32年ぶりに第九音楽ばなし
20160605
来週末のコンサートは、わが国では年末の風物詩となっている「第九」です。季節はずれと思う方もおられるでしょうが、別に年末の曲と決まっているわけではありませんよ。12月の第九公演ラッシュは、日本特有の現象だと聞いています。
ベートーヴェン畢生の大作である「交響曲第九番」は、アマチュアオケがそう簡単に演奏できる曲ではなく、巨大で奥が深く技術的にも難しく、それなりの覚悟がなくては取り上げられない存在だと思っています。伊那フィルは創立31年目になりますが、これまでに3回しかやっていません。
合唱の曲という印象がありますが、実際は演奏時間70分ほどの中で合唱(声楽)の出番は25分程度。苦悩に満ちた第1楽章、諧謔と風刺の第2楽章、天国的な美しさの第3楽章はすべて、オーケストラだけが音楽を作っています。
今回私はティンパニストとして出演します。ベートーヴェンの交響曲はどれもティンパニに独創的で大胆な曲想を与えていて、ティンパニストにとってすこぶるやりがいのある「バイブル」的な存在です。その中でも第九は特別で、何しろ難しいし、目立つし、極めて重要な役割を担っているのです。
私が過去第九を演奏したのは学生時代に2回あります(1回はシンバル、1回はティンパニ)。ティンパニをやったのは大学の創立記念演奏会でのことで、客席には当時の皇太子(今の天皇陛下)ご夫妻をお招きし、指揮は今は亡き巨匠、山田一雄先生でした。素晴らしい体験でしたが、自分自身の演奏表現としては満足いかなかった部分もありました。
それ以来第九の演奏会に偶々参加する機会がなく、今回が伊那フィル入団以来、初めての第九なのです。私にとっては実に32年ぶりです。若いころに比べれば手は早く動きませんが、音楽表現ということでは昔より成長したかな?
読者の皆様にもご来場いただければ幸いです。(写真は、先週リハーサルの時に本番の指揮者横山さんが都合で不在だったため、私が棒を振っているところ)
★手作りの「第九」演奏会★
6月12日(日)14:00開演 長野県伊那文化会館
シベリウス:カレリア組曲
ベートーヴェン:交響曲第九番ニ短調
指揮 横山 奏
独唱 村上和歌子、小平れい子、布施雅也、加藤史幸
伊那フィルハーモニー交響楽団、伊那市第九合唱団
関連リンク: 心に届く「第九」を 演奏会へリハーサル(長野日報)