うな丼の未来 (2)うな丼の未来
20130728
ご存知の通りウナギの生態は謎に包まれたものでしたが、最近になってだいぶいろいろなことが分ってきました。
遠くマリアナ海嶺で卵から孵化したニホンウナギの稚魚は、黒潮に乗って台湾→中国→日本へと回遊して(流されて)きます。淡水を求めて河口をさかのぼり、川の上流で成魚となって、また産卵のために川を下りはるか沖へと泳いでゆきます。
いわゆる「シラス漁」の対象となるのは河口付近でのこと。広い海では細かいシラスを採取することなどできませんが、河口に集まってくるシラスを、まあ言葉は悪いが一網打尽にしていたわけです。(といっても、そんなに大量に採れるわけではありません)
ウナギの養殖業者はこのシラスを購入し、養鰻池(ようまんいけ)で成魚になるまで育てて出荷します。産卵の段階からシラスを育てるなど、シラスそのものを増やす技術は実用化されておらず、シラスが採れなければ養殖は成り立ちません。いわゆる「完全養殖」ができている水産物との大きな違いです。
さてそこで…
近年シラスの採取量が激減しているというのは、まぎれもない事実です。それに伴ってシラスの価格が跳ね上がり、㌔当り200万円を超えるケースもみられるようになりました。原料資源がこうですから、流通が川下に行くほど価格はさらに高騰し、蒲焼の店頭価格も大変な値上がりとなっているわけです。
なぜ減っているのか。1に乱獲、2に河川環境の悪化(ダムとコンクリートのためウナギが遡上できない)、3に気候現象の変化(エルニーニョなど)です。3は短期的な話で、今後気象条件によって事態が改善することも期待できますが、1と2は楽観的な見方はとてもできないのが実情です。
中でも乱獲→暴食の影響は深刻です。世界中のウナギの7割は日本人が消費しています。国産がいなくなったら中国から輸入すればいいという人、中国の養殖ウナギだってみんな日本に来ているのですよ。ニホンウナギのみならずヨーロッパウナギにまでおよび、世界のウナギを日本人が食べつくす勢いなのです。
写真は、あるところで撮影したシラス。針のような細さです。体長3センチくらい。どこで撮ったかは、またあとで。