天ぷら万十食べもの
20100813
お盆といえばこれです!信州の隠れた名物、天ぷら万十。。
「隠れた」というのは、あまりに日常的な食べ物なので、地元の皆さんは名物だなんて認識していないだろうと思うのです。飲食店で出されるものでもないし、お菓子屋さんでも土産物店でも売っていません。ちょうどタイミングよく居合わせないと、他から来た方は召し上がる機会がないでしょう。
そのものズバリ、お万十に衣をつけて天ぷらにするだけのものです。地元のスーパーに行くと、揚げた完成品はもちろん「天ぷら万十用の万十」まで売っています。皮が厚めで、中身は普通のあんこです。
ふだんでも食べますが、仏事法事のときには必ず出ます。天ぷら盛り合わせのお皿に、海老や野菜と一緒に乗っています。外観はジャガイモか玉ねぎの天ぷらに見えないこともないので、知らない方が食べると、相当ショックを感じるようですね。仏事に使うからといって、縁起の悪い食べ物ということはありません。
味は、あんこの甘さに油の味がマッチして、おいしいんですこれが。食感は全然違いますが、あんドーナツを想像して下さい。それよりもサクサクして、油のジュワッと染み出る感じが、単純なあんこの味にまったりと広がりを与えているのだと思います。子供の頃は天ぷらネタで一番好きでした。これをおかずにご飯を食べてました。今の子たちもそうかな?
調べてみると天ぷら万十は、信州だけでなく会津にもあるらしい。徳川三代将軍家光の頃、高遠で幼少を過ごした保科正之公が会津へ転封し初代会津藩主となっており、会津と信州は江戸時代からゆかりの地です。天ぷら万十もこうした縁でつながりがあるのでしょうね。
(会津には「高遠そば」というものがあり、大根汁で食すらしいですが、これも保科正之が高遠名産の辛味大根を会津に持ち込んだのが始まりとも言われています。高遠で伝統的にこういうそばを食べているわけではありません)
我が家の食卓にも今日は並ぶだろうと思います。酒の肴にはちょっと難しいですが、ひとつ、いただくかな?