重石日々雑記
20180629
この間から辞書の話を書いておりますが、辞書には言葉の意味を調べるほか、便利な使い道が一つあります。それは「重石」になるということ。
我が家でも広辞苑が、この用途で活躍しています。私が指揮をする時に使う楽譜(スコア)が、手を放しても閉じないように「開きぐせ」をつけるのに使います。
厚い本の任意のページを開きっぱなしにするには、専用の機具(ページオープナーというらしい)とか、クリップだの文鎮だのを使えば、容易にできます。しかしスコアの場合は、特定のページに固定するわけにはいかず音楽の進行につれてどんどんページをめくっていかなければなりません。早ければ見開きを10秒足らずで通過します。
右手で指揮をしながら左手でページをめくるのは、面倒臭いことですが、まあ仕方がありません。しかし左手で譜面台に置いたスコアを常に押えているようでは、動作の自由は半減してしまいます。ですからスコアに開きぐせをつけて、ページが戻ってこないようにするのです。普通なら、丁寧に1ページずつしっかり押さえていけば大丈夫なのですが、製本の具合でしょうか、たまになかなか開きぐせがつかないものがあります。
そこで活躍するのが広辞苑。本を開いて伏せて、何時間か上に載せるだけ。4、5か所やっておけば、普通ならバッチリです。
ところが、来週から伊那フィルで練習を始める某曲のスコアが、何度やってもいい癖がつかないのです。一度やればそのページは開きっぱなしになりますが、今度は他のページがそこでできた癖に引っ張られて閉じてしまう、その繰り返し。自分でも信じられないのですが、この重石作業、もう一ヶ月もやっているのですよ。全然駄目だ。
オイレンブルグという出版社の楽譜です。この出版社のスコアには、以前も少々手を焼いたことがありましたが、そのことを失念してうっかり購入してしまいました。一方できちんと配慮してくれる出版社もあります。先日のドイツ・レクイエムで使ったカールスというスコアは、分厚いにもかかわらず買った直後でもすべてのページがぴたりと止まり、こんなことは初めてだったので大変感激しました。それ向きに特別な製本がされているのは間違いありません。
もう練習始まってしまいますが、困ったね。