カルメン・5分間のステージ (2)音楽ばなし
20140707
当日。観客・兼・関係者という微妙な立場で客席入りします。公演パンフを見ると、出演する子供たちの名はもちろん、合唱指導として私の名前まで出ているではありませんか。日頃ご一緒する音楽仲間、とりわけ合唱関係者の皆様は「何で春日が?」と思ったことでしょう。
オペラは有名な「前奏曲」に引き続いて開幕します。舞台装置はビデオで見た通りのもの。
すぐにやってくる「衛兵の交代」は信号ラッパの合図で始まり、子供たちがキャーキャー叫びながら走って入場してきました。(キャーキャー言って駆け込んでくる、というのも、やってみると案外難しかったりします)衣装がよく似合っています。足踏みをしながら歌い始めます。
心配だったのは、大ホールの雰囲気に呑まれて声が十分出なかったら、と、テンポが走ってしまわないか、の2点でした。指揮者はいつもと違ってオケピットの低い位置にいますし、オーケストラも同様。音の聞こえ方が違います。デモビデオの子供たちも結構走っていましたから、余計に心配。もっとも経験豊かなオペラ指揮者であれば、そんなことはどこ吹く風で、子どもたちにちゃんと合わせてくれるでしょうけれど。
しかし、本番、バッチリでした。声はまあ、本格的な児童合唱団にはかないませんが、あれだけできていれば、私は良しとしましょう。役のキャラクターからいけば求められるのは天使の美しいハーモニーではなく、元気一杯の悪ガキ風の方がふさわしいと思いますから。演技の方は問題なくできていました。(ジュニアオケの子たちが普段から悪ガキだというわけではありませんよ)
テンポが走ることもなし。2回登場する2回目の最後でちょっとだけ声が弱かったかなと思いましたが、オペラの中にきちんとはまり、立派に務めてもらいました。ほっと一安心、あとはリラックスしてオペラを楽しませてもらいましょう…
伊那公演では主役二人はいずれもトリプルキャストの三番手だったようですが(地方公演の常、まあ、仕方がないね)、カルメン役のグアダルーベ・バリエントスさんは女傑的容姿と演技、豊富な声量でなかなか見応え聴き応えがありました。ホセ役のアリヤシュ・ファラシン氏は、この役には声が少々しんどかったかな。演出では、最後に闘牛士エスカミーリョが大怪我を負い、カルメンとホセが対峙する間によろめきながら現われ、そのままカルメンより先に死んでしまう、というのは珍しかったと思います。
こんな大舞台にちょっぴり関わらせていただき、ユニークな経験でした。子供たち、カッコ良かったぞ。