートのサヴァランは町の洋菓子屋さんでよく見ますし、私も大好きなので見かけるとついつい買ってしまいます。しっかりとお酒を含んだ大人の味ですね。ラム酒たっぷりで、じゅくじゅくしたようなのがいいです。フルーツの盛り合わせだって、デンマークの寒村の人は見たこともないようなものだったでしょう。

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バベットの晩餐会(3)読んだり見たり

20230221



話を佳境に進ませましょう。もう我慢できん、今回はネタバレで。結末にふれています。


バベットの作ろうとしている料理を想像して、信者たちは「魔女の料理を食べさせられて地獄に落ちるのでは」と震え上がります。姉妹は「まさかこんなことになるとは…私たちも予想しませんでした」と謝ります。


晩餐の日を迎えました。きらめく豪華な食器とテーブルセッティング。おそるおそる着席する姉妹と老信者たち。同席するローレンス将軍とその伯母上。バベットは台所で料理に専念し、給仕係として少年をひとり使います。 さあ、最初の料理が出されます…


信者たちは食事を口にしながらも味のことを必死で頭から振り払い、懸命に無関係の会話をしようとします。蚊帳の外で空気を読めない将軍は訝しがりながら「これは素晴らしい、本物のアモンティリャードだ」などと感嘆します。彼の存在は映画を観る私たちに食事の素晴らしさを教えてくれる解説のサービスとなっています。


食事が進むにつれ、身を硬くして「晩餐という名の苦行」に耐えていた信者たちが、次第に気持ちをほぐしてきます。集会の時いつもいがみあっていた二人の男性は、ずっと前に相手を騙していたことを笑顔で白状しあい、かつての不倫が重い心の傷となっていた男女は、長い歳月を経て自分たちの罪が赦されたことを感じて癒されます。


会が終わって彼らはすっかり打ち解け、外に出て手をつないで星空を見ながら歌います。将軍とマーティネは互いに想い合っていたことを打ち明け、これからも相手を忘れずに生きていくことを誓います。料理が人の心を変えたのです。


すべてを終え、疲れ切って放心していたバベットに姉妹が感謝すると、彼女は語り始めました。「フランスへは戻りません。宝くじの1万フランはすべて今日の晩餐のために使ってしまいました…私はパリでカフェ・アングレの料理長でした…この料理は私の『作品』なのです」


姉妹は晩餐にバベットが全財産をはたいたことに驚愕しますが、妹フィリパはアシール・パパンのことを思い出します。芸術家同士、パパンはバベットのことを深く認めていて、姉妹のところへ遣わした。バベットは自らの芸術家としての誇りを賭けて、最高のディナーを作り上げたのでした。そう、料理もまた芸術であったのです。


…いかがですか? おいしいものを食べることは人を幸せにします。しかしバベットの料理はそこにとどまりませんでした。将軍以外の人はその真価を理解することはなかったでしょうが、バベットはそれでも満足でした。全身全霊で渾身の作品を生み出し、芸術家としての自己実現がなされたからです。自分には、自分の成し遂げたことがわかっている。食べれば消えてしまう料理だからこそ、その思いは強かったのかもしれません。


(カフェ・アングレはパリの名門レストラン、トゥール・ダルジャンの前身)

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バベットの晩餐会(2)読んだり見たり

20230216

…食が人に幸せをもたらす楽しさ。

姉妹は貧しい人たちに施しとして食事を提供していました。それはパンとビールを混ぜてこね回したどろどろのポリッジ(お粥)みたいなもので、見るからに食欲をそそらない代物でした。貧者たちも感謝はしていたのでしょうが、あまり嬉しそうではありません。


バベットが姉妹のもとへ来て、日々の仕事を教わる場面。姉妹にお粥の作り方を教わり味を見て「ふむふむ」といった顔で小さくうなずきます。顔をしかめるなんて失礼な仕草はしていませんよ。そののち、やりくり上手なバベットのおかげで施しの内容は向上し、貧者たちも食事を楽しみにするようになります。バベットの留守中に姉妹が以前通りのお粥を提供したら、彼らのがっかりしたこと!


