佐野成宏リサイタル音楽ばなし
20100917
昨日は駒ヶ根が生んだ世界のテナー、里帰り公演でした。。
佐野成宏テノール・リサイタル
ラッファエレ・コルテージ(ピアノ)
駒ヶ根市文化会館
会場はほとんど満員。いつもながら、年配の方が多いです。
前半に武満徹の歌曲を8曲。後半にはトスティの4曲など、イタリア歌曲とアリア合計7曲を歌いました。
相変わらずの輝かしい声、安定した歌いぶり。武満の歌は私も何曲かは知っていましたが、こうしてまとめて聴いてみると、憧れに満ちたもの、コミカルなもの、深い悲しみと憤り、バラエティ豊富ですね!表情豊かに歌い分けていたと思います。名曲「死んだ男の残したものは」では、ぞくっとするような凄みに、会場も引き込まれていました。
日本人のオペラ歌手が日本語の歌をうたっているのに、歌詞がまるでわからない、ってことが時たまあります。本来ありえないことですよね…
佐野さんはもちろんそんなことはなく、言葉が丁寧に扱われているのがよくわかります。
イタリア歌曲は、もう十八番ですから、言うことはありませんね。堪能しました。
初めて聴いたとき(十年以上前)の驚くような声量は、この夜はありませんでした。表現上そこまでは必要なかったということなのか、どうなのかな。
残念だったのは、客席です。終始ざわざわ、ガサゴソ、ギシギシ。美しい沈黙あってこその生演奏なんだがなあ。さらに驚いたのは、後半、会場でコオロギ?!が鳴きだしたことです。これには、まいりました。
武満の8曲に、1曲1曲拍手をするのは、やはりどうかと思います。演奏者は思いを込めて8曲を並べているはずで、そこには緩急、流れ、コントラスト、というものがあります。1曲1曲に拍手があっては、その組み立てが台無し、とまでは申しませんが、かなり興をそがれてしまいました。トスティの4曲でもそうでした。
演奏者を見ていれば、拍手をしないでほしい場所では、拍手があってもそれに応えていないのですから、客席もわかってほしいなあ…せっかく地元から生まれたスターです。彼の素晴しさを、さらに良い雰囲気で聴き、感じ取りたいと思います。
主催された後援会の皆様、お疲れさまでした。