組市松紋日々雑記
20160427
東京五輪エンブレム。発表されたものに盗用疑惑、選定の経過にもクレームがついて仕切り直しとなっていましたが、ようやく決着を見て新しいデザインが発表されました。
4つの候補が示されていました。私はC案(風神雷神をモチーフにしたもの)がいいと思ってたんですけどね。世間的にはあまり評判が良くなかったみたいです、平凡だ、と。私が思うに、オリンピックはスポーツの祭典なのですから、躍動感というか、動きが感じられるものが絶対にいいと思うのですが。皆さんそこのところはあまり重視されなかったようです。
決定したA案の「組市松紋」。動的な要素は少ないですが、シンプルな色使いで、清潔感が漂います。日本の伝統文化をイメージさせます。葬儀のマークみたいだ、と揶揄した画像も出回っていて、なるほどぴったりかも、と笑ってしまいました。これから見慣れていくに従って、オリンピックパラリンピックのシンボルとして私たちに刷り込まれていくことでしょう。
選考委員長の宮田亮平さんの講演は以前PTAで聞き、たいへん興味深く感銘を受けました(13.7.16の記事)。この前まで東京藝大の学長でしたが、この4月から文化庁長官になっています。それまでの選考過程は既に曰くつき、どうやって決めても批判を受けやすい状況にあたって、いかに透明度を高めしかも良作を選ぶのかという困難なミッションに成功されたと思います。(受賞作発表の前に情報が洩れ、お披露目がどっちらけになったそうで、残念なことでしたね)
受賞作をデザインした野老(ところ)朝雄氏。難しい読み方でどんな意味かと辞書を引きますと、植物の名前だとか。いまこの記事を書くのにも変換候補にちゃんと出てきたのは、少し驚きました。
唐草模様に似た彼のデザインは何度か目にしたような記憶があります(新日本様式100に選ばれているそうです)。さまざまな正方形のタイルをどう組み合わせてもピタッとはまり、無数の文様が生まれるのだとか。動画にありましたが、オリンピックとパラリンピックの二つのデザインは、まったく同じ形と数(と角度)の四角形を並べ替えたものだそうですよ。
難産な子ほど可愛いといいます。紆余曲折の末誕生したエンブレム、大事に大きく育っていってほしいと思います。