晩餐会でバベットが作り上げた凄い料理について、もちろん書きますが、また次回で。


…長い年月を経た、実らなかったラブロマンスの行方。

姉マーティネに恋をした若い士官ローレンス。家柄も良く将来を嘱望されていたのに博打や放蕩に明け暮れていたローレンスは、田舎で頭を冷やすよう命じられます。彼は姉妹の清貧な生活を見て自らを省み、今の自分は彼女にふさわしくないと身を引き、軍人としての鍛錬に励むようになります。


妹フィリパに恋をした有名歌手アシール・パパン。彼はフィリパの美しい歌声に惚れ込み、歌のレッスンを始めますが、だんだん熱が入りレッスンなのか愛の告白なのか怪しい雰囲気になってきます(レッスン曲がドン・ジョヴァンニですからね)。フィリパも自身の気持ちが揺らいでくることを恐れ、レッスンの継続を断ります。パパンは傷心を抱いて村を去ります。


ローレンスとパパン、そして相手を憎からず思っていた姉妹のほのかな恋はあっさりと終わりますが、この二人の男性は物語に大きな役割を果たすことになります。


将軍となったローレンスは偶然晩餐会の会場に同席することになり、マーティネと数十年ぶりの邂逅を果たします。生涯独身を貫いた二人は、相手の存在が自分の人生に果たした大きな役割を思います。愛はいつしか深い尊敬に姿を変えていたのです。


革命ですべてを失ったバベットを姉妹に紹介したのはパパンでした。彼は有名料理人として売れっ子だったバベットのファンだったのです。村では以前とは大違いの貧しく質素な生活となりましたが、バベットは縁を結んでくれたパパンに感謝して、この環境で自分のベストを尽くし続けます。


以下、次回に。…

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バベットの晩餐会(1)読んだり見たり

20230209

「食」を扱った映画は数多く、私も好んで観ています。お取引先のS商事の方々と食事しているとき、好きな映画の話題になり、これまで観た中で大好きな一本としてこの映画をご紹介しました。いずれ本欄で書こうと前から思っていたのですが、ちょうどいい機会、取り上げてみましょう。


1987年製作のデンマーク映画です。時代はさらにその100年ほど前。貧しい寒村に暮らす老神父と、美しい二人の娘。若い将校や情熱的なオペラ歌手など何人もの男性が娘と交際しようとしますが、厳格な神父は娘を男性から遠ざけ、娘たちは信仰に人生を捧げるべく独身を貫きます。


月日は流れ、姉妹のもとにバベットというフランスの女性が革命で追われ流れ着きます。バベットには身寄りも財産も無く、無給でいいからこの教会で働かせてほしいと懇願し、姉妹は彼女を受け入れます。やりくり上手なバベットのおかげで、教会には少しずつ金銭的余裕が生まれ、それまで工夫もなく粗末だった食事も改善されてゆきます。


姉妹も老境に入って、教会に集まる村の信者たちもだんだん偏屈になり、毎週の集会でも口論が絶えない有様でした。姉妹はまた昔のような仲良い集まりにしたいと思い、老神父の生誕百年を記念したささやかなお祭りを計画します。


そんな時。バベットが故国とのよすがに買い続けていた宝くじが1万フランの大当たりをしました(今のお金でどのくらいになるのでしょうか。500万円くらいか?)。このお金でバベットがフランスに帰国してしまうだろうと落胆していた姉妹に、彼女は提案します。「百年祭の御馳走を、どうか私に作らせて下さい。費用は私が払います」


姉妹は今まで頼み事をしたことのないバベットの願いを聞き入れます。バベットは食材買い出しのため、休暇をもらいパリに出かけます。意気揚々と帰ってきたバベットが手配した食材を見て皆は仰天。村では見たことも聞いたこともない、生きた海亀やウズラ、大きな氷柱、高級ワイン。とんでもないものを食べさせられるのではと村人は震え上がります。…


