レスピーギのオペラ音楽ばなし
20170208
「ローマ三部作」でお馴染みのイタリア人作曲家、レスピーギ。彼のオペラ「ベルファゴール」の日本初演があり、わが音楽の師匠、時任康文氏が棒を振るというので、ちょうど東京に別の用事もあり、観に行ってきました。(2月5日「東京オペラ・プロデュース」の公演、新国立劇場)
レスピーギにオペラがあるなんて、初耳だという方も多いと思います。私も聞いたことがありません。全2幕に加えて長めのプロローグとエピローグを持ち、上演時間2時間以上の堂々たるオペラですよ。
悪魔ベルファゴールが娘を見初め、人間に姿を変えて父親をカネでたぶらかし、無理やり結婚を承諾させる。娘には船乗りの恋人がいるが、航海中で不在。泣く泣く結婚はしたもの、娘はベルファゴールとベッドを共にするのを拒否し続ける。帰ってきた船乗りは娘に事情を訊き、受け入れ難く娘の貞操を疑う。挙式の誓いの際に祝鐘が鳴らなかったことを知って船乗りは納得し喜び、悪魔の油断に乗じて駆け落ちし、結ばれる…
ベルファゴールはなかなかいい男で、娘の姉たちにはモテモテなのに目もくれず、末娘への純情ぶりが可愛いこと。悪魔のくせに人間の娘に惚れてしまった弱み、父親には結果的に大金を騙し取られ(後で取り返したのかもしれぬが)娘への思いも遂げないうちに逃げられてしまう。何だか可哀想ですね。
まあつまらぬ物語ですが、音楽がすごい。管弦楽法の大家レスピーギらしく、大編成を駆使し、バスクラリネット、コントラファゴット、シロフォンなどさまざまな楽器のソロを贅沢に使った、管弦楽好きにはたまらぬ音楽ですな。
主役級歌手たち、良かったです。ベルファゴール役の北川辰彦氏、堂々たる演技と歌唱ぶり。娘役の大隅智佳子、船乗りの内山信吾、父親佐藤泰弘の各氏とも熱唱で、だいたいオーケストラが雄弁ということは歌い手にそれと渡り合う豊かな声量が求められるわけですが、皆さん立派でした。
久し振りに珍しいオペラを楽しみました。