歌手と減量音楽ばなし
20100826
サロメ役を演じたデボラ・ヴォイト、体格堂々と書きましたが、実は彼女、以前はもっともっと堂々としており、大変な減量をして今の姿になったことで有名です。。
2004年、彼女はロンドンの国立オペラで「あまりにも太りすぎて、指定の衣装が着られない」という理由で、既に決まっていた主役(ナクソス島のアリアドネ)を降ろされているのです。
デボラはさぞかし憤慨したでしょうが、思い切って胃のバイパス手術を受け、4年間で百ポンド(約45㎏)以上の減量に成功しました。その後、英国立オペラにも同じ役で見事に復帰。写真は、減量前と減量後のデボラです。それまで何キロあったんだろう?
ご承知のようにオペラ歌手は身体そのものが楽器ですから、豊かな声のためならばと、豊満な体型を気にしない女性も多いです。森公美子さんなんて、そんな感じですよね。(もちろん、スマートな歌手もたくさんいますが)
しかし役柄とあまりにかけ離れた体型は、昔ならいざ知らず今では、さすがに感興をそがれると感じる聴衆も多いのです。結核で弱って今にも死にそうな病人が、ベッドがきしむような体重の持ち主では、幾らなんでも不自然ということですね。今回のサロメも、以前のデボラが演じていたらと想像すると、やはり舞台の印象がだいぶ違ってきただろうと思わざるをえません。
そもそもサロメは、①強靭な声と②可憐なルックスが求められ、おまけに③踊りも見せ④しまいには全裸に!という極めて難しい役です。この条件をすべて満たすソプラノは、世界中でもほとんどいないでしょう。
④が一番難しいように思いますが…マリア・ユーイングという有名な歌手は本当に全裸になっています。十数年前にNHKでも放送されました。他にも勇気ある歌手は何人かいるようです。今回デボラは、一瞬脱いでいるかのように見せてはいますが、脱いでいません。
おっと、裸の話ではなく減量の話でした。もともと声量豊かな、ドラマチックな役を得意としていたデボラでしたが、減量したことでの声への影響はなかったようで、何よりでしたね。演技の幅も当然大きく広がったことでしょう。
関連リンク: デボラのインタビュー(英語です)