これ以上書くとネタバレになりますので(既になっているか?)ここには書きませんが、結末まで詳しく知りたい方はリンク先のサイトをご覧ください。次回記事で、私の思うこの映画の魅力を書きましょう。

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チーム・ジンバブエのソムリエたち(2)読んだり見たり

20221222



フランスに降り立ったチーム・ジンバブエは、空港で初対面となるコーチに出迎えられ、早速ワインの名産地を車で巡って大会の直前講習を行います。次々に映されるフランスとドイツのぶどう畑が美しい。ほんのちょっとだけ出てきた「ル・モンラッシェ」の畑、辛口白ワインの世界最高峰といわれる名品ですが、私もぜひワイナリーを訪問してみたいものです。(本当は行かなくたっていいから、飲んでみたいものです)


開催地のブルゴーニュ「シャトー・ド・ジィィ」に意気揚々と乗り込んだジンバブエ。見るからに自信満々の各国チーム。日本チームを探しましたが、あとで調べたらこの年は日本、不参加だったらしい。


大会前夜のパーティーでは、彼らのクラウドファンディングを応援したジャンシス・ロビンソンと同じテーブルを囲みます。彼らの初参加は既に大会の話題となっていました。大はしゃぎの4人ですが、翌日の大会本番では大変な緊張ぶりです。コーチとのコミュニケーションもほころびが目立ちます。果たして4人は実力を発揮し難しいテイスティングを乗り切れるのか?


リンク先の記事に、このときの上位の結果、そして出題されたワイン12種が載っています。(結果のネタバレになってしまうので、知りたくない方はご注意を)


それによれば出題されたワインはスイスのシャスラ(教科書には載っていますが、まだ飲んだことないです)から始まり、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガルなどやはりヨーロッパの名産地のものが多かったようです。珍品としてはメキシコのネッビオーロ(銘酒バローロの原料ぶどう)、レバノンのカベルネ・シラーが出題されましたが、こんなの当てられる人いるのかね。


チーム・ジンバブエの成績をここに書くのは控えますが、大会を終えて日常に戻ってきた彼らの表情が素晴らしい。大会前、生まれ育ったジンバブエの山間地で「いつかきっと、この斜面にブドウを植えてワインを作るんだ」と夢を語っていたチームの一人は、そのための一歩を踏み出そうとしていました。遠くない将来、真空地帯に名ワインが生まれるのかもしれません。

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チーム・ジンバブエのソムリエたち(1)読んだり見たり

20221221





ジンバブエはワインの生産も消費もほとんどゼロで『ワイン真空地帯』といわれる国です。そんなジンバブエ出身のソムリエたちに光を当てたドキュメンタリー映画を、封切り初日に観てきました。


主人公である4人の若者は、ジンバブエの政情不安を避けて隣国の南アフリカに新天地を求めてやってきた貧しい移民たちです。仕事を探す中でたまたまレストランに就職し、そこで初めてワインと出会いました。


徐々にワインの経験を積んで一人前のソムリエとなりつつある彼らに、フランスで行われるテイスティングコンテスト出場の話が舞い込みます。居住地は南アですが出身がジンバブエということで、南ア代表とは別枠でジンバブエ代表として出られることになったのです。世界から24か国が集まる熾烈な大会で、彼らはどこまで食い込めるでしょうか?


参加費や渡航費などあるわけもないのですが、クラウドファンディングで多くの人たちから寄付を集め、その中には著名な英国のワイン評論家、ジャンシス・ロビンソンもいました。日経日曜版のワイン記事にもよく登場する女性です。


映画の設定は雪のないジャマイカのボブスレー選手が冬季オリンピックに出場する「クール・ランニング」を思い出しますが、こちらは予想したよりずっとシリアスな映画でした。ワーウィック・ロス監督は「4人の未経験者がチャレンジし、ある成功を手に入れ、予想もしない結末をむかえる、という点では同じだと思いますが、本作では難民がおかれている状況や、多様性、包括性、決然たる思い、勇気、チャレンジ精神、のテーマにより深く響くものがあると信じています」と語っています。


