宿題ひきうけ株式会社日々雑記
20180831
ここ信州では、ほとんどの学校で先週初め頃からすでに新学期がスタートしています。しかし都会の学校は今日で夏休みが終わり…ということで、宿題や日記、自由研究に大わらわの子供たちが大勢いることでしょう。
嫌な嫌な宿題、お金を払ってでも誰かにやってもらいたい人が大勢いると見えて、宿題代行業なるものが話題になっています。さすがにこのようなものが横行してはまずいだろう、として文科省が対策をとったとか。
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(読売新聞)インターネット上のフリーマーケットやオークションサイトを運営する「メルカリ」「楽天」「ヤフー」は、宿題として学校に提出されることを想定した作品の出品を禁止することを決めた。文部科学省が今月、出品禁止を打診した3社が応じた。文科省は、「大手3社による出品禁止で、宿題の代行はおかしいという考えが広まってほしい」としている。
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私も夏休み帳や課題工作はギリギリにならないと手がつかない方でしたから、気持ちは分かります。当時はいまよりさらに短かった夏休み、お盆明けにすぐ学校が始まるというのは、溜め勉少年には日程的に非常に厳しいものがありました。
個人的に友達の宿題を手伝ってやって恩を売る、みたいなものは昔からあったかもしれませんが、まあこういうものが大手を振ってまかり通っては、教育上問題があるでしょうな。今は小学生もお受験がありますから、受験勉強と直接関係ないものはやっているヒマがないともいわれます。
子供の頃に「宿題ひきうけ株式会社」(古田足日著)という物語をタイトルの面白さにひかれて読みました。小学校5年生の子供たちが宿題代行会社を始めます。セールス担当と解答担当がいて、何十円だか何百円だかの報酬をもらって友達の宿題を引きうけます。
「会社」の存在はすぐに先生にバレ、解散させられます。物語はここから先が長く、学歴社会や格差への批判だとか組合活動への賛美だとかに発展していきます。子供心にも、後半は物語のテイストががらりと変わり、読後感はイマイチでした。労使の対立なんて概念、小学生には難しいよね。
株式会社を作った主人公たちが、何故かしまいには組合を作って(試験・宿題なくそう組合)社会を相手に戦おうとする???。いま書評などを検索してみると、この本は70年安保の挫折前の思想に基づいて書かれているなどと言われています。発表されたのは1966年ですが、96年に改訂版が出版されているそうです。
それにしても宿題ひきうけ株式会社が実際に商売として成り立ち話題になるとは、夢にも思いませんでした。この本、買ってまで再読してみようとは思いませんが、図書館にいけばあるのかな。