天ぷら粉 こと始め食べもの
20140713
NHKで「COOL JAPAN」という番組があります。何人かの在日外国人たちが日本特有の文化あれこれを体験して、それが「Cool(カッコイイ!)」であるかどうかを英語で議論しています。興味あるテーマのときに見ていますが、先日は「天ぷら」が取り上げられました。
天ぷらはある意味「世界における日本食」を代表する存在になっていると思っていましたが、スシと比べるとまだまだ知名度にかなり開きがあるようですね。番組前半では、スーパー惣菜売り場にずらりと並んだ豊富な種類、料理上手な主婦の工夫(ブリ大根など残り物を使った天ぷら、廃油を固めて処理など)、高級店の薄くて軽い衣へのこだわりなどが紹介されました。油固化材の存在を皆知らないようでしたが、外国にはないのかな。
よく、日本料理はヘルシーで人気だといいます。天ぷらが低カロリーだというのはあまり解せませんが、具が野菜や魚だから、肉食に比べれば意外とカロリーは低いのでしょうか?アメリカでは揚げ物といえばフライドチキンだけ、中国でも野菜を揚げることはないそうです。番組常連の恰幅のいいフランス人女性は「天ぷらなんて全然ヘルシーじゃないわよ、私の国じゃ流行らないわ」と切って捨てていましたが。(この方、いつもずけずけ言いますね)
さて番組後半は、水に溶くだけでサクっと揚がる「天ぷら粉」の開発物語です。当社と大変ご縁の深いメーカーさん、昭和産業の鹿島工場が登場しました。7、8年前かな、社員数名で工場見学させていただいたこともあります。
開発を始めたのは1958年のこと。天ぷらの衣には小麦粉、卵、水が必要だということで小麦粉に卵の粉を加えてみたが、なかなかふくらまない。粉を混ぜるときに卵白が空気を抱えて発泡するのがミソだったのですね。ふくらし粉(ベーキングパウダー)を使ってみますと、ふっくらとはするが、サクサク感が出せません。小麦粉のグルテンが出て、粘りが強くなってしまいます。
あれやこれやと試行錯誤。ヒントは身近なところにありました。鶏唐揚げの衣に片栗粉を使うことに気づき、澱粉、それもコーンスターチを使ってみると見事に成功!プロが揚げたような家庭の天ぷら、完成です。開発開始から一年後のことでした。
満を持して発売したのですが、あらかじめミックスしてある天ぷら粉を使うことは当時「主婦の手抜き」だと思われ、まったく売れなかったそうです。今とは隔世の感がありますな。日本国内では売れませんでしたが、当時日本食ブームが始まりつつあったアメリカで大ヒットし、在庫を掃くことができたのだとか。その後日本でも女性の社会進出などを受け、ようやく売れるようになりました。
知恵と技術の詰まった天ぷら粉。完璧を求める日本人の姿がCoolだと番組で絶賛されました。今では「昭和の天ぷら粉」はトップブランドとして地位を確立しています。当社も昭和の家庭用・業務用のさまざまな天ぷら粉を年間十何トン販売しています。ぜひ、ご利用を。
この記事で当ブログも500回目を迎えました。スタートしたのは2010年4月のことですから、4年3か月になります。最近ちょっと更新ペースが落ち気味ですが、これからもマイペースで書いていきますので、どうぞよろしくお付き合い下さいませ!