大会はフランスのワイン誌が主催です。チーム戦で、4人の選手が合議で白赤各6種類のワインのぶどう品種、生産国、AOC、収穫年など当てる戦いです。それにコーチがひとり付きます(たぶん、自らテイスティングすることは許されないが、助言はできる)。ジンバブエが雇ったフランス人コーチ(写真下の白人)がいい味を出していて、暴走しチームの足を引っ張ってしまうこともあるのですが、彼にも人生の悲哀があり、物語のアクセントになっています。


もうちょっと書きます。上映は塩尻東座で12月30日まで。

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RRR読んだり見たり

20221127



東京に住む妹がインドにはまっており、インド映画をしきりに勧めてくれます。これまで観たことがなかったのですが、先日ようやく話題作「RRR」を観てきました。


インドが映画大国であることは知っていますし、その特徴もおおむねわかっています。人物も演出もとにかく「熱くて濃い」こと、登場する人が突然歌い出し踊り出すこと、など。初めて観たインド映画、まさしくその通り、王道をゆく大作でありましたな。


時代は英国統治下。圧政に苦しむインドの民。二人の男が立ち上がる。彼らは熱い友情に結ばれ、しかし立場を異にするゆえ戦わなければならない。彼らの運命はいかに!というお話です。女性も出てきますが、基本的に男の映画です。


二人ともスーパーマンなのです。一人は警察官でインド人民を弾圧する側。出世を夢見て任務にまっしぐら。映画冒頭、イギリス領事?官舎に抗議に押し寄せた数百人の群衆相手に、警棒一本で単身飛び込みボコボコもみくちゃにされながらも投石した男を追い詰め逮捕する。もう一人は田舎に住み、仲間と森の中へ狼狩りに出かけ、狼どころかトラと遭遇してしまい、素手で死闘を繰り広げついにトラを生け捕りにする。


この二人がたまたま列車事故の現場に居合わせ、絶体絶命のピンチだった少年を協力して救い出したことから(あっさり書きましたが、人間業ではない)二人はお互いを認め合い信頼し、固い友情が生まれるのです。身分違いの恋を応援したり、毒蛇に噛まれて瀕死の相手を献身的に助けたり。しかし相手の正体を知ったとき、彼らは戦わなければならなくなります。


このスーパーマンたち、どんなにダメージを負ってもすぐによみがえる。プロレスラーだって10回は死んでいるのではというひどい目に遭わされても、驚異の回復力や薬草の力(笑)で、超人パワーが戻ってしまいます。


そしてお約束の歌と踊り。私はミュージカル好きなので、映画の真っ最中に主人公が突然歌い出し踊り出しても別に違和感は感じません。歌は役者が自分で歌っているのかな?踊りはお見事です。二人の主役たちがインド映画界でどんなポジションなのか全く知りませんが、どの映画でもみんなこの調子で踊ってるんだったら、インドの俳優さんは凄いですねえ。


3時間の長い長い映画はとにかく饒舌で、退屈することもなく大変楽しめました。登場人物の顔つきが似ていて(みんなヒゲ面)人物がわかりにくいのが玉にきず。イギリスの圧政描写は容赦なく、英国人にはさぞかし腹の立つ映画だろうと思いますが、興行成績はわるくないというのが不思議です。あくまで極悪な代官のしでかす仕業であって、イギリスそのものを悪く描いてるんじゃない、と割り切って観ているのでしょうか。


タイトルの「RRR」はどんな意味なのか、多くのサイトで解説されていていろんな意味があるそうですが、しっくりきません。アールアールアール、でなくて「トリプルアール」と読ませたらいかが? 関係ないですが同名のステーキハウスが東京にあって、以前行ったことがあります。3種類の異なる牛を食べさせてくれて、なかなか美味しかったと記憶します。
おっと、インドでは牛肉はご法度でした。

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