ジャズとビンタ (1)日々雑記
20170903
これは体罰か、適切な指導か。ネットの論調を真っ二つにする話題になっております。
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(時事通信)ジャズトランペット奏者の日野皓正氏(74)が東京都世田谷区で8月20日に開かれた中学生によるコンサート中、男子生徒の髪をつかみ引っ張るなどしていたことが31日、区教育委員会への取材で分かった。(中略)区教委によると、男子生徒がドラムソロの演奏をなかなかやめなかったため、日野氏が舞台に上がりスティックを取り上げた。それでも演奏を続けようとしたことから、髪をつかんで振り回した。
区教委は「行き過ぎた指導だった」と指摘。男子生徒は「反省している」と話しているという。 日野氏らプロ演奏家が区立中学の生徒を指導するプログラムで、今年で13回目。今回は約40人が参加し、コンサートに出演した。
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現場にいた人によると…コンサートは4か月にわたって行われた講座の集大成になる発表会で、参加者皆が順番にソロを披露する場であった。ドラムも何人かが何小節かを交代で叩くことになっていたが、当の生徒は他のドラマーの出番を無視して3分も5分も独りで叩き続けた。
ヒノテルも最初は笑ってみていたものの、いつまでたっても止めないため歩み寄ってスティックを取り上げた。ここまでは会場の雰囲気も良かったが、少年がさらに素手でドラムを叩きはじめたため、髪をつかみ両頬を打ったとのこと。バッシーンと張ったのか、パシパシと目を覚まさせるように頬を打ったのかは、ニュアンスが相当違いますね。
この少年ドラマーは大した奴だという人が多いです。そこにはジャズの本質はかくあるべしだという思想があるようです。即興(アドリブ)と自己主張、即ち固定観念の打破がジャズの命であり、少年の行動はまさにそれを体現したもので、まったく正しい。それを暴力で押さえつけたヒノテルはジャズマンではない、と。
それに対し、ジャズの自由はあくまで約束事の中でのことであり、逸脱するならきちんと回復できるものでなければ、自由のはき違えである。一緒に練習してきた仲間とのステージを個人の勝手で滅茶苦茶にすることは許されない。放っておけば何分でも独りで叩き続けたであろう少年を止めるためには、あれしか方法はなかっただろう、という意見もあり、真っ向から対立しています。