17歳に平和賞日々雑記
20141012
先週、ノーベル賞ウィークということで、連日受賞者が発表されておりました。。
物理学賞は青色LEDを開発した3人の日本人科学者(お一人は今は米国籍ということだが)が受賞ということで、新聞もテレビも大騒ぎでしたね。パートナーとして共に研究していたわけでない人たちも、こうして選ばれることもあるんだ。
受賞者の一人中村修二氏は、以前の所属会社、日亜化学を相手取った訴訟問題で有名になりました。発明は誰のものか、研究者の報酬はいかにあるべきか、当時一石どころか大岩を投じたような論議がまきおこりました。お互いの言い分、報道されていることがすべてではないでしょうし、中村氏の個性的なキャラクター(変人ぶり?)がそれに輪をかけ毀誉褒貶を生んでいるともいえましょう。私はついつい会社側に寄った見方になってしまうのですが…自分が会社経営者だからってことでしょうか。
さて平和賞です。「子供たちへの教育」という観点から、パキスタンの17歳少女、マララ・ユスフザイさんら二人の受賞が決まりました。
今さら説明するまでもありません。マララさんは母国パキスタンで、宗教的・伝統的に軽んじられている女性に対する教育の必要性を、少女の頃から(今だって少女です)訴えてきました。反感も買い、タリバーンに襲撃され瀕死の重傷を負いましたが奇跡的に回復し、テロにひるむどころかさらに積極的な活動を世界にわたって広げています。オバマ大統領と会談し、アメリカの無人戦闘機が母国の罪なき人々を殺害している、と面と向かって抗議したことは有名ですね。
社会的な逆境に公然と反旗を翻し、多くの賛同者を集めているマララさんの聡明さと勇気と行動力は、とても17歳とは思えないものです。その上で言いますが、若くしてノーベル平和賞という看板をもらうことが、マララさんの今後の運動に果たして有益なことなのかどうか、考えてしまいます。
イスラム教はタブーの多い宗教だと認識していますが、特に女性に対するさまざまな禁忌が現代国際社会の規範と相いれず、今日ではいろいろな軋轢を生んでいます。私はマララさんの運動に敬意を表しますが、ある意味、ヨーロッパ的価値観をイスラムの人々に強引に持ち込もうとすることが「絶対的に正しい」ことなのかどうか、本当はよくわかりません。
余計なことをするな、という見方が彼らに根強くあることは確かですし、決して無視できるものでもないと思います。だからと言って、いつまでも今のままでいいとも思いません。逆に彼らにも、自分たちの価値観を内外に非寛容的に押し付けている場面は多くみられます。だからこそ、マララさんの運動の必要性は十分わかります。
何といってもまだ17歳です。今後のマララさんにかかってくる重圧は大変なものでしょう。重ねて、身の安全にかかわる心配も。お互いが理解し合い、認め合うには何にしても時間がかかります。彼女の思いが叶えられていく日が、一歩一歩近づいて来るでしょうか。