アンサンブル音楽三昧音楽ばなし
20141203
1日の日経最終面文化欄に、田崎瑞博氏の記事が出ています。アンサンブル音楽三昧というグループの紹介です。クラシックファンでも誰もが知っている存在ではないと思いますが、私は以前からこのグループの演奏が好きで、何枚かCDを購入し折に触れて聴いています。
このグループは5人の奏者による室内楽です。編成がフルート(各種の笛持ち替え)・ヴァイオリン・チェロ(ヴィオラ持ち替え)・コントラバス・チェンバロ(ハープ持ち替え)という、他にあまり類のない形態で、レパートリーはすべて田崎氏による楽団オリジナルの編曲によります。
選曲がユニークで、大編成の管弦楽曲を縮小編成で演奏したり、逆に独奏ピアノのための曲を室内楽に拡大したりしています。そのアプローチは、よくあるエンタテインメントとは対極で、きわめて真摯な取り組みです。聴き慣れたはずの曲が全く違った姿を見せるのに驚きます。
たとえば、ショスタコーヴィチの交響曲第5番(一切カットなしの全曲)を取り上げたディスクがあります。金管打楽器の鳴り渡る大袈裟な原曲を5人でいったいどうやるのかと思いますが、聴いてみると実に厳しく内省的な曲となっています。元からこういう編成の曲だったのではと思わせるだけの説得力があります。
一方でドビュッシーの「ピアノのために」では、原曲の華々しいグリッサンドが何と上から下へおりてくる!このユニークさ。ピアノ曲にせよ管弦楽曲にせよ、この編成で演奏するにはそれぞれ異なった超絶技巧が求められるようで、特にピアノ曲で10本の指を動かして演奏される早いパッセージを弦楽器で弾くのは、それは大変なことでしょう。
ぜひ一度、生演奏を聴いてみたいとおもうのですが。普段はそれぞれ別の場所で活躍している人たちで、音楽三昧としてのコンサートはそうちょくちょくあるわけでなく、残念ながらまだ機会がありません。
関連リンク: 音楽三昧のホームページ